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股関節 股関節の痛みで歩くのが辛い方へ。手術を回避するための3つの対策を整形外科専門医が解説

股関節の痛みで歩くのが辛い方へ。手術を回避するための3つの対策を整形外科専門医が解説

こんにちは。私は整形外科の専門医として、日々多くの患者さんの関節の悩みと向き合っています。

「最近、立ち上がる時に股関節がズキッとする」 「階段の上り下りが怖くなってきた」 「大好きだった旅行や散歩を諦めかけている」

そんなお悩みを持って私のクリニックを訪れる50代から80代の方は、非常にたくさんいらっしゃいます。そして、皆さん共通して抱いている大きな不安があります。それは「このまま放っておいたら、いつか手術をしなければならないのではないか?」という恐怖です。

確かに、以前に比べて歩くのが辛くなると、将来への不安が募るのも無理はありません。しかし、整形外科専門医として最初にお伝えしたいのは、股関節の痛みがあるからといって、すぐに手術が必要になるわけではないということです。

むしろ、適切な知識を持ち、日々の生活を少し見直すだけで、手術を回避して痛みをコントロールしながら元気に歩き続けられる可能性は十分にあります。

今回は、股関節の痛みで悩む皆さんが、一日でも長く自分の足で快適に過ごすための「手術を回避する3つの対策」について、分かりやすくお話ししていきましょう。

なぜ股関節が痛むのか?その背景にあるもの

まずは、なぜ股関節が痛くなるのか、その理由を整理してみましょう。

皆さんの多くは、病院で「変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、股関節のクッションの役割を果たしている「軟骨(なんこつ)」が、長い年月の間に少しずつすり減ってしまう状態を指します。

股関節は、私たちの体の中で最も大きな関節の一つです。歩くときには体重の約3倍、階段を上るときには約5倍もの負担がかかると言われています。いわば、一生懸命に私たちの体を支え続けてくれている、縁の下の力持ちのような存在です。

特に日本人の女性に多いのが、生まれつき股関節の受け皿が少し浅い「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」という体質です。受け皿が浅いと、一箇所に負担が集中しやすいため、年齢を重ねるごとに軟骨が減りやすくなってしまうのです。

しかし、痛みが出ている本当の理由は、軟骨が減っていることだけではありません。軟骨には神経が通っていないため、実は軟骨自体が痛みを感じることはありません。

痛みを感じているのは、関節を包んでいる膜(滑膜)の炎症や、関節を支えようとして過剰に緊張して硬くなった周囲の筋肉、そして不安定になった関節をかばおうとする他の部位の悲鳴なのです。

つまり、この「炎症」と「筋肉のこわばり」を上手にコントロールすることができれば、たとえ軟骨が少し減っていたとしても、痛みなく歩くことは可能になります。

手術を回避するための対策1:股関節への負担を減らす生活の工夫

手術を避けるための第一歩は、何よりも「これ以上、股関節をいじめないこと」です。日常生活の中で、無意識に股関節に負担をかけている動作は意外と多いものです。

まず見直していただきたいのが、床に座る生活スタイルです。 畳の上に直接座る、正座をする、あぐらをかくといった動作は、股関節を深く曲げるため、関節への負担が非常に大きくなります。立ち上がる際にも、股関節に強い負荷がかかります。

できるだけ椅子とテーブルの生活に切り替えましょう。ベッドや洋式トイレを利用するのも効果的です。これだけで、一日のうちで股関節にかかる「ちりも積もれば山となる」負担を大幅に減らすことができます。

また、体重の管理も大切です。 先ほどお伝えした通り、股関節には体重の数倍の負荷がかかります。例えば体重が1キロ減るだけでも、歩く時の股関節への負担は3キロ分も軽くなります。無理なダイエットは禁物ですが、お菓子を少し控えたり、腹八分目を意識したりするだけで、股関節にとっては大きなプレゼントになります。

靴選びにもこだわってみてください。 底が薄くて硬い靴は、地面からの衝撃がダイレクトに股関節に伝わってしまいます。クッション性の高いスニーカーなどを選ぶことで、足元からの衝撃を和らげることができます。

手術を回避するための対策2:関節を守る「天然のサポーター」を育てる

次に大切なのが、筋肉を鍛えることです。 股関節の周りには、たくさんの筋肉が集まっています。これらの筋肉は、関節を支える「天然のサポーター」の役割を果たしています。

軟骨が減って関節が不安定になっても、周りの筋肉がしっかりしていれば、関節のぐらつきを抑え、痛みを和らげることができます。

特に重要なのが、お尻の横にある「中殿筋(ちゅうでんきん)」という筋肉です。この筋肉は、歩く時に骨盤を水平に保つ役割を持っています。中殿筋が弱くなると、歩くたびに体が左右に揺れ、股関節に異常な負担がかかるようになってしまいます。

運動と聞くと「たくさん歩かなければいけない」と思われがちですが、股関節が痛い時に無理をして歩くのは逆効果になることもあります。まずは、関節に負担をかけずに筋肉を刺激する「等尺性収縮(とうしゃくせいしゅうしゅく)」という方法がおすすめです。

例えば、仰向けに寝て、片方の膝を立てます。もう片方の足を伸ばしたまま、床から10センチほど浮かせ、5秒間キープして下ろす。これだけでも、股関節を支える筋肉への良い刺激になります。

また、水中ウォーキングも非常に有効です。水の浮力によって体重による負担が軽くなるため、陸上では痛くて歩けない方でも、プールの中ならスムーズに動けることが多いです。適度な抵抗があるため、効率よく筋力を維持できます。

筋肉を鍛えることは、一朝一夕にはいきませんが、コツコツと続けることで確実にあなたの股関節を支える力になってくれます。

手術を回避するための対策3:痛みを怖がらず「適切な安静と活動」のバランスを知る

3つ目の対策は、痛みのコントロールと向き合い方です。

多くの方は「痛みがあるから動かさない方がいい」と考えがちですが、実はこれが落とし穴になることがあります。痛みを恐れて全く動かさないでいると、関節の周りの筋肉や組織がさらに硬くなり、血流が悪くなって、余計に痛みが増すという悪循環に陥ってしまうのです。

大切なのは「動かしていい痛み」と「休むべき痛み」を見極めることです。

動かした時に少し痛むけれど、休めばすぐに治まる程度であれば、それはリハビリの範囲内と言えるでしょう。一方で、夜寝ている間もズキズキ痛む、あるいは動かした後の痛みが翌日まで残るという場合は、少し無理をしすぎているサインです。

このような「炎症」が強い時期には、無理をせず、医師に相談して適切な消炎鎮痛剤(痛み止め)を活用することも賢い選択です。 「痛み止めは体に悪い」「癖になる」と敬遠される方もいらっしゃいますが、最近のお薬は副作用も抑えられており、適切に使えば痛みの悪循環を断ち切る強力な助けになります。

痛みが和らいでいる間に少しずつ体を動かし、血流を良くすることで、組織の修復が促されます。痛みをゼロにすることに執着しすぎず、「生活に支障がないレベルまで痛みをなだめる」という姿勢が、手術を回避するためには非常に重要です。

また、理学療法士によるリハビリテーションを受けることも検討してみてください。プロの目から見て、あなたの歩き方の癖を修正したり、硬くなっている筋肉をほぐしたりすることで、驚くほど痛みが軽減することがあります。

よくある質問・誤解への回答

ここで、日々の診察の中でよく受ける質問にお答えします。

股関節が痛いときは、家でじっと安静にしていたほうが良いのでしょうか?

結論から申し上げますと、全く動かさない「絶対安静」はおすすめしません。 痛みが非常に強い数日間は安静が必要ですが、その後は少しずつ動かしていくことが回復への近道です。関節には「滑液(かつえき)」という潤滑油のような液体がありますが、これは関節を動かすことで循環し、軟骨に栄養を運びます。動かさないままだと、関節がサビついたように硬くなってしまいます。 「痛みの出ない範囲で、ゆっくりと関節を動かす」ことを習慣にしましょう。

股関節の痛みは「歳のせい」だから、もう治らないのでしょうか?

「もう歳だから仕方ない」と諦めてしまうのは、非常にもったいないことです。 確かに年齢とともに軟骨の変化は起こりますが、痛みの原因の多くは周囲の筋肉や炎症にあります。これらは何歳からでもアプローチが可能です。 実際、80代の方でも、適切な筋力トレーニングと生活習慣の改善によって、杖を使わずに歩けるようになるケースは珍しくありません。年齢はあくまで一つの要素に過ぎず、今の努力次第で未来は変えられます。

毎日どれくらい歩けば、股関節に良いのでしょうか?

「健康のために1万歩」という目標をよく耳にしますが、股関節に痛みがある方にとって、歩数だけを目標にするのは危険です。 大切なのは「量」よりも「質」です。1万歩歩いて翌日に痛みが出るようなら、それは歩きすぎです。まずは3000歩、5000歩と、自分にとって痛みが悪化しない範囲の歩数を見つけましょう。 また、一度に長時間歩くのではなく、午前中に15分、午後に15分といったように小分けにして歩く方が、股関節への負担を分散できるのでおすすめです。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ:諦める前に、まずは今日からできることを

股関節の痛みは、確かに生活の質を大きく左右します。今まで当たり前にできていたことができなくなる辛さは、ご本人にしか分からないものです。

しかし、現代の医学では手術以外にも、痛みを緩和し、進行を遅らせるための手段がたくさんあります。今回ご紹介した「生活の工夫」「筋肉の貯金」「適切な痛みとの付き合い方」の3つを意識するだけでも、あなたの股関節の運命は大きく変わるはずです。

手術はあくまで、あらゆる保存療法(手術をしない治療)を尽くした後の、最終的な手段です。その決断を下す前に、まずは自分の体にある「治る力」を信じて、できることから始めてみませんか?

もし一人で悩むのが辛くなったら、いつでも専門医に相談してください。私たちは、皆さんが自分の足で歩き、笑顔で毎日を過ごせるよう、全力でサポートします。

「年齢のせい」と諦める必要はありません。一歩踏み出すその勇気が、あなたの快適な未来を作ります。

股関節の負担を軽くする具体的なストレッチ方法について詳しく知りたい場合は、いつでもお声がけくださいね。次はあなたの症状に合わせた、よりパーソナルな運動メニューをご提案できればと思います。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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