
コラム COLUMN
股関節 変形性股関節症とは?初期症状と進行を防ぐポイント

「歩くと股関節が痛む」「足の付け根がつっぱる感じがする」——それは変形性股関節症の始まりかもしれません。
この病気は、股関節の軟骨がすり減ることで関節に痛みや変形が起こる疾患で、特に中高年の女性に多くみられます。放置すると日常生活にも支障をきたすようになり、人工関節の手術が必要になることも。
この記事では、変形性股関節症の初期症状や原因、進行を防ぐポイントをわかりやすく解説します。
変形性股関節症とは?
股関節は、骨盤と大腿骨をつなぐ関節で、体重を支える重要な部位です。この関節を覆う軟骨が加齢や過剰な負荷によってすり減ると、骨同士がぶつかり合い、炎症や変形を引き起こすようになります。
この状態を「変形性股関節症」と呼び、進行すると歩行困難や股関節の変形を伴うようになります。
初期症状のサインを見逃さないで
変形性股関節症の初期には、以下のような症状が現れます。
- 立ち上がりや歩き出しで足の付け根が痛む
- 長時間歩くと疲れる、違和感がある
- あぐらや正座がしにくい
- 靴下を履くなど股関節を大きく動かす動作がつらい
これらの症状は、日常の中で見過ごされやすいため、「歳のせいかな」と放置してしまうことも少なくありません。しかし、初期の段階で対応すれば進行を抑えることが可能です。
原因は?なぜ女性に多いの?
変形性股関節症には、以下のような原因があります。
- 先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全の既往歴
- 加齢や体重増加による関節への負担
- 長年の立ち仕事やスポーツ歴
- 筋力低下や柔軟性の低下
特に**臼蓋形成不全(股関節のかぶりが浅い)**がある女性は、若い頃から股関節に負担がかかっており、中年期以降に発症しやすい傾向があります。
進行を防ぐためにできること
変形性股関節症は早期に対処すれば、進行を遅らせることができます。以下のようなセルフケアと医療的介入が有効です。
① 体重コントロール
股関節には体重の3~5倍の負荷がかかるといわれています。減量することで関節への負担を大幅に減らすことができます。
② 筋力トレーニングとストレッチ
特に大腿四頭筋や臀部の筋肉を鍛えることで、股関節への衝撃を吸収しやすくなります。また、太ももや股関節周囲のストレッチで柔軟性を保つことも大切です。
③ 適切な靴の選び方と歩行習慣の見直し
クッション性のある靴を履く、姿勢よく歩くなど、日常の歩行スタイルを見直すことで進行予防につながります。
④ 医療機関での治療
- 薬物療法(消炎鎮痛剤)
- 物理療法(温熱・電気刺激)
- 注射治療(ヒアルロン酸など)
症状が強くなってきた場合には、これらの保存的治療が行われます。
⑤ 再生医療の可能性
近年では、PRP(多血小板血漿)療法や自己幹細胞を用いた再生医療も注目されています。軟骨や関節組織の再生を促すことで、人工関節手術を避けられるケースも報告されています。
当院でも、初期から中期の変形性股関節症に対し、こうした治療を導入しています。
人工関節手術は最後の選択肢
重度の変形があり、日常生活にも支障が出ている場合は人工股関節置換術が検討されますが、手術はあくまで最後の選択肢として考えるべきです。
まとめ:違和感を覚えたら早めの受診を
股関節は「違和感から始まる」ことが多く、初期症状を見逃しがちです。「ちょっとおかしいな」と思ったら、早めに整形外科での診断を受けることが重要です。
日常生活でできるケアを習慣化し、必要に応じて再生医療などの新しい治療法を検討することで、手術を回避し、元気に歩き続ける未来を目指しましょう。


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