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股関節 股関節痛を改善するには?筋力トレーニングのポイント

「歩くと股関節が痛む」「立ち上がるときに違和感がある」——このような股関節の痛みに悩んでいませんか?
日常生活の動作に直結する股関節は、痛みがあるだけで大きなストレスになります。しかし、適切な筋力トレーニングを行うことで、股関節への負担を減らし、痛みを改善することが可能です。
この記事では、整形外科専門医の視点から、股関節痛の原因と、それに対して効果的な筋力トレーニングの方法とポイントをわかりやすく解説します。
股関節痛の主な原因
股関節は体重を支える重要な関節です。そのため、年齢や運動不足、使いすぎ、体重の増加などにより負担がかかり、痛みが出やすい部位です。以下のような疾患や状態が、股関節痛の主な原因となります。
- 変形性股関節症:加齢や先天的な股関節の変形によって軟骨がすり減り、骨同士がぶつかることで痛みが生じます。
- 大腿骨頭壊死:骨に血が通わなくなり、股関節の骨が壊れていく状態。
- 筋肉や腱の炎症:特に中殿筋や腸腰筋などの使いすぎによる痛み。
- 姿勢の悪さや体のゆがみ:骨盤や背骨のゆがみが股関節に影響します。
こうした要因に共通して言えるのが、「股関節に過度な負担がかかっている」という点です。この負担を減らすためには、周囲の筋肉を鍛えて関節をサポートすることが効果的です。
筋力トレーニングが股関節痛に効果的な理由
筋力トレーニングには、股関節周囲の筋肉を強化して関節を安定させる効果があります。特に、次の3つの理由で痛みの軽減が期待できます。
- 関節の安定性が高まる
筋力が弱いと、股関節がぐらつきやすく、軟骨や関節包に負担がかかります。筋肉を鍛えることで、関節の位置が安定し、負担が軽減されます。 - 衝撃吸収力が向上する
歩行や階段の上り下りでは股関節に強い衝撃が加わります。筋肉がクッションの役割を果たすことで、痛みの原因となるダメージを緩和します。 - 姿勢と動作が改善される
筋肉が整うことで骨盤や背骨のバランスも整い、股関節に優しい動作ができるようになります。
股関節痛に効果的な筋力トレーニング
ここでは、医療現場でも推奨される、安全かつ効果的なトレーニングを紹介します。無理せず、痛みが強くならない範囲で行いましょう。
1. 中殿筋トレーニング(横向き足上げ)

中殿筋は骨盤を安定させる重要な筋肉です。
やり方:
床に横向きに寝て、上側の足をゆっくりと上に持ち上げ、5秒キープして戻す。
左右10回ずつ、1日3セット。
2. ヒップリフト

お尻や太ももの裏側(ハムストリングス)を鍛えます。
やり方:
仰向けに寝て、膝を曲げ、かかとを床につけたままお尻を持ち上げる。
腰が反らないよう注意して、5秒キープしゆっくり戻す。10回×2セット。
3. 腸腰筋ストレッチと軽い筋トレ

腸腰筋は歩く・立つ動作に欠かせない筋肉です。
やり方:
片膝立ちの姿勢で、前脚の膝を軽く曲げて骨盤を前に押し出す。
腸腰筋が伸びているのを感じながら20秒キープ。左右2回ずつ。
トレーニング時の注意点
筋トレは正しいフォームと適度な負荷で行うことが大切です。以下の点に注意しましょう。
- 痛みが出る動作は無理に行わない
- 呼吸を止めずに行う
- 継続することを意識する(週3回以上が理想)
- できれば鏡の前でフォームを確認する
痛みが強い場合や自己流でのトレーニングに不安がある場合は、整形外科やリハビリ専門の医療機関に相談すると安心です。
予防と改善には「継続」がカギ
股関節の痛みは一時的に良くなっても、再発しやすいのが特徴です。日常的に簡単なトレーニングを習慣づけることで、関節の健康を保つことができます。
また、体重管理も股関節への負担を軽減する重要な要素です。食生活の見直しや有酸素運動と並行して行うと、より効果的です。
再生医療という選択肢も
筋力トレーニングでも改善が難しい場合、近年では再生医療(PRP療法や幹細胞治療)を選択するケースも増えています。
当院では、関節の状態に応じて最適な治療法をご提案し、保存療法から先進医療まで幅広く対応しています。
まとめ
股関節痛の改善には、筋力トレーニングによる関節のサポート力向上が非常に重要です。特に中殿筋や腸腰筋など、股関節周囲の筋肉を鍛えることで、痛みの軽減や再発予防が期待できます。
日々のトレーニングを継続し、必要であれば専門医の診断や再生医療の導入を検討することで、快適な生活を取り戻しましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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