コラム COLUMN
股関節 股関節痛と歩行バランスの崩れに要注意|専門医が原因と対処法をわかりやすく解説

「歩いていると股関節が痛む」「片足にばかり体重がかかってしまう」「最近ふらつきやすい」 このような訴えは、50〜80代の方からとてもよく聞かれます。
実は、股関節の痛みは“歩行バランスの崩れ”と深く関係しており、そのまま放置すると痛みが慢性化したり、変形性股関節症の進行につながることもあります。
この記事では、股関節痛と歩行バランスの関係、考えられる原因、日常でできる対策、必要な治療について専門医がわかりやすく解説します。
この記事の内容
なぜ歩行バランスが崩れると股関節が痛むの?
歩行は「股関節・骨盤・体幹(体の軸)」が連動して初めてスムーズに行えます。どこか一部でも動きが悪くなると、他の部位が無理にかばい、負担が偏ってしまいます。
その結果、股関節の軟骨や周囲の筋肉・腱にストレスが集中し、痛み・だるさ・張りを感じるようになります。これは多くの方が気になるポイントです。
歩行バランスが崩れるときの特徴的な症状
- 片側の股関節だけが痛む
- 足が外側に流れる・内股になる
- 歩くスピードが落ちてきた
- 長く歩くと腰や膝まで痛くなる
- 段差や階段がつらい
- 最近よくつまずくようになった
これらのサインは、股関節の機能低下または筋力バランスの崩れを示しています。
股関節痛と歩行バランスの崩れの主な原因
① 臀部(お尻)や太ももの筋力低下
股関節を安定させる筋肉(中殿筋・大殿筋)が弱ると、体が横に揺れるような歩き方になり、股関節に大きな負担がかかります。
② 変形性股関節症の初期症状
軟骨がすり減ってくると動きがスムーズにいかず、歩行が崩れやすくなります。
③ 股関節インピンジメント(FAI)
関節の形の問題から動かすたびに「つまる」「ひっかかる」感覚があり、バランスが乱れます。
④ 骨盤の傾き・姿勢の乱れ
猫背・反り腰などの姿勢不良は股関節の可動域を狭くし、歩き方に影響します。
⑤ 腰椎(腰の骨)の問題
坐骨神経痛や脊柱管狭窄症が影響して歩行が不安定になるケースもあります。
歩行バランスの崩れを放置するとどうなる?
痛みがあるのに無理に歩き続けると、次のような悪循環が起こります。
- 動かさない → さらに筋力低下
- 歩くと痛い → さらにバランスが悪くなる
- かばい歩き → 膝や腰まで痛みが広がる
特に、変形性股関節症は“進行速度”を緩やかにすることが重要で、早めの対策が将来の負担を大きく減らします。
自分でできる歩行バランス改善のポイント
① お尻の筋肉を鍛える
中殿筋・大殿筋の強化は最も効果的です。 例:横向きで脚を上げる「サイドレッグレイズ」、椅子からゆっくり立ち上がるトレーニングなど。
② 股関節の柔軟性を保つ
ストレッチで股関節まわりをやわらかくすることで、歩くときの可動範囲が広がります。
③ 体幹トレーニング
腹筋・背筋を鍛えると歩くときのブレが減り、股関節の負担が軽くなります。
④ 靴の見直し
踵がしっかりした靴はバランスを整え、股関節の負担を減らします。
⑤ 痛みが強いときは無理をしない
痛みが続くときの無理な運動は逆効果になるため、適切な休息も大切です。
医療機関で行う検査と治療
検査
- X線(レントゲン):変形の程度を確認
- MRI:軟骨・筋肉の状態を詳しく確認
- 歩行分析:バランスの崩れを数値化
保存療法
鎮痛剤、理学療法、筋力トレーニング、体重管理などを組み合わせます。
再生医療
炎症を抑えるPRP治療、軟骨の再生を促す幹細胞治療などは、初期〜中等度の股関節痛に有効なケースがあります。 手術を避けたい方にとっても選択肢の一つです。
手術が必要な場合
症状が進行している場合は、関節鏡手術や人工関節手術が適応になることもあります。
よくある質問
Q. 片足だけ痛むのはよくあることですか?
A. 片側の痛みは筋力バランスの偏りや関節の変形が原因のことが多く、多くの方が経験します。
Q. 歩くと痛いのに運動して大丈夫?
A. 強い痛みがあるときは無理を避け、軽いトレーニングから始めることが大切です。
Q. 股関節の痛みは自然に治りますか?
A. 一時的に軽くなることはありますが、根本的には早めのケアが必要です。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
まとめ:歩行バランスに気づいたら早めの対策を
股関節の痛みと歩行バランスの崩れは密接に関わっています。放置すると変形が進み、痛みが慢性化してしまうことも。 しかし、早期のトレーニングや適切な治療によって症状は大きく改善できます。
「最近歩き方がおかしい」「痛みのせいで歩くのが怖い」 そんなときは、どうぞ専門医に相談してください。あなたの状態に合わせた最適な治療法をご提案します。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
各種ご相談やご予約はこちら
- ひざの痛みに関する相談
- セカンドオピニオンの相談
- 再生医療に関する相談
- MRI検査のご予約






