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腰 腰をひねると痛い?体幹の使い方と改善トレーニングを専門医が解説

「ちょっと振り向いただけで腰がズキッとする」「掃除で体をひねったら痛みが走った」――こんな経験はありませんか?
多くの方が「年齢のせいかな」と思いがちですが、腰をひねったときの痛みにはきちんとした原因があり、体の使い方を工夫することで改善できる場合も少なくありません。この記事では、整形外科専門医の立場から、腰をひねると痛いときに考えられる原因や、自宅でできる改善トレーニングをわかりやすくご紹介します。
この記事の内容
どんなときに腰をひねると痛むのか
腰をひねったときの痛みは、日常生活のさまざまな場面で起こります。
- 布団を干す、掃除機をかけるなどの家事
- ゴルフやテニスなど、回旋動作の多いスポーツ
- 車の運転中に後部座席へ手を伸ばすとき
- 買い物袋を持ち上げて振り向いたとき
「立ち上がる」「歩く」といった単純な動きでは平気でも、ねじり動作だけで痛みが出ることがあるのが特徴です。
腰をひねったときに痛む原因
腰の構造は、背骨(腰椎)が積み木のように並び、その間にクッションの役割をする椎間板や関節があります。通常、腰は大きくねじる構造にはなっていません。そのため、過度なひねりが加わると筋肉や関節に負担がかかり、痛みが出やすくなります。
主な原因には以下があります。
- 筋肉の硬さやバランスの乱れ
腹筋や背筋が弱っていると腰に負担が集中します。特に体幹(お腹まわり)の筋肉が弱いと、ねじり動作を支えきれず痛みが出ます。 - 椎間関節や椎間板への負担
腰椎は前後の動きに強い一方、回旋には弱いため、ひねり動作で炎症やストレスが生じることがあります。 - 加齢や運動不足による柔軟性低下
50代以降は筋肉や関節の柔軟性が落ちやすく、普段の姿勢や生活習慣も影響して腰痛につながります。 - 疾患によるもの
椎間板ヘルニアや腰椎すべり症、脊柱管狭窄症などでも、ひねりで痛みが強まる場合があります。
改善のための体幹トレーニングと生活習慣
腰のひねり痛を防ぐには、体幹を安定させる筋力と、しなやかな柔軟性が大切です。
1. 基本の体幹トレーニング
- ドローイン(腹式呼吸トレーニング)
仰向けに寝てお腹をへこませ、呼吸をしながら深層の筋肉を意識します。腰に負担をかけずに体幹を強化できます。 - ブリッジ運動
膝を立てて仰向けに寝て、お尻を持ち上げます。背中から腰を安定させる効果があります。
2. 柔軟性を保つストレッチ
- お尻のストレッチ(股関節の柔軟性を高める)
- 太もも裏(ハムストリングス)のストレッチ(腰の負担を減らす)
3. 日常生活で気をつけたいポイント
- 重い荷物を持つときは体をひねらず、足ごと向きを変える
- 長時間の座位では背もたれを活用し、腰を反らしすぎない
- 適度な運動習慣を取り入れる(ウォーキングなど)
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて「再生医療」という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体が本来持つ自然治癒力を引き出し、関節や組織の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を点滴で投与することで、膝や股関節だけでなく、腰痛などの慢性疼痛に対しても炎症を抑えたり、組織の修復を促したりする効果が期待されています。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無を医師がしっかり診断したうえで治療を検討することが大切です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 痛みがあるときは動かさない方がいいですか?
A. 強い痛みやしびれがあるときは安静が必要ですが、軽い痛みなら無理のない範囲で体を動かした方が回復につながります。
Q2. コルセットは常に着けた方がいいですか?
A. 一時的に痛みを和らげる効果はありますが、長期使用は筋力低下を招きます。必要な場面だけにしましょう。
Q3. 運動しても改善しないときは?
A. 椎間板や関節の病気が隠れていることがあります。整形外科を受診して画像検査を受けることをおすすめします。
まとめ
腰をひねったときの痛みは、体幹の筋力不足や柔軟性の低下によって起こることが多く、適切なトレーニングや生活習慣の工夫で改善できる可能性があります。「年齢のせいだから仕方ない」と諦めず、少しずつ体を整えていきましょう。早めに専門医へ相談すれば、日常生活の快適さを取り戻すことができます。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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