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膝 高齢者に多い膝の悩みとは?原因と解決法を徹底解説

年齢を重ねるとともに、「膝が痛くて歩けない」「階段がつらい」「正座ができない」といった悩みを抱える方が増えてきます。特に高齢者にとって膝のトラブルは、生活の質(QOL)を大きく左右する重大な問題です。
この記事では、高齢者に多い膝の痛みの原因と、その具体的な対処法についてわかりやすく解説します。将来の自分やご家族の健康のためにも、膝の仕組みと適切なケアについて知っておきましょう。
高齢者の膝に起こりやすい症状とは?
高齢になると、膝には以下のような症状が出やすくなります。
・膝の内側がズキズキ痛む
・歩き始めや立ち上がり時に強い痛みがある
・階段の下りが特に苦痛
・膝に違和感がある、こわばる
・関節が腫れている、熱を持っている
こうした症状は、日々の動作の中で徐々に現れることが多く、「年のせいだから仕方ない」と放置されがちです。しかし、早期に原因を見極め、適切な対応を取ることで、症状の進行を防ぐことができます。
高齢者の膝の痛みの主な原因
① 変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)
最も多い原因がこれです。膝の関節軟骨がすり減ってしまい、骨同士がこすれ合うことで炎症や変形を起こします。特に膝の内側に痛みが出ることが多く、女性に多く見られます。
② 関節リウマチ
免疫の異常で関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されていく病気です。朝のこわばりや関節の腫れ、痛みが特徴です。リウマチは早期発見・早期治療が非常に重要です。
③ 半月板損傷や靱帯の緩み
高齢者でも、加齢とともに膝のクッションである半月板が傷ついたり、靱帯が弱くなったりします。転倒や軽い捻挫でも損傷することがあり、ロッキング(膝が動かない)を起こすこともあります。
④ 筋力低下と姿勢の変化
太ももの筋力(特に大腿四頭筋)の低下や、O脚などの姿勢の変化によって膝への負担が増し、慢性的な痛みを引き起こします。
自宅でできる膝のケアと予防法
高齢者の膝の健康を守るには、日常生活の中で無理のない範囲でケアを続けることが大切です。
・太ももの筋肉を鍛える
椅子に座ったままできる「膝伸ばし運動」や、仰向けで足を持ち上げる「レッグレイズ」など、無理のない範囲で筋力を維持しましょう。
・関節を冷やさない
膝周辺が冷えると血流が悪くなり、痛みが増すことがあります。冬場はレッグウォーマーなどで保温を心がけましょう。
・体重管理
体重が重くなると膝への負担が増え、変形性膝関節症が進行しやすくなります。無理のない食事管理やウォーキングで、適正体重を維持することが大切です。
・正しい靴選び
クッション性のある靴、かかとが安定する靴を選ぶことで膝への負担を軽減できます。サンダルやスリッパでの長時間歩行は避けましょう。
医療機関での治療選択肢
症状が長引く場合は、整形外科の受診が必要です。以下のような治療法が検討されます。
・薬物療法
消炎鎮痛剤や外用薬(湿布など)が一般的です。リウマチの場合は、専門的な抗リウマチ薬が用いられます。
・ヒアルロン酸注射
膝の関節に直接注射することで潤滑性を高め、痛みを和らげます。定期的に注射することで効果が持続します。
・リハビリテーション
理学療法士の指導のもと、膝の動きを改善する運動や、正しい歩き方の指導を受けられます。
・再生医療(PRP・幹細胞治療)
変形性膝関節症の初期〜中期に有効な先進治療として注目されているのが再生医療です。自己の血液や脂肪から抽出した成分を用い、損傷した組織の修復を促します。手術を避けたい方にも適した選択肢です。
・人工関節置換術
関節の変形が進行し、日常生活に大きな支障がある場合には、手術による人工関節への置き換えが検討されます。術後のリハビリが重要です。
まとめ:膝の痛みは年齢のせいとあきらめないで
高齢者の膝の痛みは、原因を正しく理解し、早めに適切な対処をすれば多くは改善可能です。特に変形性膝関節症は進行を止めることができれば、手術を回避することも可能です。
「年だから仕方ない」と思わず、気になる痛みや違和感があれば早めに整形外科に相談しましょう。膝の健康を守ることは、いきいきとした老後を送るための第一歩です。
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札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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