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腰 足のしびれや痛みはヘルニアや脊柱管狭窄症のサイン?原因と治療法を専門医が解説

「最近、足にしびれを感じる」「長時間歩くと脚が痛くなる」——そんな症状に心当たりはありませんか?加齢や運動不足といった理由で片付けがちな足の不調ですが、もしかすると「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」といった背骨の病気が関係しているかもしれません。
これらの疾患は、放っておくと日常生活に大きな支障をきたすこともあります。この記事では、ヘルニアや脊柱管狭窄症の症状、原因、治療法について、整形外科専門医の視点からわかりやすく解説します。
この記事の内容
足のしびれや痛みの原因とは?
足のしびれや痛みの原因には、血流障害や糖尿病による神経障害などさまざまなものがありますが、特に多いのが「腰椎(ようつい)」と呼ばれる腰の骨の問題によるものです。
腰椎には脳から足へと続く神経が通っており、その神経が圧迫されると足にしびれや痛みが現れます。特に注意したいのが「椎間板ヘルニア」と「脊柱管狭窄症」です。
椎間板ヘルニアとは?
椎間板ヘルニアは、背骨の間にあるクッションのような軟骨(椎間板)が飛び出して、神経を圧迫する病気です。若い人にも多く、スポーツや重い物を持ち上げた拍子に突然症状が出ることがあります。
症状としては、腰痛に加え、お尻から足先にかけての痛みやしびれ、場合によっては力が入りにくくなる「筋力低下」も見られます。
脊柱管狭窄症とは?
一方、脊柱管狭窄症は中高年に多い疾患で、加齢により背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫される病気です。
特徴的な症状として、「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」があります。これは、歩いていると足がしびれて歩けなくなるが、少し休むとまた歩けるようになるというものです。この症状がある方は、脊柱管狭窄症の可能性が高いといえます。
どのように診断するの?
整形外科では、まず問診と身体診察を行い、どの神経が障害されているのかを確認します。その上で、必要に応じてMRI検査やレントゲン検査を行い、神経の圧迫具合や背骨の状態を詳しく調べます。
治療法は?手術しないと治らない?
「ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」と聞くと、すぐに手術をイメージされる方も多いかもしれませんが、実際には多くのケースで保存療法(手術をしない治療)から始めます。
保存療法には、消炎鎮痛剤の内服や神経ブロック注射、理学療法(リハビリ)などがあります。痛みやしびれが軽減していけば、手術は不要です。
ただし、症状が強く、日常生活に支障が出ている場合や、保存療法で改善が見られない場合には手術が選択されることもあります。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて「再生医療」という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体が本来持つ自然治癒力を引き出し、関節や組織の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を点滴で投与することで、膝や股関節だけでなく、腰痛などの慢性疼痛に対しても炎症を抑えたり、組織の修復を促したりする効果が期待されています。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無を医師がしっかり診断したうえで治療を検討することが大切です。
まとめ:放置せず、早めの相談を
足のしびれや痛みは、日常生活の中で「年のせい」と見過ごされがちですが、実は重大な病気のサインであることもあります。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は、早期に対処すれば保存療法でも改善が見込める病気です。
「最近、足がしびれる」「長く歩けなくなってきた」といった症状がある方は、早めに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 足のしびれは加齢によるものでしょうか?
A. 加齢が原因の一つであることはありますが、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった病気が関係している場合もあります。早めの診断が重要です。
Q2. ヘルニアや脊柱管狭窄症は手術しないと治りませんか?
A. 多くのケースで保存療法(薬、注射、リハビリ)により改善が期待できます。手術は症状が重い場合に選択されます。
Q3. 再生医療は足のしびれにも効果がありますか?
A. 炎症の抑制や神経の回復を目的とした再生医療が注目されています。全ての方に適応できるわけではありませんが、手術を避けたい方にとって選択肢となり得ます。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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