
コラム COLUMN
膝 正座後に膝がしびれる?原因と考えられる神経障害を専門医が解説

正座をしたあとに「膝がジンジンしびれる」「感覚が鈍い」と感じたことはありませんか?
年齢とともにこうした症状が現れる方は多く、当院にも「正座のあとにしびれが取れにくい」というお悩みで来院される方がいらっしゃいます。
「一時的なものだから大丈夫かな?」と様子を見ているうちに、しびれが慢性化してしまうケースもあります。
今回は、正座後に起こる膝のしびれの原因や考えられる神経障害について、専門医の立場からわかりやすく解説します。
この記事の内容
正座後にしびれるのはよくあること?
正座は膝や足首に強い圧力がかかる姿勢です。そのため、長時間続けることで「血流が一時的に滞る」「神経が圧迫される」などが起きやすく、しびれを感じることがあります。
こうした一時的なしびれは、多くの場合すぐに回復します。
しかし、以下のようなケースでは注意が必要です。
- しびれが数分以上続く
- しびれだけでなく痛みや力の入りにくさがある
- 同じ場所で繰り返し症状が出る
- 夜間や日常生活の中でもしびれる
このような場合、単なる「正座によるしびれ」ではなく、神経の障害や膝関節の疾患が隠れている可能性があります。
考えられる原因は?しびれの背後にある病気とは
膝のしびれには、いくつかの原因が考えられます。特に高齢者や中高年に多く見られるのが以下のようなものです。
1. 腓骨神経の圧迫(ひこつしんけいのあっぱく)
膝の外側、ちょうど骨が出っ張ったあたりを通っているのが腓骨神経(ひこつしんけい)です。
正座中にこの部分が圧迫されると、膝下から足首、足の甲にかけてしびれを感じることがあります。
特に痩せている方や長時間正座する習慣がある方に起こりやすいのが特徴です。
2. 腰椎疾患(ようついしっかん)
腰の神経が圧迫されて、膝や足にしびれを感じることもあります。
「腰は痛くないのに、膝がしびれる」という場合でも、坐骨神経痛や脊柱管狭窄症などが関係していることがあります。
3. 変形性膝関節症
膝関節の軟骨がすり減り、炎症や変形が進んだ状態です。
この病気が進行すると、関節周囲の神経に影響を与えることもあり、しびれやだるさ、動かしにくさを伴うことがあります。
4. 糖尿病性神経障害
糖尿病をお持ちの方は、神経の働きが鈍くなる「末梢神経障害」を起こしやすく、膝や足のしびれの原因となることがあります。
「少しのしびれだから」と軽視せず、きちんと検査を受けることが大切です。
対処法と予防法|まずは生活の見直しから
しびれが一時的なものであれば、無理な姿勢を避けたり、こまめに体勢を変えたりすることで改善することが多いです。
ですが、しびれが繰り返される、長引く、悪化していると感じたら、早めの受診をおすすめします。
生活でできる対策
- 正座は短時間にとどめる
- クッションを膝下に入れて負担を減らす
- 足を伸ばして休憩する習慣をつける
- 血流をよくする軽い運動やストレッチを習慣にする
医療機関での対応
- 神経や関節の状態を確認するための画像検査(MRI・レントゲンなど)
- 血液検査(糖尿病や炎症の有無を確認)
- 症状に応じたリハビリや薬物療法、装具療法の提案
症状によっては、関節注射や再生医療など、より専門的な治療が必要になることもあります。
まずはご自身の状態を正確に知ることが、改善への第一歩です。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
よくある質問と誤解
Q1:しびれているときは動かさない方がいいの?
A:軽いしびれであれば、ゆっくりと足を伸ばしたり、優しくマッサージしたりして血流を促すのがおすすめです。
強い痛みやまひがあるときは、無理せず安静にし、早めに受診しましょう。
Q2:しびれは加齢のせいで仕方ない?
A:年齢とともに血流や神経の働きが低下することはありますが、しびれが続くのは何かのサインかもしれません。原因に応じた対処をすれば、改善できることも多くあります。
まとめ|正座後のしびれ、あきらめないで
正座のあとに感じる膝のしびれ。
「そのうち治るかな」と放っておくのではなく、「何が原因なのか」「他の病気が隠れていないか」を知ることがとても大切です。
しびれは、体からの大切なサインです。
少しでも気になる方は、整形外科や神経内科で相談してみてください。
年齢のせいとあきらめず、正しく対処することで、日常生活の快適さを取り戻すことができますよ。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


各種ご相談やご予約はこちら
- ひざの痛みに関する相談
- セカンドオピニオンの相談
- 再生医療に関する相談
- MRI検査のご予約