コラム COLUMN
スポーツ外傷肩 ゴルフ肩の治療とその予防
ゴルフ肩(スイングショルダー)とは?その原因と治療法
ゴルフは多くの人に愛されるスポーツですが、繰り返し行うスイング動作によって、特定の部位に負担がかかりやすく、その結果、肩に痛みや不調を感じることがあります。その中でも「ゴルフ肩」または「スイングショルダー」と呼ばれる肩の障害は、ゴルファーに多く見られる症状の一つです。本記事では、ゴルフ肩の原因や治療法、予防策についてわかりやすく解説していきます。
ゴルフ肩(スイングショルダー)とは?
ゴルフ肩は、ゴルフのスイング動作によって肩の関節や周囲の組織が損傷することから起こる痛みや不調を指します。特定の病名ではなく、肩の関節や筋肉、腱などに負担がかかることで引き起こされる症状の総称です。肩の痛みは、肩関節だけでなく肩甲骨周りや腕にかけて現れることもあり、ゴルフを頻繁に行う人に特に多い症状です。
ゴルフ肩に含まれる主な疾患として、以下のものが挙げられます。
- 腱板損傷:肩の回旋筋腱板が損傷し、痛みや腕の動きに制限が生じます。
- 腱板断裂:腱板が完全に断裂する状態で、激しい痛みや腕を上げるのが困難になります。
- 上腕二頭筋腱損傷:上腕二頭筋の腱が損傷し、肩や腕に痛みが広がります。
- 肩峰下インピンジメント:肩の骨や筋肉が狭いスペースでぶつかり合い、炎症や痛みを引き起こします。
- 変形性関節症:関節の摩耗や変形による慢性的な痛みです。
- 肩関節の不安定性:肩関節が安定せず、脱臼しやすい状態になることです。
ゴルフ肩の原因
ゴルフ肩の主な原因は、スイング動作に伴う肩への過度な負担です。ゴルフスイングでは、左右の肩がそれぞれ異なる動きを要求されます。バックスイング時には、前方の肩は内転(体に近づく動き)、後方の肩は外転(体から遠ざかる動き)をするため、両肩に極端なストレスがかかります。
特に、右利きのゴルファーは左肩に負担がかかりやすく、スイングの繰り返しによって肩の筋肉や腱が徐々に損傷していきます。また、地面の抵抗やクラブの重さも加わり、肩へのダメージをさらに悪化させることがあります。頻繁なラウンドや練習も、ゴルフ肩のリスクを高めます。
ゴルフ肩の検査
ゴルフ肩の診断は、症状の経過や痛みの部位に基づいて行われますが、必要に応じて画像検査も実施されます。MRIや超音波検査(エコー)を使って、肩の筋肉や腱、関節の状態を詳しく調べ、損傷の程度を確認します。高齢のゴルファーでは、肩鎖関節(肩甲骨と鎖骨のつなぎ目)の変形や摩耗も考慮され、レントゲン検査が行われることもあります。
ゴルフ肩の治療法
ゴルフ肩の治療は、損傷の部位や程度に応じて異なります。軽度の症状であれば、まずは肩への負荷を減らし、安静を保つことが基本です。痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤の使用や、肩に対するアイシングも有効です。
リハビリテーションはゴルフ肩の治療において重要な要素であり、肩周りの筋力強化や柔軟性向上を図ります。肩甲骨周りの動きの改善や、ゴルフスイングに特化した運動療法も含まれます。これにより、再発予防やゴルフパフォーマンスの向上も期待できます。
特に重要なのは、スイングの矯正です。誤ったフォームでスイングを続けると、再度肩を痛めるリスクが高くなるため、専門家による指導の下で正しいスイング動作を習得することが大切です。
ゴルフ肩の予防策
ゴルフ肩を予防するためには、日頃からのケアが欠かせません。特に、準備運動やストレッチを徹底することで、肩への負担を減らすことが可能です。以下に、ゴルファー向けのおすすめのストレッチを紹介します。
肩甲骨のストレッチ
肩甲骨周りの筋肉を柔軟にすることで、スイング時の肩の可動域が広がります。肩甲骨周りの筋肉を伸ばすストレッチを日頃から行いましょう。
- 両腕を前方に伸ばし、肩甲骨を外側に開くように肩を前に突き出します。
- その状態を数秒キープし、ゆっくりと元に戻します。
- これを3セット行います。
股関節のストレッチ
ゴルフスイングでは股関節の柔軟性も重要です。股関節を柔らかくすることで、肩や腰への負担を軽減できます。
- 足を肩幅に開き、ゆっくりと腰を落とします。
- 左右にひねりながら、股関節の筋肉を伸ばします。
- 片側3セットずつ行いましょう。
まとめ
ゴルフ肩は、ゴルフのスイング動作によって肩の関節や周囲の組織が損傷することで引き起こされる症状です。適切なリハビリテーションやフォームの改善によって回復を図ることができ、ゴルフパフォーマンスの向上にもつながります。肩の痛みを感じたら早めに専門医を受診し、適切な治療を受けることが大切です。また、日頃からのストレッチやケアを習慣化することで、ゴルフ肩を予防し、安全にスポーツを楽しみましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
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