
コラム COLUMN
再生医療膝 膝に注射する治療とは?ヒアルロン酸と再生医療の違いを解説

膝の痛みが気になったとき、「注射をすれば楽になるかも」と考えたことはありませんか?
整形外科では、膝関節の痛みに対して「関節内注射」がよく行われています。代表的なものにヒアルロン酸注射があり、最近では再生医療による注射治療も注目されています。
本記事では、「膝に注射する治療」について、ヒアルロン酸注射と再生医療(PRP療法や幹細胞治療)の違いを、整形外科専門医の視点からわかりやすく解説します。
膝に注射する治療の目的とは?
膝の関節に注射する治療は、主に次のような目的で行われます。
- 関節の痛みをやわらげる
- 炎症を抑える
- 関節の動きを改善する
- 軟骨の保護や修復を促す
使われる薬剤によって効果の持続期間や作用機序が異なります。加齢や使いすぎなどで膝に負担がかかると、関節の中で摩擦が生じたり、炎症が起きたりして痛みを感じるようになります。その痛みを改善するために注射が用いられるのです。
よく使われる「ヒアルロン酸注射」とは?
ヒアルロン酸は、もともと体内にある成分で、関節の潤滑やクッションのような役割をしています。膝関節に注射することで、滑らかな動きを助けたり、痛みを和らげたりする効果が期待されます。
ヒアルロン酸注射の特徴
- 保険適用の治療
- 通院しながら5回程度の注射が一般的
- 即効性があり比較的安全
- 軟骨を再生させる作用はない
ヒアルロン酸注射は、軽度〜中等度の変形性膝関節症に効果があるとされていますが、重症の関節症や進行した軟骨のすり減りには効果が限られることもあります。
再生医療による膝への注射治療とは?
近年注目されているのが、PRP療法や幹細胞治療といった「再生医療」です。これらは、自己治癒力を高めることを目的とし、関節の修復や炎症の抑制を図る治療法です。
PRP(多血小板血漿)療法
PRP療法は、自分の血液を採取して遠心分離し、血小板が豊富に含まれた部分だけを抽出して膝関節に注射する治療法です。
血小板には「成長因子」と呼ばれる物質が含まれており、損傷した組織の修復や炎症の抑制を促します。
- 自己血を使用するため副作用が少ない
- 関節の中の組織修復を助ける
- 保険適用外(自由診療)だが、比較的費用が抑えられる
幹細胞治療
幹細胞治療では、自分の脂肪から取り出した幹細胞を培養してから関節内に注射します。幹細胞は、軟骨細胞に分化する可能性を持ち、損傷部位に移動して修復をサポートする力があります。
- 軟骨の再生を目指す根本治療
- 効果の持続性が期待できる
- 1回の治療で長期間の改善が見込める
- 高度な技術と設備が必要であり、費用は高め
ヒアルロン酸と再生医療、どちらを選ぶべき?
症状の重さや、治療への希望、費用の面から選択肢は変わります。
比較項目 | ヒアルロン酸注射 | 再生医療(PRP/幹細胞) |
---|---|---|
保険適用 | ○ | ×(自由診療) |
持続性 | △(短期間) | ○(長期間) |
軟骨再生 | × | ○(幹細胞) |
副作用 | 少ない | 少ない |
費用 | 安価(保険適用) | やや高額(自費) |
まずは、整形外科で診断を受けた上で、自分の膝の状態に合った治療法を選ぶことが大切です。特に、長期間痛みが続いている方や、手術を避けたい方には再生医療という選択肢が有効です。
まとめ
膝に注射する治療にはいくつかの種類がありますが、目的や効果の持続性、費用、体への影響はそれぞれ異なります。
- ヒアルロン酸注射は保険が効き、即効性あり
- PRPは自己修復力を高め、炎症抑制に効果的
- 幹細胞治療は軟骨の再生を目指す根本治療
それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあるため、医師としっかり相談しながら、自分に合った方法を選びましょう。


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