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股関節 石灰沈着性股関節炎とは?原因・症状・治療法を解説
股関節に痛みが現れると、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。その痛みの原因の一つに「石灰沈着性股関節炎」があります。この疾患について、原因や症状、治療法をわかりやすく解説します。
石灰沈着性股関節炎とは?
石灰沈着性股関節炎は、股関節周囲の腱や筋肉にカルシウムが沈着することで起こる炎症性疾患です。特に40~50代の女性に多く見られる傾向がありますが、男性や高齢者にも発症することがあります。
股関節に石灰が沈着すると、身体がそれを異物と認識し、炎症を引き起こします。この炎症が痛みや腫れ、股関節の動きの制限をもたらします。
主な症状
石灰沈着性股関節炎の症状は以下の通りです。
- 股関節の付け根に強い痛み
痛みは突然現れることが多く、体重をかける動作(歩行や階段の上り下り)が困難になる場合があります。
- 関節の動きの制限
股関節を曲げたり伸ばしたり、足を外側や内側に動かす際に痛みや動きづらさが生じます。
- 腫れや発熱感
痛む部位が腫れたり、熱を持つことがあります。
- 歩行困難
痛みが強いため、歩行が難しくなる場合もあります。
症状は個人差がありますが、高齢者では炎症が緩やかで長引くことが多く、若年者では炎症が激しく、短期間で症状が改善することが一般的です。
石灰沈着の原因
石灰沈着性股関節炎の原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。
- カルシウム代謝の異常
骨から溶け出したカルシウムが腱や筋肉に沈着することで石灰化が起こります。
- 年齢による変化
加齢に伴いカルシウムの代謝バランスが崩れることがあります。
- 関節や筋肉への負担
長時間の立ち仕事や激しい運動が股関節への負担となり、炎症を引き起こすことがあります。
- 過剰なカルシウム摂取
過剰なカルシウム摂取が一部で石灰化を促進することがあります。
診断方法
診断は、以下の方法で行われます。
- 問診と身体検査
症状や痛みの部位、発症時期を確認します。
- 画像検査
レントゲン検査:沈着した石灰の影を確認します。
エコー検査:筋肉や腱に沈着した石灰の位置を特定します。
CTやMRI検査:詳細な画像診断が必要な場合に実施されます。
- 血液検査
炎症の有無やカルシウム代謝の異常を確認します。
治療法
石灰沈着性股関節炎の治療は、症状や患者の状態に応じて異なります。主な治療法は以下の通りです。
保存療法
- 内服薬や湿布:痛みや炎症を抑えるために使用します。
- 安静:痛みが強い場合は股関節を休めることが重要です。
- 冷却や温熱療法:炎症の状態に応じて、冷却や温熱を用いることがあります。
リハビリテーション
- 筋力トレーニング:股関節周囲の筋肉を鍛えることで、股関節への負担を軽減します。
- 関節可動域の拡大:硬くなった筋肉や関節を柔軟にする運動を行います。
ステロイド注射
- 痛みが激しい場合、炎症を抑えるためにステロイド注射が行われることがあります。
自然吸収
- 石灰化は時間とともに自然に吸収されることが多いですが、症状が続く場合は追加の治療が必要です。
予防方法
石灰沈着性股関節炎を予防するためには以下のような対策が有効です。
- 適度な運動:股関節周囲の筋力を維持するために、ウォーキングやストレッチを行いましょう。
- 適切なカルシウム摂取:過剰摂取を避け、バランスの取れた食事を心がけましょう。
- 体重管理:股関節への負担を軽減するため、適正体重を維持することが重要です。
まとめ
石灰沈着性股関節炎は、股関節に痛みや運動制限をもたらす疾患ですが、早期の診断と適切な治療により、多くのケースで症状が改善します。股関節に痛みがある場合は我慢せず、早めに整形外科を受診してください。
健康な股関節を保つためにも、普段から予防策を心がけ、症状が出た場合は早期対応を心がけましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
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