コラム COLUMN
スポーツ外傷膝 スポーツ外傷で多い半月板損傷とは?
半月板損傷は、膝の関節にある半月板という組織に生じる損傷のことです。半月板は、大腿骨と脛骨の間に位置し、膝の安定性を高めるとともに、衝撃吸収の役割を果たしています。この損傷は、スポーツ中の急な方向転換や強い衝撃、長期間にわたる使用による摩耗などで発生することがあります。
半月板損傷の症状
半月板損傷は主に以下のような症状が現れることがあります:
- 膝の痛み、特に関節の内側または外側
- 膝の腫れ
- 膝の動きが制限される、または「ロック」される感じ
- 膝を曲げたり伸ばしたりする時のポップやクリック音
半月板損傷の診断とその治療
診断は、患者の症状の詳細な聴取、膝の所見、そしてMRIなどの画像診断によって行われます。半月板損傷の治療には、保存療法と手術療法の2つのアプローチがあります。初期段階では、特に症状が軽度の場合、保存療法が推奨されます。これには薬物療法、物理療法、装具療法、運動療法が含まれ、これらの組み合わせによって症状の改善を目指します。薬物療法では炎症を抑え、物理療法では痛みを和らげ、装具療法では膝への負担を軽減し、運動療法では膝周辺の筋力を強化して半月板への負担を減らすことが目的です。
半月板損傷のリハビリ
リハビリテーションにおいては、ストレッチングと筋力トレーニングが重要な役割を果たします。ストレッチングにより関節の可動域を拡大し、筋力を増強することで痛みを緩和できます。筋力トレーニングでは、膝を支える筋肉を強化し、膝の安定性を向上させることが目的です。これにより、日常生活で膝にかかる負担を軽減し、痛みを軽減する効果が期待できます。
半月板損傷の保存療法・手術療法
保存療法で改善が見られない場合、または症状が重度の場合には、手術療法が検討されます。手術には、損傷した半月板を切除する切除術や、可能であれば損傷部位を縫合する縫合術があります。切除術は痛みの原因となっている部分を除去することで症状を和らげますが、将来的に変形性膝関節症になるリスクが高まる可能性があります。そのため、最近の治療では、できるだけ半月板を温存する方向で進められています。
特に中高年では、半月板損傷は筋力の低下や体重の増加による膝への慢性的な負担が原因で発生することが多いです。この年代の場合、スクワットや水中ウォーキングなどの筋力トレーニングで大腿四頭筋を強化することが症状の改善に役立つと言われています。また、肥満の方は体重を減らすことが効果的ですし、サポーターやO脚矯正のためのインソールの使用も症状の軽減に役立つ場合があります。
半月板損傷を放置すると・・・
半月板損傷を放置すると、膝の変形性関節症が進行し、その結果人工膝関節置換術が必要になるリスクが高まります。そのため、膝の痛みや違和感があれば適切な治療を受けることが重要です。早期の段階で適切な治療を受けることで、長期的な膝の健康を守り、日常生活やスポーツ活動への復帰が可能になります。リハビリテーションや運動療法は、手術を避けるためにも、手術後の回復を促進するためにも非常に重要です。医師の指導のもと、個々の状態に合わせた治療計画を立て、継続的なケアと自己管理を行うことが、半月板損傷の治療において最も効果的なアプローチと言えるでしょう。
膝の痛みや違和感を感じた場合は、早めに整形外科を受診し、専門医の診断と治療を受けることが重要です。また、膝の健康を長期にわたって維持するためには、適切な運動や生活習慣の見直しも役立つでしょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
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