
コラム COLUMN
スポーツ外傷 スポーツで膝を痛めたら?応急処置と早期回復のポイント

スポーツ中に膝を痛めてしまった経験はありませんか?膝は体重を支える重要な関節であり、スポーツでは特に負担がかかるため、ケガが起きやすい部位です。膝の痛みを放置すると、回復に時間がかかるだけでなく、将来的な障害につながることもあります。今回は、膝を痛めたときの正しい応急処置と、早期回復を目指すためのポイントについて、整形外科専門医の立場からわかりやすく解説します。
膝を痛めやすいスポーツと主なケガ
膝のケガはどのようなスポーツで起こりやすいのでしょうか。代表的なものには、サッカー、バスケットボール、バレーボール、テニス、ランニング、スキーなどがあります。これらの競技は、ジャンプや急な方向転換、ダッシュとストップを繰り返す動きが多く、膝への負担が大きいのが特徴です。
主な膝のケガには以下が挙げられます。
- 靭帯損傷(前十字靭帯、内側側副靭帯など)
- 半月板損傷
- 膝蓋骨脱臼
- 膝周囲の打撲や捻挫
ケガの種類によって、必要な対応や治療が異なるため、正しい判断が大切です。
膝を痛めた直後にやるべき応急処置「RICE処置」
膝を痛めたときにまず実践したいのが、「RICE処置」です。これは次の4つの頭文字を取った応急処置の基本です。
Rest(安静)
膝に負担をかけないよう、すぐに運動を中止し、安静にします。無理に動かすとケガが悪化するリスクがあります。
Ice(冷却)
痛めた箇所を氷や冷却材で冷やします。冷却は腫れや炎症を抑える効果があり、1回20分程度、数時間おきに行うのが効果的です。
Compression(圧迫)
弾性包帯やサポーターを使って軽く圧迫します。これにより、内出血や腫れを防ぐ効果が期待できます。ただし、強く締めすぎないよう注意しましょう。
Elevation(挙上)
膝を心臓より高い位置に上げることで、血流をコントロールし、腫れを軽減します。横になる際はクッションなどを使うとよいでしょう。
これらを迅速に行うことで、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることができます。
早期回復のために大切なポイント
応急処置の後、膝のケガからできるだけ早く回復するためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
1. 医療機関で正確な診断を受ける
自己判断で様子を見るだけでは、見逃してしまう重大な損傷があるかもしれません。特に、膝に強い腫れや痛み、ぐらつきがある場合は、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。レントゲン検査やMRI検査で詳しく調べることが適切な治療につながります。
2. 早期のリハビリテーションを開始する
ケガの種類にもよりますが、安静にする期間を過ぎたら、早めにリハビリを始めることが回復を早めます。リハビリでは、膝周囲の筋肉を鍛えたり、関節の可動域を広げたりする運動を段階的に行います。理学療法士や医師の指導のもと、適切なトレーニングを行いましょう。
3. 再発防止のためのトレーニングを取り入れる
膝を再び痛めないためには、体幹や下肢の筋力強化、柔軟性向上が欠かせません。ジャンプや方向転換の動きに耐えられる膝を作るため、バランストレーニングやスクワット、ストレッチなどを日常的に取り入れることが推奨されます。
4. 無理に早期復帰を目指さない
スポーツ復帰を焦ってしまうと、かえって膝に負担をかけ、再度ケガをしてしまうリスクが高まります。痛みが完全に取れ、筋力やバランスが十分に回復してから復帰することが重要です。復帰のタイミングについても、必ず主治医の指示を仰ぎましょう。
膝の再生医療という選択肢も
近年では、膝のケガに対して再生医療を活用するケースも増えています。例えば、PRP(多血小板血漿)療法や、脂肪由来幹細胞を用いた治療は、組織の修復を促進し、回復を早める効果が期待されています。
特に、靭帯損傷や半月板損傷に対しては、手術を回避できる可能性があることから注目されています。膝の痛みが長引く場合や、通常の治療でなかなか改善しない場合は、再生医療の専門クリニックに相談してみるのも一つの方法です。
まとめ
スポーツ中に膝を痛めたときは、まず「RICE処置」を実践し、早めに医療機関を受診することが大切です。さらに、リハビリやトレーニングを通じて膝の機能回復と再発防止に努めることが、長くスポーツを楽しむためのカギとなります。
膝のケガは早期対応が命です。適切な応急処置と継続的なケアで、できるだけ早い回復を目指しましょう。


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