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膝 肥満とひざの痛みの関係|体重を減らすことで改善する理由とは?

「最近、歩くたびにひざが痛い…」「階段の上り下りがつらくなった…」そんなお悩みを抱えている方は少なくありません。特に肥満体型の方に多く見られるのが、ひざの痛みや違和感です。実は体重の増加とひざ関節の痛みには深い関係があることがわかっています。この記事では、肥満がひざに与える影響や、体重を減らすことでなぜ痛みが軽減するのか、そのメカニズムと対策をわかりやすく解説します。
肥満がひざに与える影響とは
ひざ関節は体重を支える重要な関節で、歩行時には体重の約3倍、階段の昇降では体重の約5倍もの負荷がかかるといわれています。たとえば体重が1kg増えると、ひざには約3kg〜5kgの負荷が余計にかかることになります。
このような過剰な負担が続くと、関節の軟骨がすり減り、炎症を起こしやすくなります。その結果として「変形性ひざ関節症」などの痛みを伴う疾患へとつながるのです。
体重を減らすことで得られるメリット
体重を減らすことによって、ひざへの負担は確実に軽くなります。ある研究では、体重が10%減ると、ひざの痛みや機能障害が大幅に改善されたというデータもあります。具体的には以下のようなメリットが期待されます。
- 関節の負担が軽減され、炎症が起きにくくなる
- 軟骨の摩耗が進行しにくくなる
- 日常生活の動作が楽になる(歩行・階段昇降など)
- 運動習慣がつきやすくなる
つまり、体重を減らすことでひざ関節を守るだけでなく、痛みの緩和や運動機能の向上にもつながるのです。
どのくらいの減量が効果的?
ひざの痛み改善のためには、急激な減量よりも、継続的かつ無理のない減量が理想的です。目安としては、体重の5〜10%の減量を目指すのが効果的です。たとえば、体重が70kgの方であれば、3.5kg〜7kgの減量が目標になります。
この範囲であれば健康的に減量を進めることができ、関節に与える負担も確実に軽減されます。
食事と運動、どちらが大事?
減量には「摂取カロリーを抑える食事」と「消費カロリーを増やす運動」の両方が大切ですが、最初の段階では食事の改善が特に重要です。なぜなら、運動はひざの痛みがある状態では難しい場合もあるからです。
まずは、糖質や脂質の摂りすぎを控え、バランスの良い食事を心がけることから始めましょう。痛みが落ち着いてきたら、**ひざに負担の少ない運動(ウォーキング、水中ウォーキング、ストレッチなど)**を取り入れることで、より効果的に減量できます。
再生医療との併用も効果的
体重のコントロールはひざの痛み対策にとって重要な柱ですが、それだけで完全に症状が改善するとは限りません。特に軟骨の摩耗が進んでいる場合には、PRP(多血小板血漿)療法や幹細胞治療といった再生医療との併用が有効な選択肢となります。
当院でも、肥満傾向の方に対し、体重管理と再生医療を組み合わせることで、高い治療効果を得ているケースが多くあります。
まとめ
肥満はひざの痛みを悪化させる大きな要因の一つですが、体重を少し減らすだけでもひざの状態は大きく改善する可能性があります。
日常生活に支障が出ている方や、将来的に人工関節手術を避けたい方は、まずは無理のない減量から始めてみてはいかがでしょうか。必要に応じて専門医に相談しながら、適切な治療と予防を進めていきましょう。


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