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肩 猫背が肩に与える悪影響とは?正しい姿勢で肩こりを防ぐ方法

現代人に増えている身体の不調のひとつが「肩こり」。その原因として見逃されがちなのが「猫背」です。スマートフォンやパソコンの使用が増えた今、無意識のうちに背中が丸まり、肩こりや頭痛などさまざまな症状を引き起こしています。この記事では、整形外科専門医の立場から、猫背が肩に与える悪影響や、正しい姿勢を保つための具体的な対策をわかりやすく解説します。
猫背とは?現代人に多い姿勢の崩れ
猫背とは、背中が丸まり首が前に出た姿勢のことを指します。医学的には「円背(えんぱい)」とも呼ばれ、背骨の生理的なS字カーブが失われている状態です。とくにデスクワークやスマートフォンの長時間使用が多い人に多く見られ、無意識のうちに悪い姿勢が習慣化してしまっています。
猫背が肩こりを招く理由
猫背になると、頭が前に出た状態になります。人間の頭は約5〜6kgもあり、それを支えるために首や肩の筋肉が常に緊張状態になります。これが長時間続くと筋肉が疲労し、血行が悪くなって肩こりが起こるのです。
また、猫背では胸の筋肉(大胸筋など)が縮まり、肩が内巻きになります。これにより肩甲骨が正常な位置から外れて動きが悪くなり、肩回りの柔軟性が低下。結果として「肩が重い」「腕が上がりにくい」といった不調にもつながります。
さらにひどくなると、筋肉のコリだけでなく、関節や腱に負担がかかり、「肩関節周囲炎(五十肩)」や「腱板損傷」などの疾患を引き起こすこともあります。
猫背によるその他の健康リスク
猫背の影響は肩だけにとどまりません。次のような全身症状も引き起こす可能性があります。
- 首の痛みや頭痛:首への過度な負担により、緊張性頭痛を引き起こすことがあります。
- 呼吸の浅さ:背中が丸まることで胸郭が圧迫され、深い呼吸がしづらくなります。
- 自律神経の乱れ:猫背により交感神経が優位になると、ストレスが高まり睡眠障害やめまい、冷え性などを引き起こすことがあります。
- 腰痛や膝への影響:上半身のバランスが崩れると、重心が変わり腰や膝に余計な負担がかかることもあります。
正しい姿勢を保つポイント
猫背を防ぐためには、日常生活での「姿勢の意識」が最も重要です。以下のポイントを意識しましょう。
1. 座る姿勢を正す
- 背筋を伸ばし、骨盤を立てる
- 肩の力を抜いて自然に下ろす
- 足裏を床につけ、膝は90度に曲げる
- パソコンの画面は目線の高さに調整する
2. スマホを見る時間を減らす
- スマホを顔の高さまで持ち上げる
- 長時間連続で使用しないよう、30分ごとに休憩を取る
3. 姿勢を改善するストレッチと運動
- 胸を開くストレッチ(肩甲骨を寄せる動き)
- 背中や肩甲骨周辺の筋肉を鍛えるトレーニング
- 骨盤の柔軟性を高める体操
整形外科医がすすめる「予防」と「治療」
猫背が慢性化してしまっている場合、自己流の矯正では効果が薄いこともあります。そんなときは、整形外科やリハビリテーション科を受診し、専門的な評価とアドバイスを受けることをおすすめします。
特に、肩こりが強い・腕が上がらない・痺れを伴うなどの症状がある場合には、MRIやエコー検査での評価や、専門的なリハビリ、必要に応じて再生医療(PRP療法や幹細胞治療)なども選択肢となります。
当クリニックでは、肩こりの原因となる姿勢や筋肉バランスを分析し、個別に合わせた治療・運動指導を行っています。
まとめ
猫背は、見た目の問題だけでなく、肩こりや首痛、呼吸機能、自律神経の乱れなど多くの不調の原因となります。まずは自分の姿勢に気づき、日常生活でのちょっとした意識とケアを積み重ねることが大切です。肩の痛みや不調が続く方は、早めに整形外科専門医に相談しましょう。
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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