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その他 太ももに筋肉痛のような痛みが続く?考えられる原因と対処法を解説!

太ももの「筋肉痛のような痛み」とは?
日常生活や運動のあとに、「太ももが筋肉痛みたいに痛む」と感じたことはありませんか?
一時的なものであれば心配はいりませんが、数日以上続いたり、動かすたびに痛みが出る場合は注意が必要です。
実は、筋肉痛のような感覚にはさまざまな原因が隠れていることがあります。
このコラムでは、整形外科的な視点から「太ももに筋肉痛のような痛み」が起こる主な原因とその対処法を解説していきます。
運動後の筋肉痛:遅発性筋肉痛(DOMS)
まず最も一般的なのが、運動後に生じる遅発性筋肉痛(Delayed Onset Muscle Soreness, DOMS)です。
慣れない運動や筋トレ、階段の上り下りなどで太ももの筋肉(大腿四頭筋やハムストリングス)が傷つき、それを修復する過程で炎症が起き、痛みを感じます。
特徴としては、
- 運動の数時間後〜翌日に痛みが出てくる
- 太ももを押すと痛い
- 数日で自然に治まる
この場合はストレッチや軽い運動、温浴などで回復を早めることができます。
坐骨神経痛による放散痛
「太ももが筋肉痛のように痛いけど、特に運動した覚えがない」という場合、坐骨神経痛の可能性があります。
坐骨神経は腰からお尻、太もも、ふくらはぎまで伸びている神経で、腰椎の異常(椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症)などが原因で圧迫されると、神経に沿って痛みが放散します。
坐骨神経痛の特徴は、
- 太ももの裏側から膝、ふくらはぎにかけて痛みやしびれが出る
- 長く座っていると悪化する
- ピリピリ・ズキズキとした痛み
単なる筋肉痛とは異なるため、整形外科での画像診断(MRIなど)が必要です。
股関節や膝の関節の問題
実は「筋肉痛のような痛み」と感じていても、股関節や膝関節の異常が原因で太ももに痛みが出るケースもあります。
例えば、
- 変形性股関節症
- 変形性膝関節症
- 大腿骨頭壊死
などがあり、関節の動きに伴って太ももの前面や外側、内側に痛みが出ることがあります。
特徴としては、
- 動かすと痛いが、安静にしていると落ち着く
- 関節の可動域が狭くなる
- 立ち上がりや歩き始めで特に痛む
このような場合は関節のX線や超音波検査、MRIなどでの評価が重要です。
筋膜性疼痛症候群(MPS)
筋肉そのものに原因があるケースもあります。それが筋膜性疼痛症候群(MPS)です。
筋肉やその周囲の筋膜が過緊張やトリガーポイントによって痛みを引き起こす状態で、同じ部位に痛みが繰り返し出るのが特徴です。
MPSの特徴は、
- 同じ部位に「鈍く重い痛み」が繰り返される
- 押すと強く痛むポイント(トリガーポイント)がある
- 運動不足や姿勢不良、ストレスが関係
対処としてはストレッチや物理療法、場合によっては注射が行われます。
痛みが続くときの対処法と受診の目安
太ももの痛みが以下に該当する場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
- 1週間以上続く痛み
- 痛みとともにしびれや力が入りにくい感覚がある
- 安静にしていても痛む
- 徐々に症状が悪化している
特に、筋肉痛のようで筋肉痛でない感覚や、運動していないのに痛むといった場合は、自己判断を避けて医療機関での評価を受けることが大切です。
まとめ
太ももの筋肉痛のような痛みは、単なる筋疲労だけでなく、神経や関節、筋膜といったさまざまな要因で起こります。
症状が長引くときや、日常生活に支障が出るようであれば、早めに整形外科を受診して適切な治療を受けることが、回復への第一歩です。
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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