「股関節が硬くて動かしにくい」「あぐらをかくと痛む」など、股関節の可動域が狭くなると日常生活に不便を感じる方は多いです。ここでは、股関節の可動域制限について、患者さんからよく寄せられる質問に整形外科専門医がわかりやすくお答えします。

Q1. 股関節の可動域制限とは何ですか？

股関節の可動域制限とは、股関節を動かす範囲（曲げる・伸ばす・開くなど）が狭くなり、スムーズに動かせなくなる状態をいいます。関節や筋肉、靭帯の硬さ、または変形性股関節症などが原因となることが多いです。

Q2. 股関節の可動域が狭くなる原因は何ですか？

主な原因は、関節の炎症や変形、筋肉や腱の硬さ、姿勢のくせなどです。特に加齢や運動不足によって股関節を支える筋肉が硬くなると、可動域が狭まりやすくなります。股関節周囲の柔軟性を保つことが予防につながります。

Q3. 痛みがなくても可動域が狭いのは問題ですか？

痛みがなくても、可動域の低下は体のバランスを崩し、腰痛や膝痛の原因になることがあります。特に股関節が硬いと歩幅が狭くなり、転倒リスクも高まります。違和感を感じた時点でストレッチや運動療法を始めるのがおすすめです。

Q4. 自宅でできる股関節の柔軟性を高める方法はありますか？

はい、ストレッチや軽い運動が効果的です。椅子に座って膝を外に開く「股関節ストレッチ」や、仰向けで膝を抱える運動などが有効です。無理に力を入れず、呼吸を止めずにゆっくり行うことがポイントです。

Q5. 股関節の可動域制限は治りますか？

原因によりますが、筋肉や関節の硬さが原因であれば、リハビリやストレッチで改善することが多いです。変形性股関節症などの進行した病気では、保存療法に加え、再生医療や手術が検討されることもあります。

Q6. 可動域を広げるためにやってはいけないことはありますか？

無理なストレッチや強い負荷をかける運動は逆効果です。関節や筋肉を傷める可能性があります。痛みを感じたらすぐに中止し、整形外科で状態を確認することが大切です。継続することよりも「安全に行う」ことを意識しましょう。

Q7. 股関節の可動域制限に再生医療は効果がありますか？

軟骨や関節周囲の損傷が原因の場合、PRP療法や幹細胞治療といった再生医療が有効なことがあります。炎症を抑え、関節機能を改善することで可動域の回復をサポートします。適応には医師の診断が必要です。

股関節の可動域制限は、早期に対応すれば改善できるケースが多くあります。ストレッチや運動療法を継続し、違和感が続く場合は整形外科専門医に相談しましょう。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP（多血小板血漿）治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。