コラム COLUMN
膝 膝の痛みをあきらめない!手術を回避して歩ける喜びを取り戻すための完全ガイド

最近、階段の上り下りでおやっと思ったり、椅子から立ち上がる瞬間に顔をしかめてしまったりすることはありませんか。
「昔はあんなに軽やかに歩けたのに」 「旅行に行きたいけれど、みんなの足手まといになりそうで怖い」 「お孫さんと公園で走り回るのがつらくなってきた」
当院には、そんな切実な悩みをお持ちの患者さんがたくさんいらっしゃいます。膝の痛みは、単なる体の不調ではありません。行きたい場所に行けない、会いたい人に会えないといった、人生の楽しみを制限してしまう深刻な問題ですよね。
はじめまして。私は関節の再生医療を専門とするクリニックの院長です。これまで整形外科専門医として、数多くの膝の痛みに向き合ってきました。
診察室でよく耳にするのが、「もう年だから仕方ないですよね」という諦めの言葉です。でも、私ははっきりとお伝えしたいのです。年齢を理由に、痛みのない生活を諦める必要はありません。医療は日々進歩していますし、正しい知識を持って対処すれば、手術をせずに痛みを改善し、再び自分の足でしっかりと歩む道は必ず見つかります。
この記事では、膝の痛みの正体から、家庭でできる予防法、そして最新の治療選択肢まで、専門医の視点でわかりやすくお話ししていきます。
この記事の内容
なぜ膝が痛むのか?知っておきたい背景と理由
膝の痛みを感じる場面は人それぞれですが、多くの方は次のようなタイミングで違和感を覚えます。
- 朝起きて、最初の一歩を踏み出すとき
- 階段を降りるとき(特に下りがつらいという方が多いです)
- 正座をしようとしたとき、奥の方が突っ張る感じがする
- 長く歩いた後に、膝の皿の周辺が熱を持って腫れる
こうした症状の多くは、医学的には変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)という病気が関わっています。
膝の関節は、太ももの骨とすねの骨が組み合わさる場所にあります。その骨の表面を覆っているのが、ツルツルとした軟骨(なんこつ)です。軟骨はクッションのような役割をしていて、歩くときの衝撃を和らげ、骨同士が直接ぶつからないように守ってくれています。
ところが、長年の使用や体重の増加、運動不足による筋力の低下などが重なると、このクッションが少しずつすり減っていきます。クッションが薄くなると、骨と骨の隙間が狭くなり、周囲の組織に炎症が起きます。これが、あのズキッとする痛みの正体です。
イメージとしては、車のタイヤを想像してみてください。長年走り続けていれば、溝が浅くなり、ゴムが硬くなってきますよね。膝の軟骨も同じで、メンテナンスをせずに使い続けると、どうしても傷みやすくなってしまうのです。
でも安心してください。タイヤがすり減っても、走り方を工夫したり、適切な調整を行ったりすることで、車を長く安全に走らせることは可能です。人間の膝も同じように、適切なケアで寿命を延ばすことができるのです。

膝の痛みを改善するための具体的なステップ
手術を回避するためにまず大切なのは、保存療法(ほぞんりょうほう)と呼ばれる、体を傷つけない治療法をしっかりと継続することです。
1. 膝を支える筋肉の天然ギプスを作る
膝の痛みを抱える方の多くは、膝を支える筋肉、特に太ももの前側にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)が細くなっています。この筋肉は、膝関節にかかる負担を分散してくれる天然のギプスのような役割を果たしています。
激しい運動をする必要はありません。椅子に座ったまま片足をまっすぐ伸ばし、数秒間キープする。これを左右交互に繰り返すだけでも、膝の安定感は大きく変わります。
2. 体重管理という名の究極の治療
耳が痛い話かもしれませんが、体重が1キロ減るだけで、歩くときに膝にかかる負担はその3倍から5倍も軽減されると言われています。階段の上り下りならそれ以上です。
無理なダイエットではなく、まずは毎日の食事で「あと一口」を控えることから始めてみましょう。膝への負担が軽くなれば、自然と動けるようになり、さらに代謝が上がるという良い循環が生まれます。
3. 靴選びとインソールの活用
意外と見落としがちなのが靴です。底が薄すぎる靴や、かかとの削れた靴を履き続けていませんか。クッション性の高い靴を選んだり、足の形に合わせたインソール(靴の中敷き)を使ったりすることで、膝への衝撃を劇的に減らすことができます。

知っておきたい治療の真実:ヒアルロン酸注射について
ここで少し、病院での治療についても触れておきましょう。
一般的に膝が痛くて整形外科に行くと、まず提案されるのがヒアルロン酸の関節注射です。潤滑油のような役割を期待して打たれるものですが、正直なところ、私はこの治療法に対して少し慎重な意見を持っています。
もちろん、一時的に滑りを良くして痛みを和らげる効果はあります。しかし、それはあくまで一時しのぎに過ぎないことが多いのです。毎週のように注射に通っているけれど、効果は数日しか持たない。そんな生活を何年も続けている患者さんをたくさん見てきました。
ヒアルロン酸は、すり減ってしまった軟骨そのものを再生させる魔法の薬ではありません。根本的な原因である筋肉の衰えや、炎症の源にアプローチしなければ、いつまでも注射を打ち続けることになってしまいます。もしあなたが今、ヒアルロン酸注射を繰り返しても改善が見られないと感じているなら、それは治療法を見直すべきサインかもしれません。
膝の痛みに関するよくある質問(Q&A)
ここでは、診察室でよく受ける質問にお答えします。
Q1. 膝に痛みがあるときは、安静にして動かさないほうがいいですか?
A. 痛みが非常に強く、熱を持って腫れている時期(急性期)は安静が必要ですが、それ以外の場合は、動かさないほうが逆効果になることが多いです。
膝を動かさないでいると、関節の周りの筋肉がどんどん衰え、関節自体も硬くなってしまいます。これを拘縮(こうしゅく)と言います。痛みの出ない範囲でゆっくりとストレッチをしたり、水中ウォーキングのように膝への負担が少ない運動を続けたりすることが、長期的な改善への近道です。
Q2. 膝の痛みはやはり年齢のせいでしょうか?
A. 加齢が要因の一つであることは間違いありませんが、すべての高齢者が膝を痛めているわけではありません。
年齢を重ねても元気に歩いている方はたくさんいらっしゃいます。痛みが出るのは、年齢のせいというよりも、筋肉のバランスが崩れたり、膝の使い方に癖があったりすることが主な原因です。つまり、年齢を言い訳にする必要はなく、適切なケアを行えば、何歳からでも膝の状態を良くすることは可能です。
Q3. 一度すり減った軟骨は、もう元に戻らないのですか?
A. 厳密に言えば、すり減って消失した軟骨が完全に元の形に戻ることは難しいのが現状です。
しかし、痛みを感じているのは軟骨そのものではなく、周囲の滑膜(かつまく)という組織の炎症であったり、骨同士がぶつかる刺激であったりします。治療やリハビリによって炎症を抑え、筋肉で関節を支えられるようになれば、軟骨が多少減っていても痛みを感じずに生活することは十分に可能です。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ:もう一度、行きたい場所へ
膝の痛みに悩んでいると、どうしても気持ちが沈みがちになります。外出がおっくうになり、家に閉じこもりがちになると、心まで元気がなくなってしまいますよね。
でも、忘れないでください。膝の痛みは、あなたの人生を終わらせるものではありません。
私たちが目指すのは、単に痛みを取ることだけではありません。その先にある、あなたが「お孫さんと旅行に行きたい」「趣味のゴルフを再開したい」「近所のスーパーまで鼻歌まじりに歩きたい」という願いを叶えることです。
手術という大きな決断をする前に、できることはたくさんあります。保存療法を徹底すること、生活習慣を少しだけ見直すこと、そして必要であれば新しい医療の力を借りること。
もしあなたが今、膝の痛みで未来を不安に感じているのなら、ぜひ一度、信頼できる専門医に相談してみてください。私たちは、あなたが再び笑顔で一歩を踏み出せるよう、全力でサポートします。
「年齢のせい」と諦めていたその膝は、もっと良くなる可能性を秘めています。もう一度、自分の足で人生を楽しむ喜びを取り戻しましょう。私たちは、その道のりを共に歩むパートナーでありたいと願っています。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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