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膝 ひざの痛みを和らげる食事と運動!プロテインと筋肉でひざの負担を減らす方法を専門医が解説

「最近、階段を降りるときにひざがピキッと痛むようになって困っている」 「立ち上がるときに思わず、よっこいしょと声が出てしまう」
当院の外来には、50代から80代の多くの患者さんがこのようなひざの痛みの悩みを抱えて来院されます。
最初は「ちょっと違和感があるな」という程度だったのが、次第に正座ができなくなったり、大好きな旅行や買い物を楽しめなくなったりするのは、本当に辛いことですよね。周りの人に迷惑をかけたくないという思いから、外出を控えてしまう方も少なくありません。
実は、ひざの痛みを抱える方の多くが「もう年齢のせいだから治らない」と諦めかけています。しかし、決してそんなことはありません。ひざの負担を減らし、スムーズに動ける体を取り戻すための鍵は、日々の「食事」と「運動」、つまり筋肉を育てることにあります。
今回は、整形外科専門医の視点から、ひざの痛みの原因と、なぜ今プロテイン(たんぱく質)と筋肉が重要なのかを、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。
この記事の内容
ひざの痛みが起こる背景と、すり減るクッションの正体
まずは、なぜひざが痛くなってしまうのか、その仕組みを一緒に見ていきましょう。
階段の「下り」や「立ち上がり」で痛む理由
ひざの関節は、体重を支えながら曲げ伸ばしをする、体の中でも特に酷使される場所です。歩くだけでも体重の約3倍、階段を下りるときにはなんと体重の約5倍もの重さがひざにかかっています。
年齢を重ねると、ひざの関節にある軟骨というクッションが少しずつすり減っていきます。クッションが薄くなると、骨と骨の隙間が狭くなり、周囲の組織が刺激されて炎症を起こします。これが、動いたときにチクチク、ズキズキと痛む主な原因です。
特に階段を下りるときや、椅子から立ち上がるときは、ひざに瞬間的に大きな負荷がかかるため、痛みを強く感じやすくなります。
関節注射(ヒアルロン酸)の効果と限界
ひざが痛くて整形外科を受診すると、関節の中にヒアルロン酸の注射を打つ治療を勧められることがよくあります。
確かにヒアルロン酸は関節の滑りを一時的に良くする潤滑油のような役割を果たしますが、これはあくまで一時的な痛みの緩和に過ぎません。すり減った軟骨が元通りに再生するわけではないのです。
何度も注射を打っているのに、効果がその場限りで、しばらくするとまた痛くなってしまうという経験はありませんか。根本的な原因である「ひざへの負担」そのものを減らさない限り、注射に頼り続ける生活から抜け出すことは難しいのが現状です。

ひざの負担を減らすには膝周りの筋肉とプロテインが重要な理由
ひざへの負担を根本から減らすために、最も確実で効果的な方法が「膝周りの筋肉を鍛えること」です。そして、その筋肉の材料となるのが「プロテイン(たんぱく質)」です。
筋肉はひざを守る天然のサポーター
ひざの関節の上には、太ももの前側に「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」という大きな筋肉があります。この筋肉は、ひざにかかる衝撃を吸収してくれる、まさに「天然のサポーター」です。
太ももの筋肉がしっかりしていれば、歩いたり階段を上り下りしたりするときの衝撃を筋肉が代わりに受け止めてくれるため、関節の軟骨がすり減るのを防ぐことができます。
逆に、運動不足や年齢とともにこの筋肉が衰えてしまうと、衝撃がダイレクトにひざの関節に伝わり、痛みが悪化するという悪循環に陥ってしまいます。ひざを守るためには、この天然のサポーターを自前で強化することが何よりも大切です。
プロテイン(たんぱく質)が不足すると筋肉は作られない
筋肉を鍛えるための運動を頑張っていても、体にその材料がなければ筋肉は太くなりません。家を建てるときに、大工さん(運動)がいても木材(材料)がなければ家が建たないのと同じです。その大切な材料こそが「プロテイン」、つまり日本語で言う「たんぱく質」です。
50代を過ぎると、食事の量が全体的に減ったり、あっさりしたものを好むようになったりして、知らず知らずのうちにたんぱく質不足に陥っている方がとても多いのです。
お肉や魚、卵、豆腐などを毎食しっかり食べることが基本ですが、食が細くなっている方は、市販のプロテインパウダーや、たんぱく質が強化された飲み物などを上手に活用するのがおすすめです。
プロテインは若いアスリートのものというイメージがあるかもしれませんが、実はシニア世代のひざの痛みを予防し、保存療法を成功させるためにこそ、積極的に取り入れてほしい栄養素なのです。

自宅でできるひざの痛みのための保存療法と生活習慣
手術をせずに痛みを改善していく治療法を「保存療法」と呼びます。ここでは、ご自宅で今日から始められる具体的な保存療法と運動をご紹介します。
太ももを鍛える簡単座布団つぶしストレッチ
ひざが痛いからといって、激しいスクワットなどを行うと、かえって関節を痛めてしまうことがあります。まずはひざに負担をかけずに、安全に太ももの筋肉を鍛えるストレッチから始めましょう。
椅子に深く腰掛け、両方のひざの間に丸めた座布団やバスタオルを挟みます。そのまま、ひざの内側にギュッと力を入れて座布団を5秒間押しつぶします。これを10回、1日2〜3回目安に行ってみてください。
もう一つの方法は、床に足を伸ばして座り、ひざの下に丸めたタオルを敷きます。そのタオルをひざの裏で床に押しつけるように力を入れ、つま先を上に向ける運動です。これも太ももの前側の筋肉を安全に鍛えることができます。
痛みを繰り返さないための減量と靴選び
ひざの負担を減らすためには、体重の管理も非常に重要です。体重が1キロ減るだけで、歩くときのひざへの負担は3キロ、階段では5キロも軽くなります。
極端な食事制限をする必要はありません。先ほどお伝えしたように、プロテイン(たんぱく質)をしっかり摂取して筋肉を維持しながら、間食や炭水化物の量を少しだけ控えるのがコツです。
また、靴選びも侮れません。底が薄くて硬い靴は、地面からの衝撃がそのままひざに伝わってしまいます。クッション性が高く、かかとがしっかり固定されるスニーカーを選ぶだけでも、歩くときのひざの痛みが和らぐことがあります。

ひざの痛みに関するよくある質問・誤解
患者さんからよくいただく質問について、専門医の視点からお答えします。
Q 痛みがあるときは、できるだけ動かさずに安静にしていたほうがいいですか?
A 強い炎症が起きていて、ひざが熱を持っていたり、腫れていたりする急な痛みのときは、数日間安静にしたり冷やしたりする必要があります。
しかし、数週間から数ヶ月以上続いている慢性的な痛みの場合は、動かさないでいると逆効果になります。
足を動かさないでいると、周囲の筋肉がどんどん衰えて硬くなり、関節の動きも悪くなって、さらに痛みが強くなってしまいます。「痛みの出ない範囲で、できるだけ動かす」ことが、ひざの健康を保つための基本です。
Q プロテインを飲むと太ったり、体に悪影響があったりしませんか?
A プロテインはお薬ではなく、食品(たんぱく質)ですので、適切な量を飲んでいる限り、太ったり体に悪影響を及ぼしたりすることはありません。
ただし、お砂糖がたくさん入った甘いプロテインを飲みすぎたり、食事も普段通りお腹いっぱい食べた上で追加しすぎたりすると、カロリーオーバーで体重が増えてしまう原因になります。
また、腎臓に持病がある方は、たんぱく質の摂取制限がある場合がありますので、事前に主治医の先生に相談してから取り入れるようにしてください。健康な方であれば、1日の目安量を守って利用すれば非常に安全で効果的です。
Q ひざの軟骨がすり減っていると言われました。もう手術をするしかないのでしょうか?
A 軟骨がすり減っているからといって、すぐに手術が必要になるわけではありません。
実際には、軟骨がかなりすり減っていても、周りの筋肉がしっかりしているおかげで、痛みをほとんど感じずに元気に歩いている方はたくさんいらっしゃいます。
まずは、今回ご紹介したプロテインの摂取や太もものストレッチといった「保存療法」を3ヶ月から半年ほどじっくり続けてみてください。多くの場合は、これだけでもひざの負担が減り、手術を回避して日常生活を快適に送ることができるようになります。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ:年齢のせいと諦めずに、一歩を踏み出しましょう
ひざの痛みが出始めると、「もう歳だから仕方がない」「このまま歩けなくなったらどうしよう」と不安な気持ちになりますよね。
しかし、人間の体は何歳からでも変えていくことができます。50代でも、70代でも、80代でも、正しい栄養を摂って適切な刺激を与えれば、筋肉は必ず応えてくれます。
関節注射などのその場しのぎの治療で終わらせるのではなく、日々の食事でプロテインを意識し、膝周りの筋肉を育てるという「自分で行う保存療法」こそが、一生自分の足で歩き続けるための最も強力な武器になります。
今日からできる小さなストレッチや、食事の工夫から始めてみませんか。痛みのない、明るくアクティブな毎日を取り戻すために、あなたのペースで一歩ずつ進んでいきましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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