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変形性膝関節症でも手術を避けたい方へ|まず知るべき7つのことを整形外科専門医が解説

変形性膝関節症でも手術を避けたい方へ|まず知るべき7つのことを整形外科専門医が解説

「階段を下りるときだけ膝が痛い」「歩き始めはつらいけれど、少し動くと楽になる」「正座ができなくなり、手術を勧められるのではないかと不安です」。

診察室では、このようなご相談をよく受けます。変形性膝関節症は、年齢とともに増えやすい膝の病気ですが、「年齢のせいだから仕方ない」と早くから諦める必要はありません。

もちろん、膝の状態によっては手術が適した選択になることもあります。しかし、痛みの原因を確かめ、体重や歩き方、筋力、生活習慣を整えながら保存療法を続けることで、手術を急がずに日常生活を送れる方も少なくありません。

この記事では、変形性膝関節症で手術を避けたいと考えている方に向けて、まず知っておきたいことを7つに分けて解説します。膝の痛みと上手に付き合うための、自宅での対策や整形外科を受診する目安もご紹介します。

変形性膝関節症で手術を避けたい方が知るべきこと

膝の痛みがあるからといって、すぐ手術になるわけではありません

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ったり、関節の形が少しずつ変化したりすることで、痛みや動かしにくさが出る病気です。特に、歩くと痛い、立ち上がるときに痛い、階段で痛いといった症状がよくみられます。

ただし、レントゲンで変形があることと、すぐに手術が必要であることは同じではありません。画像上の変形があっても痛みが軽く、日常生活に大きな支障がなければ、運動療法や生活習慣の見直しなどの保存療法で経過をみることがあります。

手術を考えるかどうかは、画像だけでは決まりません。痛みの強さ、歩ける距離、夜間痛の有無、仕事や家事への影響、ご本人の希望などを総合的に判断します。

痛みの原因は、軟骨だけとは限りません

「軟骨が減っているから痛い」と説明を受け、不安になる方も多いでしょう。しかし、膝の痛みには、関節の炎症、太ももの筋力低下、半月板への負担、膝周囲の筋肉や腱のこわばりなど、さまざまな要因が関わります。

たとえば、長く座った後の立ち上がりだけ痛い場合は、筋力低下や関節の動き始めのこわばりが影響していることがあります。一方で、急に膝が腫れた、曲げ伸ばしが急にできなくなったという場合は、別の問題が隠れていることもあります。

変形性膝関節症でも手術を避けたい場合こそ、痛みの原因を一つに決めつけず、整形外科で状態を確認することが大切です。

痛みを我慢して動かないことが、悪循環につながることがあります

膝が痛いと、「できるだけ動かさない方がよいのでは」と考えがちです。強い痛みや腫れがある時期は休むことも必要ですが、長く動かない状態が続くと、太ももの筋肉が弱り、膝を支える力が落ちてしまいます。

特に重要なのは、太ももの前側にある大腿四頭筋です。この筋肉は、立ち上がりや階段の上り下りで膝を支える役割があります。筋力が低下すると、同じ動作でも関節にかかる負担が増え、膝の痛みが続きやすくなります。

痛みのない範囲で少しずつ動くことが、手術回避を目指す保存療法の土台になります。

変形性膝関節症で手術を避けるための自宅でできる対策

無理のないストレッチと筋トレを続ける

変形性膝関節症の対策では、強い運動を急に始める必要はありません。まずは、膝を支える筋肉を落とさないことを目標にしましょう。

椅子に座って膝をゆっくり伸ばし、太ももの前側に力を入れる運動は、自宅でも比較的行いやすい方法です。膝を伸ばした状態で5秒ほど止め、ゆっくり戻します。痛みが強くならない範囲で、数回から始めてください。

また、太もも裏やふくらはぎが硬いと、歩くときの膝への負担が増えることがあります。反動をつけず、呼吸を止めずに、軽いストレッチを習慣にすることも役立ちます。

「痛みを我慢して回数をこなす」必要はありません。運動後に痛みや腫れが翌日まで強く残るなら、量が多すぎる可能性があります。

歩き方と靴を見直して膝の負担を減らす

歩くことは、膝の動きを保ち、筋力を維持するために大切です。ただし、膝の痛みがあるのに長距離を一気に歩くと、かえって負担になることがあります。

最初は平らな道を短時間歩くことから始め、痛みの変化をみながら距離を少しずつ増やしていくとよいでしょう。買い物や散歩など、日常生活の中でこまめに歩く方法でも構いません。

靴は、かかとが安定し、足に合ったものを選びます。底がすり減った靴や、脱げやすいサンダルは歩き方が不安定になり、膝や足首への負担を増やすことがあります。

体重と生活習慣を整えることも膝の予防につながります

体重が増えると、歩行や階段動作のたびに膝関節への負担も増えます。急な減量を目指す必要はありませんが、間食や飲酒量、夕食の量などを少し見直すだけでも、長い目でみれば膝への負担を減らす助けになります。

また、床に座る生活では、正座や深くしゃがむ動作が増えやすくなります。正座できないこと自体が悪いわけではありませんが、痛みを我慢して繰り返す必要はありません。椅子やベッドを活用し、膝を深く曲げる動作を減らす工夫も大切です。

整形外科で行う保存療法とヒアルロン酸注射の考え方

リハビリでは、その人に合った動き方を確認します

整形外科でのリハビリでは、単に筋トレをするだけではありません。膝の曲がり方や伸び方、筋力、歩き方、痛みが出る動作を確認し、その方に合った運動や生活上の注意点を考えます。

同じ変形性膝関節症でも、内側が痛い方、膝のお皿の周囲が痛い方、腰や股関節の動きが影響している方など、状態はさまざまです。自己流の筋トレで痛みが悪化することもあるため、不安がある場合は専門家に相談すると安心です。

痛み止めや関節注射は、生活を立て直すために使うことがあります

痛みが強く、歩くことやリハビリが難しい場合には、飲み薬や湿布、関節注射を使うことがあります。痛みを一時的に抑え、動ける状態をつくることは、筋力低下を防ぐうえでも意味があります。

ヒアルロン酸注射は、一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。何度も続ければ根本的に改善するというものではないため、注射だけに頼らず、運動療法や生活習慣の見直しを組み合わせることが大切です。

手術を急がないためにも、定期的な評価が役立ちます

保存療法を続ける場合でも、痛みや歩行の状態を定期的に確認することは重要です。痛みが以前より増えていないか、歩ける距離が短くなっていないか、膝が伸びにくくなっていないかを見ながら、治療内容を調整します。

「手術を避けたい」という希望は大切にされるべきです。その一方で、状態が変化しているのに我慢を重ねると、生活の質が下がってしまうこともあります。無理を続けず、相談しながら選択肢を考えていきましょう。

変形性膝関節症で早めに整形外科を受診したい症状

急な腫れや強い痛み、歩けないほどの症状がある場合

膝が急に大きく腫れた、熱をもっている、体重をかけられないほど痛いという場合は、早めの受診が必要です。変形性膝関節症による症状だけではなく、半月板の傷み、骨の小さな骨折、関節内の炎症など、別の原因が関係していることがあります。

特に、転倒した後から痛みが続く場合や、安静にしていても強く痛む場合は、我慢せず整形外科へ相談してください。

夜間痛や膝の変形が進んできたと感じる場合

夜中に膝の痛みで目が覚める、以前より膝がまっすぐ伸びなくなった、O脚が目立ってきた、歩く距離が急に短くなったという変化も受診の目安です。

こうした症状があっても、すぐ手術になるとは限りません。しかし、状態を把握しないまま放置すると、適切な対策を始める機会を逃してしまうことがあります。

膝以外の痛みもある場合

膝の痛みと思っていても、腰や股関節、足首の状態が関係していることがあります。片方の膝をかばって反対側の膝や腰まで痛くなるケースも珍しくありません。

関節の痛みが複数ある場合や、しびれ、足の力が入りにくいといった症状がある場合は、膝だけでなく全体をみてもらうことが大切です。

よくある質問

Q1. 痛みがあるときは動かさない方がいいですか?

A. 強い痛みや腫れがあるときは、無理をせず休むことが必要です。ただし、痛みが落ち着いている時期まで動かさないと、筋力が低下して膝に負担がかかりやすくなります。痛みのない範囲で、軽い運動や散歩を続けることが大切です。

Q2. 変形性膝関節症は、正座できないと悪化していますか?

A. 正座できないことだけで、病状の進行は判断できません。膝の曲がりにくさや痛みの程度には個人差があります。痛みを我慢して正座を続ける必要はありません。生活で困っている動作を整形外科で伝え、対策を相談しましょう。

Q3. ヒアルロン酸注射を続ければ手術を避けられますか?

A. ヒアルロン酸注射で一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。注射だけに頼るのではなく、筋トレ、ストレッチ、体重管理、リハビリなどを組み合わせることが重要です。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ

変形性膝関節症でも手術を避けたいと考える方にとって、まず大切なのは、膝の痛みの原因と現在の状態を正しく知ることです。レントゲンで変形があるからといって、すぐに手術が必要とは限りません。

痛みが強くない時期には、無理のないストレッチや筋トレ、歩き方や靴の見直し、体重管理などを続けることで、膝への負担を減らせることがあります。整形外科でリハビリや保存療法について相談することも、手術回避を考えるうえで有効な選択肢です。

一方で、急な腫れ、強い痛み、夜間痛、歩ける距離の大きな低下などがある場合は、早めに受診しましょう。「年齢のせい」と決めつけず、今の膝に合った対策を始めることが、これからの生活を少しでも楽にする第一歩になります。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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