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ヒアルロン酸注射を続けても痛い|次に考える方法を整形外科専門医が解説

ヒアルロン酸注射を続けても痛い|次に考える方法を整形外科専門医が解説

「膝にヒアルロン酸注射を何回も打っているのに、まだ歩くと痛い」「注射した直後は少し楽になるけれど、またすぐ痛みが戻ってしまう」。診療の場では、このようなご相談をよく受けます。

特に50代以降になると、膝の痛み、股関節の痛み、肩や腰の不調など、関節の痛みに悩む方が増えてきます。階段で痛い、正座できない、長く歩けない、立ち上がりの一歩目がつらいなど、日常生活の中で困る場面も多くなります。

ヒアルロン酸注射は、関節の動きをなめらかにしたり、一時的に痛みが楽になったりすることがあります。一方で、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。そのため、変形性関節症が進んでいる場合や、筋力低下、体重、歩き方、炎症などが関係している場合には、注射だけを続けても痛みが残ることがあります。

この記事では、「ヒアルロン酸注射を続けても痛い」と感じている方に向けて、痛みが続く理由、次に見直したいポイント、自宅でできる対策、整形外科で相談すべきタイミングをわかりやすく解説します。

ヒアルロン酸注射を続けても痛いのはなぜか

注射だけでは関節の変形を元に戻せない

ヒアルロン酸注射は、関節注射の一つです。膝の関節の中にヒアルロン酸を入れることで、関節の動きを助けたり、痛みをやわらげたりする目的で行われます。変形性膝関節症などでよく使われる保存療法の一つです。

ただし、ヒアルロン酸注射は一時的に痛みが楽になることはありますが、すり減った軟骨や変形した骨の形を元通りにする治療ではありません。痛みの原因が、軟骨のすり減り、半月板の傷み、骨の変形、関節の炎症など複数ある場合、注射だけで十分に改善しないことがあります。

「打った直後はよいけれど、数日から数週間で戻る」という場合は、注射の効果がまったくないというよりも、痛みの原因に対して注射だけでは足りていない可能性があります。

膝の痛みは軟骨だけが原因とは限らない

膝の痛みというと、「軟骨がすり減っているから」と説明されることが多いかもしれません。もちろん軟骨のすり減りは大切な原因の一つです。しかし、実際の診療では、それだけで痛みを説明できないこともよくあります。

たとえば、太ももの筋力低下、膝の周りの腱や靭帯への負担、膝に水がたまる炎症、股関節や腰からくる影響、足首の硬さ、歩き方のくせなどが関係していることがあります。レントゲン上の変形が軽くても強く痛む方もいれば、変形があっても日常生活を大きな支障なく過ごしている方もいます。

つまり、「ヒアルロン酸注射を続けても痛い」ときは、関節の中だけでなく、関節を支える筋肉や生活習慣まで含めて見直すことが大切です。

痛みをかばうことで悪循環になることがある

膝が痛いと、自然に歩く量が減ります。階段を避ける、外出を控える、運動をやめるという方も少なくありません。痛いときに無理をしすぎる必要はありませんが、動かない期間が長くなると、太ももやお尻の筋力が落ち、膝への負担が増えることがあります。

その結果、さらに歩くと痛い、立ち上がりがつらい、階段で痛いという状態になりやすくなります。痛いから動かない、動かないから筋力が落ちる、筋力が落ちるからさらに痛い、という悪循環です。

この悪循環を断ち切るには、注射だけに頼るのではなく、痛みの程度に合わせたリハビリ、ストレッチ、筋トレ、生活習慣の調整を組み合わせることが重要です。

次に考える方法は原因をもう一度確認すること

まずは診断が合っているかを見直す

ヒアルロン酸注射を続けても痛い場合、まず考えたいのは「本当に今の痛みの原因が同じか」という点です。以前は変形性膝関節症と言われていても、その後に半月板の損傷、骨のむくみ、関節の炎症、腰からくる神経の痛みなどが加わっていることがあります。

特に、急に痛みが強くなった、夜間も痛い、膝が大きく腫れている、体重をかけるのがつらい、膝が引っかかる、力が抜けるように感じる場合は、単なる年齢変化だけで片づけない方がよいでしょう。

整形外科では、診察で痛む場所、腫れ、可動域、歩き方、筋力などを確認します。必要に応じてレントゲンやMRIなどの画像検査を行い、関節の状態を詳しく調べることがあります。

保存療法の中身を見直す

手術はできれば避けたい、という方は多くいらっしゃいます。その場合でも、「何もしない」ことと「保存療法をきちんと行う」ことは違います。保存療法とは、手術以外の治療全体を指します。薬、湿布、関節注射、リハビリ、装具、体重管理、運動療法などが含まれます。

ヒアルロン酸注射を続けても痛い場合、次に考える方法として大切なのは、保存療法の組み合わせを見直すことです。たとえば、注射は受けているけれど筋力訓練はしていない、体重が増えてから膝の痛みが悪化した、靴や歩き方を見直していない、というケースは珍しくありません。

膝の痛みは、関節の中だけでなく、全身の使い方と関係しています。注射を続けるかどうかだけで判断せず、今の生活に合った対策を整えることが大切です。

手術が必要かどうかは状態によって異なる

「注射が効かないなら、もう手術しかないのでしょうか」と不安そうに話される方もいます。確かに、変形が強く、痛みで日常生活が大きく制限されている場合には、人工関節などの手術が選択肢になることがあります。

一方で、すべての方がすぐに手術になるわけではありません。痛みの原因、年齢、生活スタイル、持病、活動量、ご本人の希望によって、次に考える方法は変わります。手術回避を希望する場合でも、まずは現在の関節の状態を正しく知ることが出発点です。

「年齢のせいだから仕方ない」とあきらめる前に、何が痛みを強くしているのかを整理することで、まだ工夫できることが見つかる場合があります。

自宅でできる対策と生活習慣の見直し

痛みを悪化させにくい動き方を意識する

膝の痛みがあるときは、日常の小さな動作を見直すだけでも負担を減らせることがあります。たとえば、階段では手すりを使う、痛い側の膝に体重を急にかけない、深くしゃがみ込む動作を避ける、正座を長時間続けないなどです。

椅子から立ち上がるときは、膝だけで踏ん張るのではなく、少し前かがみになってお尻や太もも全体を使うと負担が分散されます。床生活が多い方は、椅子やベッドを使う生活に変えるだけでも、膝の曲げ伸ばしの回数を減らせます。

歩くと痛い方は、無理に長距離を歩くよりも、短い距離を分けて歩く方が続けやすいことがあります。痛みが強い日と軽い日で活動量を調整することも大切です。

ストレッチと筋トレは無理なく続ける

膝の痛み対策では、太ももの前側の筋肉、お尻の筋肉、ふくらはぎの柔軟性が大切です。これらが硬くなったり弱くなったりすると、膝関節への負担が増えやすくなります。

自宅で行いやすい方法としては、椅子に座って膝をゆっくり伸ばす運動、仰向けで足を少し持ち上げる運動、ふくらはぎを伸ばすストレッチなどがあります。大事なのは、痛みを我慢して回数を増やすことではありません。軽い負荷で、息を止めず、翌日に強い痛みが残らない範囲で続けることです。

筋トレやリハビリは、すぐに結果が出るものではありません。数日で判断せず、数週間から数か月かけて体の使い方を整える意識が必要です。痛みが強い方や、どの運動が合うかわからない方は、整形外科やリハビリで相談すると安心です。

体重、靴、冷えにも目を向ける

膝や足首、股関節の痛みには、体重の影響もあります。体重が少し増えただけでも、歩行時や階段昇降時には関節にかかる負担が大きくなります。急な減量を目指す必要はありませんが、間食や夜遅い食事、運動不足を見直すことは関節の痛みの予防にもつながります。

また、靴の選び方も大切です。かかとがすり減った靴、底が薄すぎる靴、脱げやすい靴は、膝や腰に余計な負担をかけることがあります。足に合った靴を選び、必要に応じてインソールを相談するのも一つの方法です。

冷えで痛みが強くなる方は、膝まわりを冷やしすぎないようにしましょう。ただし、明らかに腫れて熱を持っている場合は、温めることでつらく感じることもあります。腫れが強い、熱感がある、急に悪化した場合は自己判断で温め続けず、医療機関で相談してください。

よくある質問

Q1. ヒアルロン酸注射を続けても痛い場合、すぐやめた方がいいですか?

A. すぐに自己判断でやめる必要はありません。ただし、何回続けても効果が短い、痛みが強くなっている、腫れが続く場合は、治療方針を見直すタイミングです。注射だけでなく、リハビリ、筋トレ、生活習慣、画像検査の必要性も含めて整形外科で相談しましょう。

Q2. 痛みがあるときは動かさない方がいいですか?

A. 強い痛みや腫れがあるときは無理をしないことが大切です。ただし、まったく動かさない期間が長いと筋力が落ち、関節の痛みが悪化しやすくなります。痛みが落ち着いている範囲で、軽いストレッチや筋トレを続けることが予防につながります。

Q3. 手術を避けたい場合、何を優先すればいいですか?

A. まずは痛みの原因を確認することが大切です。そのうえで、体重管理、太ももやお尻の筋力づくり、歩き方の見直し、生活動作の工夫などを組み合わせます。手術回避を希望する場合でも、早めに状態を知ることで選択肢を整理しやすくなります。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ

ヒアルロン酸注射だけで痛みが解決しないこともある

ヒアルロン酸注射は、一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。そのため、変形性関節症、筋力低下、炎症、歩き方、生活習慣などが関係している場合には、注射を続けても痛みが残ることがあります。

「ヒアルロン酸注射を続けても痛い」と感じたときは、注射がよいか悪いかだけで考えるのではなく、痛みの原因をもう一度見直すことが大切です。

自宅でできる対策と受診の目安を知ることが大切

自宅では、階段や正座など膝に負担のかかる動作を減らし、無理のないストレッチや筋トレを続けましょう。体重、靴、冷え、歩く量の調整も、関節の痛みを軽くするための大切な生活習慣です。

一方で、急に痛みが強くなった、膝が腫れている、夜も痛い、歩くのがつらい、膝が引っかかる、力が抜けるといった症状がある場合は、早めに整形外科を受診してください。

年齢のせいとあきらめず、今できる方法を考える

膝の痛みや関節の痛みは、年齢だけで決まるものではありません。たしかに加齢による変化はありますが、筋力、柔軟性、体重、歩き方、生活環境を見直すことで、負担を減らせる場合があります。

大切なのは、「もう年だから仕方ない」と一人で我慢し続けないことです。痛みの原因を知り、自分に合った保存療法や生活上の工夫を選ぶことで、日常生活を少しでも楽にできる可能性があります。ヒアルロン酸注射を続けても痛いと感じている方は、次に考える方法を整形外科で相談してみてください。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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