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膝が痛くて歩けない日が増えたら|確認したいサインと受診の目安を整形外科専門医が解説

膝が痛くて歩けない日が増えたら|確認したいサインと受診の目安を整形外科専門医が解説

「買い物に行くと、途中で膝が痛くなって休みたくなる」「朝は歩けるのに、夕方になると足を引きずってしまう」「最近は痛くて外出をやめる日が増えた」

診療の場では、このようなお悩みをよく伺います。最初は階段で痛いだけだったのに、いつの間にか平らな道でも痛み、歩ける距離が短くなってきたという方も少なくありません。

膝が痛くて歩けない日が増えたとき、「年齢のせいだから仕方ない」と考えてしまいがちです。しかし、膝の痛みには変形性膝関節症だけでなく、半月板の傷、関節の炎症、骨の異常など、さまざまな原因があります。原因に合った対策を行えば、痛みを軽くしたり、歩きやすさを保ったりできる可能性があります。

この記事では、膝が痛くて歩けない日が増えたときに確認したいサイン、考えられる原因、自宅でできる対策、整形外科を受診する目安について、わかりやすく解説します。

膝が痛くて歩けない日が増える主な原因

変形性膝関節症による痛みと動かしにくさ

50代以降で多い原因の一つが、変形性膝関節症です。膝の軟骨だけでなく、骨や滑膜、半月板、靱帯など、関節全体に変化が起こる病気です。

初期には、椅子から立ち上がるときや歩き始めに痛みを感じます。少し動くと楽になることもありますが、進行すると長く歩いたときや階段の上り下りで痛み、正座できない、膝が伸びきらないといった症状が現れます。

さらに炎症が強くなると、膝に水がたまり、腫れや熱っぽさを感じることもあります。歩くと痛いからと活動量を減らしすぎると、太ももの筋力が落ち、さらに膝へ負担がかかるという悪循環に陥りやすくなります。

半月板損傷や骨の異常が隠れていることもある

半月板は、膝の中でクッションの役割をする組織です。転倒やひねる動作で傷つく場合もありますが、中高年では、はっきりしたけががなくても少しずつ傷むことがあります。

膝の内側や外側に鋭い痛みがある、膝を曲げ伸ばしすると引っかかる、急に膝が動かなくなるといった場合は、半月板の傷が関係している可能性があります。

また、骨が弱くなっている方では、転倒していなくても膝周辺の骨に小さな損傷が起こることがあります。急に強い痛みが出て体重をかけられない場合は、単なる関節痛と思い込まず、早めの確認が必要です。

股関節や腰から膝に痛みが出る場合もある

膝が痛いからといって、必ずしも原因が膝だけにあるとは限りません。変形性股関節症や腰の神経の圧迫によって、太ももから膝にかけて痛みを感じることがあります。

膝の検査では大きな異常がないのに痛みが続く、足にしびれがある、腰を動かすと症状が変わる場合は、股関節や腰も含めて診てもらうことが大切です。

膝が痛くて歩けないときに確認したいサイン

早めに整形外科を受診したい症状

次のような変化がある場合は、痛みを我慢し続けず、整形外科への受診を検討してください。

  • 以前より歩ける距離が明らかに短くなった
  • 階段だけでなく平らな道でも痛むようになった
  • 膝が腫れている、熱を持っている
  • 膝が伸びきらない、曲がりにくい
  • 膝が引っかかる、突然力が抜ける
  • 夜間や安静時にも痛みが続く
  • 痛みが数週間続き、少しずつ強くなっている

特に、「痛い日が増えた」「外出を控えるようになった」という変化は重要です。痛みの強さだけでなく、生活にどの程度影響しているかも受診の目安になります。

当日または早急な診察が必要なサイン

転倒やけがの後に立てない、膝に体重をかけられない、急激に大きく腫れた場合は、骨折や靱帯損傷などを確認する必要があります。

また、膝が赤く腫れ、強い熱を持ち、発熱やだるさを伴う場合は、細菌による関節の感染なども否定できません。頻度は高くありませんが、早い対応が必要です。

ふくらはぎまで急に腫れて痛む、息苦しさがある場合も、膝だけの問題ではない可能性があります。このような症状では、早急に医療機関へ相談してください。

「年齢のせい」と放置しない方がよい理由

膝の痛みを放置すると、痛みを避けるために歩き方が崩れ、反対側の膝や股関節、腰まで痛くなることがあります。また、歩かない期間が続くと筋力や体力が低下し、ますます外出が難しくなります。

画像上の変形が強くても比較的よく歩ける方がいる一方で、変形が軽くても強い痛みを感じる方もいます。そのため、「年齢」や「レントゲンの見た目」だけで判断するのではなく、痛みの出方や筋力、関節の動き、生活への影響を総合的に確認することが重要です。

自宅でできる膝の痛みへの対策

痛みが強い日は無理に歩かない

膝が強く痛む日に、健康のためだからと無理に歩き続ける必要はありません。長時間の買い物や坂道、階段の往復、重い荷物を持つ動作は一時的に減らしましょう。

ただし、何日もほとんど動かない状態が続くと、筋力低下や膝のこわばりにつながります。痛みが落ち着いている範囲で、室内を短時間歩く、椅子に座って膝を伸ばすなど、負担の少ない動きを続けることが大切です。

膝が腫れて熱っぽいときは、布で包んだ保冷剤を10分程度当てると楽になる場合があります。慢性的なこわばりが中心で腫れや熱がない場合は、入浴などで温めると動かしやすくなることがあります。

太ももの筋トレとやさしいストレッチ

膝を支えるうえで特に重要なのが、太ももの前側の筋肉です。筋力が落ちると、立ち上がりや階段で膝にかかる負担が増えます。

椅子に深く座り、片方の膝をゆっくり伸ばして5秒保ち、ゆっくり下ろします。左右それぞれ5回程度から始めてください。痛みが強くならなければ、少しずつ回数を増やします。

膝の裏側やふくらはぎが硬い場合は、膝を無理に曲げるのではなく、足を前に出してゆっくり伸ばすストレッチが向いています。運動中や運動後に痛みが明らかに増える場合は中止し、専門家に相談しましょう。

生活習慣と歩き方を見直す

体重が増えると、歩行や階段で膝にかかる負担も大きくなります。食事を極端に制限する必要はありませんが、間食や甘い飲み物を見直し、無理のない範囲で体重管理を行うことは膝の予防につながります。

靴は、かかとが安定し、足に合ったものを選びましょう。底が極端に薄い靴や、すり減った靴では歩行が不安定になることがあります。

杖を使うことに抵抗を感じる方もいますが、痛い膝と反対側の手で杖を持つと、膝への負担を軽くできる場合があります。転倒予防の意味でも、必要な時期に補助具を使うことは大切です。

整形外科で行う検査と保存療法

診察では痛みの場所と歩き方を確認する

整形外科では、いつから痛むのか、歩き始めや階段で痛むのか、腫れや引っかかりがあるのかを確認します。膝の曲がり具合、押したときに痛む場所、筋力、歩き方なども診断の手がかりになります。

レントゲンでは、関節の隙間や骨の変形、脚の向きなどを確認します。半月板や靱帯、骨の内部の異常が疑われる場合は、MRI検査を行うこともあります。

まずは手術以外の保存療法を組み合わせる

膝の痛みがあるからといって、すぐに手術が必要になるわけではありません。多くの場合は、運動療法、リハビリ、体重管理、生活動作の調整、外用薬や内服薬、装具などを組み合わせる保存療法から始めます。

リハビリでは、単に筋トレを行うだけでなく、膝の動き、股関節や足首の柔軟性、歩き方を確認します。自分に合わない運動を続けるとかえって痛みが増えることがあるため、症状に合わせた内容が重要です。

関節注射としてヒアルロン酸注射が用いられることもあります。一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。何度も続けても歩ける距離が短くなっている場合は、注射だけを繰り返すのではなく、診断や治療方針を見直す必要があります。

手術を検討するタイミング

保存療法を続けても強い痛みが残り、歩行や仕事、家事、睡眠など日常生活への影響が大きい場合は、手術について説明を受けることがあります。

ただし、手術を受けるかどうかは、レントゲンの変形だけで決まるものではありません。年齢、健康状態、痛みの程度、生活上の困りごと、本人の希望を踏まえて検討します。

手術をできれば避けたいと考えている方も、早めに整形外科を受診する意味があります。原因を確認し、筋力低下や関節の動きの悪化を防ぐことが、手術回避を考えるうえでも大切です。

よくある質問

Q1. 膝が痛いときは、できるだけ歩かない方がよいですか?

A. 強い痛みや腫れがある日は無理をせず、歩く距離を減らしてください。ただし、長期間まったく動かないと筋力が落ちます。痛みが増えない範囲で、短時間の歩行や椅子に座った運動を続けましょう。

Q2. レントゲンで変形があると言われたら、いずれ歩けなくなりますか?

A. 変形があるからといって、必ず歩けなくなるわけではありません。痛みと画像の変形は一致しないこともあります。筋トレ、リハビリ、体重管理、生活動作の工夫によって、歩行機能を保てる可能性があります。

Q3. どのくらい痛みが続いたら整形外科を受診すべきですか?

A. 数週間たっても改善しない、痛い日が増えている、歩ける距離が短くなった場合は受診をおすすめします。急に体重をかけられなくなった、強く腫れた、発熱を伴う場合は、期間を待たず早めに相談してください。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ

膝が痛くて歩けない日が増えたら変化を記録する

膝が痛くて歩けない日が増えた場合は、変形性膝関節症、半月板の傷、関節の炎症、骨の異常などが関係している可能性があります。股関節や腰から膝に痛みが出ていることもあります。

受診するときは、「何分歩くと痛むか」「階段の上りと下りのどちらが痛いか」「腫れや引っかかりがあるか」を伝えると、診断の助けになります。痛みの強さだけでなく、外出や家事がどの程度できなくなったかも記録しておきましょう。

年齢のせいと諦めず早めに原因を確認する

自宅では、痛みが強い日の負担を減らしつつ、無理のない筋トレやストレッチを続けることが基本です。靴や歩き方、体重などの生活習慣を見直すことも、膝への負担軽減につながります。

歩ける距離が短くなった、膝が腫れる、夜も痛む、膝が伸びないといった変化がある場合は、早めに整形外科へ相談してください。痛みを長く我慢して動けなくなる前に、原因を知ることが大切です。

膝の痛みは、すべてを「年齢のせい」で片づける必要はありません。現在の状態に合った対策を一つずつ始めることで、これからも歩きやすい生活を目指せる可能性があります。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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