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膝 膝の痛みを悪化させる動作とは?避けたい動きと対処法を整形外科専門医が解説

「階段を下りると膝にズキッとくる」「床から立ち上がったあと、しばらく痛みが残る」「健康のために歩いたら、翌日に膝が腫れてしまった」。診療の場では、このような相談をよく受けます。
膝が痛いからといって、すべての動作をやめる必要はありません。ただし、膝を深く曲げる、体重を勢いよくかける、同じ負担を何度も繰り返す動作は、症状を悪化させることがあります。大切なのは、痛みを我慢して続けることでも、まったく動かさないことでもなく、原因に応じて負担を調整することです。
この記事では、膝の痛みを悪化させる動作、その理由、自宅でできる対策、整形外科を受診する目安について分かりやすく解説します。
この記事の内容
膝の痛みを悪化させる動作とその理由
階段の下りや急な坂道
階段を下りるときは、片脚で体重を支えながら膝を曲げるため、膝のお皿と太ももの骨の間に強い負担がかかります。「上りより下りがつらい」という方が多いのはこのためです。変形性膝関節症や、膝のお皿の周囲に痛みが出る膝蓋大腿関節の障害があると、特に痛みやすくなります。
手すりを使い、痛くない脚から一段ずつ下りると負担を減らせます。急いで下りたり、重い荷物を持って階段を使ったりするのは控えましょう。
深いスクワット、正座、しゃがみ込み
膝を深く曲げるほど、関節の接触圧は高くなります。深いスクワット、正座、和式トイレ、低い椅子からの立ち上がりは、膝の痛みを悪化させる動作になりやすいものです。半月板という膝のクッションに傷みがある場合は、深く曲げた状態で体をひねると、引っかかりや鋭い痛みが出ることもあります。
正座できないときは無理に練習せず、椅子や洋式の生活に切り替えてください。スクワットは浅い角度から始め、膝が内側に入らないようにします。
長時間の歩行、立ち仕事、急に始める運動
歩くこと自体は、筋力や関節の動きを保つために役立ちます。しかし、痛みを我慢した長時間の歩行や立ち仕事は、関節や腱への負担を積み重ねます。普段あまり運動しない方が、急に一万歩を目標にしたり、坂道や硬い路面を歩き続けたりするのも注意が必要です。
運動中の痛みが強くなる、終わったあとに腫れる、翌日まで痛みが増したままなら、負荷が大きすぎる可能性があります。距離や時間をいったん減らし、平地で短時間から再開しましょう。

膝の痛みを悪化させないために自宅でできる対策
痛みを目安に動作の量と方法を調整する
日常生活を完全に休むのではなく、「どの動作で、どこが、どの程度痛むか」を確認します。軽い違和感で治まり、運動後や翌日に悪化しなければ、無理のない範囲で続けられることが多いでしょう。一方、びっこを引くほどの痛みや腫れが出る動作は中止してください。
椅子は少し高めのものを選び、立ち上がるときは肘掛けや机に手を添えます。階段では手すりを使い、買い物は荷物を左右に分ける、またはカートを利用すると負担を減らせます。
太ももとお尻の筋トレを無理なく行う
膝を支える太ももの前側と、お尻の筋肉が弱ると、歩行や階段で膝が不安定になりやすくなります。まずは椅子に座って片膝をゆっくり伸ばし、数秒保って下ろす運動がおすすめです。左右10回程度から始め、痛みが増えない範囲で行います。
筋トレ中に鋭い痛みが出たら、その運動は中止します。回数を増やすより、姿勢を崩さずゆっくり行うことが大切です。痛みや変形が強い方は、自己流で続けず、理学療法士などに方法を確認しましょう。
ストレッチ、体重管理、靴の見直しを行う
太ももの裏やふくらはぎが硬いと、膝の曲げ伸ばしがぎこちなくなります。反動をつけず、気持ちよく伸びる範囲で20秒ほど保つストレッチを行ってください。強く押し込む必要はありません。
体重が増えると、歩くたびに膝へかかる負担も増えます。体重が気になる方は、急な減量ではなく、間食や飲み物を見直すところから始めましょう。靴底がすり減った靴、硬すぎる靴、かかとが不安定な靴も歩き方を乱します。足に合い、クッション性と安定性のある靴を選ぶことが予防につながります。

膝の痛みで整形外科を受診する目安と治療
早めの受診が必要な症状
転倒やひねりのあとに強く腫れた、体重をかけられない、膝が伸びない、関節が引っかかって動かない場合は、骨折や靱帯・半月板の損傷などを確認する必要があります。また、発熱を伴い、膝が赤く熱を持って急に腫れた場合は、感染症なども考えられるため、早めに医療機関を受診してください。
緊急性がなくても、痛みが2週間以上続く、夜も痛む、腫れを繰り返す、歩ける距離が短くなった、階段や立ち上がりが難しくなったときは整形外科への相談をおすすめします。
診察では痛む場所と動作から原因を調べる
膝の痛みの原因は、変形性膝関節症だけではありません。半月板損傷、腱や筋肉の炎症、関節リウマチ、痛風、腰からくる神経の症状などでも似た痛みが出ます。
整形外科では、痛む場所、腫れ、動く範囲、歩き方などを診察し、必要に応じて立った状態のレントゲン検査を行います。半月板や靱帯などを詳しく確認する場合はMRI検査を検討します。原因が分かると、避けるべき動作と続けてよい運動を具体的に決めやすくなります。
保存療法から始め、状態に応じて治療を選ぶ
多くの場合は、生活動作の調整、薬、筋トレ、ストレッチ、リハビリなどの保存療法から始めます。痛み止めは年齢、腎臓や胃の状態、服用中の薬を確認して選ぶ必要があります。
関節注射が選択肢になることもあります。ヒアルロン酸注射は一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。何度も続けても生活に支障が残る場合は、診断や治療方針を見直すことが大切です。
保存療法を適切に行っても強い痛みや歩行障害が続く場合には、手術を検討することがあります。ただし、画像の変化だけで決めるのではなく、痛みの程度、生活への影響、年齢や全身状態、希望を踏まえて判断します。早く受診することは、すぐ手術を受けることではなく、手術回避の可能性も含めて選択肢を整理するための一歩です。
膝の痛みを悪化させる動作についてのよくある質問
Q1. 痛みがあるときは歩かない方がいいですか?
A. 強い痛みや腫れがある時期は、歩く量を減らしましょう。ただし、長く安静にしすぎると筋力が落ちます。平地を短時間歩き、当日や翌日に悪化しない範囲で調整してください。
Q2. 膝が痛くてもスクワットをしてよいですか?
A. 深くしゃがむスクワットは膝への負担が大きいため、痛みがある方には向かないことがあります。椅子につかまり、浅く曲げる方法から始め、鋭い痛みや腫れが出たら中止してください。
Q3. サポーターを着ければ悪化を防げますか?
A. サポーターで安定感が増し、動きやすくなる方はいます。ただし、原因を治すものではなく、サイズや種類が合わないと圧迫感が出ます。痛みが続く場合は、サポーターだけで様子を見続けないようにしましょう。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ
膝を深く曲げる動作と繰り返す負担を見直しましょう
階段の下り、深いスクワット、正座、しゃがみ込み、急な長距離歩行は、膝の痛みを悪化させる動作になりやすいものです。一方で、怖がって動かない期間が長くなると、筋力低下によってさらに動きにくくなることがあります。
痛みや腫れが翌日まで増えない範囲で活動量を調整し、浅い角度での筋トレや、無理のないストレッチを続けましょう。手すり、高めの椅子、歩きやすい靴を使うだけでも、日常の負担を減らせます。
痛みが続くときは年齢のせいと決めつけないことが大切です
体重をかけられない、急に強く腫れた、膝が動かない、赤く熱を持つといった症状は、早めの受診が必要です。痛みが長引く場合も、「年齢のせいだから仕方ない」と諦める必要はありません。
膝の痛みには複数の原因があり、状態に合った生活習慣、リハビリ、治療によって改善を目指せる場合があります。まず原因を知り、自分に合った動き方を見つけることが、膝を守りながら生活を続ける第一歩です。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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