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膝 朝の歩き始めに膝が痛い|考えられる原因と対処法を整形外科専門医が解説

「朝、ベッドから起きて最初の数歩が痛い」「寝室からトイレまで歩くときに膝がこわばる」「しばらく歩いていると少し楽になる」
こうした症状は、整形外科の診療でもよく聞く訴えの一つです。朝の歩き始めに膝が痛いと、「年齢のせいだろう」「軟骨がすり減っているのでは」と心配になる方も多いでしょう。
実際、50代以降で朝の歩き始めに膝が痛む場合、変形性膝関節症が関係していることは少なくありません。日本整形外科学会でも、変形性膝関節症の初期には「立ち上がり」や「歩きはじめ」といった動作の開始時に痛みが出ることがあるとされています。
ただし、歩き始めの膝の痛みがすべて変形性膝関節症というわけではありません。半月板や腱の問題、関節内の炎症など、別の原因が隠れていることもあります。
この記事では、朝の歩き始めに膝が痛いときに考えられる原因、自宅でできる対策、整形外科を受診する目安、一般的に行われる治療についてわかりやすく解説します。
この記事の内容
朝の歩き始めに膝が痛いときに考えられる原因
変形性膝関節症による「動き始めの痛み」
50代以降でまず考えたいのが変形性膝関節症です。これは単純に「軟骨がすり減るだけ」の病気ではありません。軟骨の変化に加え、関節を包む膜の炎症や骨の変化などが重なり、膝の痛みや動かしにくさが起こります。
特徴の一つが、しばらく動いていない状態から動き始めたときの痛みです。朝起きた直後だけでなく、長時間イスに座ったあとに立ち上がったときにも痛みを感じることがあります。
「最初の5~10歩は痛いけれど、歩いているうちに楽になる」という症状は比較的典型的です。海外の整形外科患者向け資料でも、変形性膝関節症による痛みやこわばりは、朝や長時間動かなかったあとに強くなりやすいとされています。
病状が進んでくると、朝だけではなく、長く歩くと痛い、階段で痛い、正座できない、膝が伸びきらないといった症状が加わることがあります。
半月板や膝周囲の組織が原因のこともある
膝の中には、骨と骨の間でクッションの役割をする「半月板」があります。加齢とともに半月板の弾力性が低下し、明らかなケガがなくても傷むことがあります。
半月板の問題では、膝の内側や外側に限局した痛みが出たり、曲げ伸ばしの途中で引っかかったりすることがあります。「朝だけ痛い」というより、しゃがむ、方向転換をする、階段を下りるといった動作で痛みが強くなることが多いのが特徴です。
また、膝蓋腱や太ももの筋肉・腱など膝周囲の組織に負担がかかっている場合も、動き始めに痛みを感じることがあります。
腫れや強い朝のこわばりがある場合は別の病気にも注意
変形性膝関節症でも多少の腫れやこわばりは起こります。しかし、膝が明らかに腫れている、熱を持っている、朝のこわばりが長く続く、膝以外の手指や足の関節も痛む、といった場合は、関節リウマチなど炎症を起こす病気も考える必要があります。
「年齢によるものだろう」と自己判断せず、症状の出方がいつもと違う場合には整形外科などで原因を確認することが大切です。

朝の膝の痛みをやわらげるために自宅でできる対策
起きてすぐ立たず、膝を軽く動かしてから歩く
朝起きてすぐに勢いよく立ち上がると、こわばった膝に急に体重がかかります。歩き始めに痛みが出る方は、布団やベッドの上で少し準備してから立ち上がってみましょう。
仰向けや座った状態で、膝をゆっくり曲げ伸ばしします。10回程度、痛みが強くならない範囲で行えば十分です。足首を上下に動かす運動も組み合わせると、脚全体を動かしやすくなります。
その後、ベッドの端に座ってから立ち上がり、最初の数歩は急がずゆっくり歩きます。
太ももの筋肉を落とさないことが重要
膝の痛みがあると、「なるべく歩かない方がいい」と考える方がいます。しかし、必要以上に動かなくなると太ももの筋力が低下し、さらに膝へ負担がかかるという悪循環につながります。運動は変形性関節症の管理でも重要な方法の一つです。
おすすめしやすいのは、イスに座って片脚ずつ膝をゆっくり伸ばす運動です。膝を伸ばした状態を数秒保ち、ゆっくり下ろします。最初は左右10回程度から始めます。
ただし、運動中に鋭い痛みが出る場合や、運動後に膝が大きく腫れる場合は無理に続けないでください。自分の膝の状態に合った筋トレやリハビリを選ぶことが重要です。
体重・靴・日常動作も見直す
体重が増えると、歩行や階段で膝にかかる負担も大きくなります。体重が多めの方では、無理のない範囲で体重を減らすことが膝の痛み軽減につながる場合があります。
また、底が極端に薄い靴や、すり減った靴を長く使うのは避けた方がよいでしょう。クッション性があり、自分の足に合った靴を選びます。
膝が痛い時期には、深くしゃがむ、長時間の正座、急な方向転換など、痛みを誘発する動作を繰り返さないことも大切です。一方で、全く動かない生活にする必要はありません。

朝の歩き始めの膝痛で整形外科を受診する目安
痛みが続くなら一度原因を確認する
朝の歩き始めだけの軽い膝の痛みで、数日で自然に落ち着くのであれば、まず生活を調整しながら様子をみてもよいでしょう。
一方、数週間にわたって繰り返す、以前より痛みが強くなっている、階段でも痛む、歩ける距離が短くなった、正座できない、膝が伸びにくいといった変化がある場合は、整形外科への受診をおすすめします。
診察では、痛む場所や腫れ、膝の動き、O脚などを確認し、必要に応じてレントゲン検査を行います。半月板や靱帯、軟骨などの状態を詳しく調べる必要がある場合にはMRI検査を行うこともあります。
急な腫れや強い痛みは早めに受診する
膝が急に大きく腫れた、赤くなって熱を持っている、発熱を伴っている、転倒後から体重をかけられないほど痛い、といった場合は早めの受診が必要です。
また、膝が引っかかって曲げ伸ばしできない状態が続く場合も、半月板などの問題がないか確認した方がよいでしょう。
治療はすぐ手術というわけではない
変形性膝関節症と診断されたからといって、すぐに手術が必要になるわけではありません。痛みの程度や関節の状態に合わせ、運動療法やリハビリ、体重管理、痛み止めの内服薬・外用薬などの保存療法から検討するのが一般的です。
関節注射が選択されることもあります。ヒアルロン酸注射では一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。何度も注射を続けているのに生活上の痛みが変わらない場合には、漫然と続けるのではなく、診断や治療方針を見直すことも必要です。
保存療法を行っても強い痛みや歩行障害が続き、日常生活への影響が大きい場合には手術を検討することがあります。手術回避だけを目的にするのではなく、自分の膝の状態と生活上の困りごとを踏まえて治療法を選ぶことが重要です。
朝の歩き始めに膝が痛い人からよくある質問
Q1. 痛みがあるときは歩かない方がいいですか?
Q1. 痛みがあるときは歩かない方がいいですか?
A. 強い痛みや腫れがある時期は無理をする必要はありません。ただし、軽い痛みだからと全く歩かなくなると筋力が落ちることがあります。痛みが強くならない距離から少しずつ歩くことをおすすめします。
Q2. 朝だけ痛くて昼には治るなら病院に行かなくても大丈夫ですか?
Q2. 朝だけ痛くて昼には治るなら病院に行かなくても大丈夫ですか?
A. 数日だけなら様子をみてもよいでしょう。ただし、同じ症状を何週間も繰り返している場合は、変形性膝関節症などの初期症状である可能性があります。一度整形外科で原因を確認しておくと安心です。
Q3. 朝の膝の痛みは年齢のせいなので仕方ありませんか?
Q3. 朝の膝の痛みは年齢のせいなので仕方ありませんか?
A. 年齢とともに膝の変化は起こりやすくなりますが、「年齢のせいだから何もできない」ということではありません。筋力、体重、体の使い方など改善できる要素もあります。まず痛みの原因を確認することが大切です。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ
朝の歩き始めの痛みは膝からのサインの一つ
朝の歩き始めに膝が痛い症状は、変形性膝関節症でよくみられる症状の一つです。ただし、半月板の傷みや膝周囲の腱、関節内の炎症など、原因は一つではありません。
起床直後に膝を軽く曲げ伸ばしする、太ももの筋力を保つ、体重や靴を見直すなど、自宅でできる対策もあります。痛みが軽いうちから生活習慣を調整することは、膝の状態を管理していくうえで大切です。
「年齢のせい」と決めつけず、続く痛みは一度確認を
数週間以上症状が続く、階段でも痛い、歩ける距離が短くなった、膝が腫れる、曲げ伸ばししにくいといった症状がある場合は、整形外科を受診する目安です。
膝の痛みは、早い段階で原因を把握することで、運動やリハビリ、生活習慣の見直しなど取り組めることが増えます。
「もう年だから仕方ない」と諦める必要はありません。まず自分の膝で何が起きているのかを知り、その状態に合った対策を一つずつ始めていきましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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