コラム COLUMN
膝 膝の曲げ伸ばしでゴリゴリ音がする原因は?注意点と対処法を整形外科専門医が解説

「椅子から立つときに膝がゴリゴリ鳴る」「階段を上り下りすると、膝の中でザラザラした感じがする」「痛くはないけれど、このまま軟骨がすり減ってしまうのではないか」
診療をしていると、このような相談を受けることは少なくありません。特に50代以降になると、膝の曲げ伸ばしに伴う音を自覚する方が増えてきます。
膝から音がするからといって、すべてが病気というわけではありません。一方で、ゴリゴリ音に膝の痛みや腫れ、動かしにくさが加わっている場合は、軟骨の変化や変形性膝関節症などが関係していることがあります。
大切なのは「音がするかどうか」だけではなく、「痛みや腫れがあるか」「以前より動きにくくなっていないか」を一緒に考えることです。
ここでは、膝の曲げ伸ばしでゴリゴリ音がする原因、注意したい症状、自宅でできるストレッチや筋トレ、整形外科を受診する目安についてわかりやすく解説します。
この記事の内容
膝の曲げ伸ばしでゴリゴリ音がする主な原因
膝のお皿と太ももの骨がこすれることで音が出る
膝の前には「膝蓋骨」と呼ばれる、いわゆる膝のお皿があります。膝を曲げ伸ばしすると、膝のお皿は太ももの骨の表面を上下に動きます。
この部分の動きが少し滑らかでなくなったり、軟骨の表面に凹凸が生じたりすると、「ゴリゴリ」「ザラザラ」「ミシミシ」といった音や感覚が出ることがあります。
医学的には、このような音を関節の摩擦音として捉えることがあります。ただし、音があるだけで軟骨が大きく傷んでいるとは限りません。
軟骨のすり減りや変形性膝関節症が関係することもある
50代以降で注意したい原因の一つが変形性膝関節症です。膝関節の軟骨が徐々に変化し、関節への負担が増える病気です。
初期には「動かすと少し違和感がある」「朝の歩き始めだけ痛い」といった軽い症状から始まることがあります。進行すると、歩くと痛い、階段で痛い、正座できない、膝が腫れるといった症状がみられるようになります。
軟骨表面が滑らかではなくなると、膝の曲げ伸ばしでゴリゴリ音が感じられることもあります。ただし、音の大きさと変形性膝関節症の重症度が必ず一致するわけではありません。
筋力低下や膝の使い方も影響する
膝の音というと「骨や軟骨だけの問題」と考えがちですが、太ももの筋力低下や股関節の動きも関係します。
特に太ももの前にある大腿四頭筋が弱くなると、膝のお皿の動きが安定しにくくなります。また、O脚傾向が強い方や、歩くときに膝が内側や外側へぶれやすい方では、一部分に負担が集中しやすくなります。
そのため、膝そのものだけでなく、筋力や歩き方を含めて考えることが重要です。

膝のゴリゴリ音は放っておいても大丈夫?注意したい症状
痛みのない音だけなら過度に心配しなくてもよいことが多い
膝から音がしていても、痛み、腫れ、熱感、動かしにくさがなく、日常生活に支障がなければ、すぐに治療が必要とは限りません。
健康な膝でも、関節内の圧力変化や腱の動きなどによって「ポキッ」「コキッ」と音がすることがあります。
したがって、「音がする=軟骨が削れている」と考えて必要以上に不安になる必要はありません。
痛みや腫れを伴う場合は整形外科で確認を
一方、ゴリゴリ音に加えて膝の痛みがある場合は、一度原因を確認した方がよいでしょう。
特に、歩くと痛い、階段で痛い、立ち上がるときに痛い、膝に水がたまる、以前より正座できないといった変化がある場合は、変形性膝関節症や半月板の障害などが隠れている可能性があります。
整形外科では、診察に加えて必要に応じてレントゲン検査などを行い、膝の変形や関節の状態を確認します。症状によってはMRI検査が役立つこともあります。
急に動かなくなった場合や強く腫れた場合は早めの受診を
「急に膝が伸びなくなった」「曲げたまま戻らない」「強く腫れて体重をかけられない」といった場合は、単なる関節音とは別に考える必要があります。
半月板などが関節内で引っかかっている場合や、外傷によって関節内に損傷が起きている可能性もあります。このようなときは無理に動かさず、早めに整形外科を受診してください。
膝のゴリゴリ音が気になるときに自宅でできる対策
痛くない範囲で膝を動かす
膝の音が気になるからといって、膝をまったく使わないようにするのはおすすめできません。動かさない期間が長くなると、太ももの筋肉が落ち、かえって膝関節への負担が増えることがあります。
痛みが強くない場合は、椅子に座った状態でゆっくり膝を伸ばしたり曲げたりする運動から始めるとよいでしょう。
ゴリゴリ音そのものを消すことを目的にせず、「痛みなく動かせる範囲を保つ」ことを意識してください。
太ももの筋トレとストレッチを取り入れる
膝を守るうえで重要なのが、太ももの筋肉です。椅子に座って片脚をゆっくり伸ばし、数秒保持して戻す運動は、自宅でも行いやすい筋トレです。
また、太ももの前後やふくらはぎが硬くなると膝に余計な力がかかるため、無理のないストレッチも役立ちます。
ただし、運動中や運動後に膝の痛みが明らかに強くなる場合は、回数や負荷を減らしてください。膝の状態によって適した運動は異なるため、痛みが続く場合はリハビリで動作や筋力を評価してもらう方法もあります。
体重と日常生活での膝への負担を見直す
体重が増えると、歩行や階段昇降のたびに膝へかかる負担も大きくなります。体重が気になる方は、急激な減量ではなく、食生活と運動習慣を少しずつ見直すことが大切です。
また、痛みがある時期に深くしゃがむ、何度も階段を上り下りする、長時間の正座を続けるといった動作は、症状を悪化させることがあります。
「膝を使わない」のではなく、「痛みを出しにくい使い方に変える」という考え方がポイントです。

整形外科では膝の痛みやゴリゴリ音をどう治療する?
まずは原因に合わせた保存療法が基本
膝の痛みがあっても、すぐに手術になるわけではありません。変形性膝関節症などでも、まずは保存療法と呼ばれる手術以外の治療から始めることが一般的です。
具体的には、運動療法、リハビリ、体重管理、生活動作の見直し、痛み止め、外用薬などを症状に応じて組み合わせます。
特に筋力や関節の動きを整えることは重要です。手術回避を希望する場合でも、まず現在の膝がどの程度傷んでいるのかを把握し、その状態に合った保存療法を続けることが基本になります。
ヒアルロン酸注射は痛みを和らげる目的で行われることがある
変形性膝関節症では、関節注射としてヒアルロン酸注射が行われることがあります。一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。
何度も注射を続けても症状が十分に改善しない場合には、同じ治療だけを漫然と繰り返すのではなく、現在の関節の状態や治療方針を見直すことも大切です。
手術が必要かどうかは痛みと生活への影響を含めて判断する
レントゲンで変形が見つかったからといって、必ず手術が必要になるわけではありません。
画像の変化だけでなく、痛みの強さ、歩ける距離、階段昇降の状態、日常生活への支障、これまで行ってきた保存療法の効果などを総合して判断します。
逆に、変形が進み、保存療法を続けても強い痛みで生活が制限されている場合には、手術について検討した方がよいケースもあります。
よくある質問
Q1. 膝のゴリゴリ音がすると軟骨がすり減っていますか?
A. 必ずしもそうではありません。痛みのない関節音は健康な膝でも起こります。ただし、痛みや腫れ、動かしにくさを伴う場合は、軟骨の変化や変形性膝関節症が関係していることがあるため、整形外科で確認すると安心です。
Q2. ゴリゴリ音がするときは運動をやめた方がいいですか?
A. 音だけで痛みがなければ、通常は運動をすべてやめる必要はありません。むしろ筋力低下を防ぐことが膝の予防につながります。ただし、運動中や翌日に痛みや腫れが強くなる場合は負荷を下げてください。
Q3. 膝のゴリゴリ音は治りますか?
A. 原因によって異なります。筋力や膝の動きが関係している場合は、筋トレやリハビリで気になりにくくなることがあります。一方、軟骨の変化による音は残る場合もあります。音そのものより、痛みや生活への支障を改善することが大切です。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ
膝の音だけでなく痛みや腫れの有無を確認しましょう
膝の曲げ伸ばしでゴリゴリ音がする原因には、膝のお皿と太ももの骨の動き、筋力低下、軟骨の変化、変形性膝関節症などがあります。
音だけで痛みがなければ、過度に心配する必要のないケースも少なくありません。一方、歩くと痛い、階段で痛い、膝が腫れる、正座できないなどの症状が加わっている場合は、一度膝の状態を確認した方がよいでしょう。
年齢のせいと決めつけず膝の状態に合った対策を
自宅では、痛みのない範囲で膝を動かし、太ももの筋トレやストレッチ、体重管理、生活習慣の見直しを行うことが基本です。
50代、60代、70代になると膝に変化が出ることは珍しくありません。しかし、「年齢だから仕方ない」とすべてを諦める必要はありません。原因や膝の状態を把握し、それに合わせて運動や治療を選ぶことで、日常生活の負担を減らせる可能性があります。
膝のゴリゴリ音に痛みや腫れが伴う場合、以前より歩きにくくなってきた場合は、悪化するまで我慢せず整形外科で相談してください。早い段階で現在の状態を知ることが、これからの膝を守る第一歩になります。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
各種ご相談やご予約はこちら
- ひざの痛みに関する相談
- セカンドオピニオンの相談
- 再生医療に関する相談
- MRI検査のご予約


