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膝 膝の痛みで階段がつらい人へ|原因と楽にするポイントを整形外科専門医が解説

「平らな道は歩けるのに、階段を下りると膝が痛い」「手すりがないと上れなくなった」。診療の現場では、このような相談をよく受けます。駅の階段を避けたり、外出そのものが不安になったりしている方も少なくありません。
階段で痛いからといって、すぐに手術が必要とは限りません。痛む場所や動作によって原因をある程度見分け、膝への負担を調整しながら筋力や柔軟性を保つことで、日常生活が楽になる可能性があります。
この記事では、膝の痛みで階段がつらくなる原因、今日からできる対策、整形外科で行う検査や保存療法、受診の目安をわかりやすく解説します。
階段の上り下りで膝が痛くなる原因
階段では体重を支えながら膝を曲げるため負担が増える
階段では、膝を曲げた状態で体重を持ち上げたり、ゆっくり受け止めたりします。特に下りでは、体が落ちないように太ももの前の筋肉がブレーキをかけるため、上りよりも痛みを感じる方が多くなります。
膝のお皿と太ももの骨の間にも強い力がかかります。そのため、平地では問題なく歩けても、階段、坂道、立ち上がり、しゃがむ動作で膝の前側が痛むことがあります。
痛む場所から考えられる代表的な原因
膝の内側が痛む場合は、変形性膝関節症や半月板の傷みが考えられます。変形性膝関節症は、関節軟骨の変化などによって痛みや腫れ、動かしにくさが生じる病気です。進行すると階段の昇降や正座が難しくなることが、日本整形外科学会からも示されています。
膝のお皿の周囲や奥が痛む場合は、膝蓋大腿関節と呼ばれる、お皿と太ももの骨の間の関節が関係していることがあります。長く座った後の立ち上がりや、階段を下りるときに痛みやすいのが特徴です。
膝の外側、裏側、お皿の下が痛む場合には、腱や筋肉の炎症、半月板損傷、膝に水がたまっている状態なども考えられます。痛む場所だけで病名を決めることはできませんが、診断の手がかりになります。
「年齢のせい」だけではなく筋力や動かし方も影響する
年齢とともに関節の変化は起こりやすくなります。しかし、画像で軟骨のすり減りがあっても、痛みの強さには個人差があります。太ももやお尻の筋力低下、膝や足首の硬さ、体重の増加、急な運動量の変化も症状に関係します。
痛みを避けるうちに動く量が減ると、筋力がさらに低下して階段がつらくなることがあります。完全に休み続けるのではなく、原因と症状に合った範囲で動くことが大切です。

膝の痛みを楽にする階段の使い方と自宅での対策
手すりを使い、一段ずつ上り下りする
痛みが強い日は、無理に左右交互で進む必要はありません。手すりを使い、一段に両足をそろえながら進みましょう。上りは痛くない側の足から、下りは痛い側の足から出すと、痛む膝にかかる負担を減らしやすくなります。
下りでは体を少し前に向け、足裏全体を段に置いて、ゆっくり動きます。膝が内側へ入らないように、膝とつま先を同じ方向に向けることもポイントです。急ぐと転倒につながるため、混雑時にはエレベーターを利用してもかまいません。
太ももの筋トレを無理のない回数から始める
膝を支える太ももの前の筋肉を鍛えると、立ち上がりや階段動作が安定しやすくなります。まずは椅子に座り、片脚をゆっくり伸ばして3〜5秒保ち、ゆっくり下ろします。左右それぞれ5〜10回から始めましょう。
余裕があれば、少し高めの椅子から手を使って立ち、ゆっくり座る運動も行えます。膝を深く曲げすぎず、膝とつま先を正面に向けます。筋トレは一度に頑張るより、少ない回数を継続する方が取り組みやすいでしょう。
運動中に軽い違和感が出ることはありますが、強い痛みを我慢する必要はありません。運動後の痛みや腫れが翌日まで増えている場合は、回数や負荷を減らしてください。変形性膝関節症では、適切な運動が痛みや動作の改善に役立つことが米国整形外科学会でも案内されています。
ストレッチと生活習慣も見直す
太ももの裏やふくらはぎが硬いと、膝を伸ばしにくくなり、歩き方にも影響します。椅子に浅く座って片脚を前に伸ばし、背中を丸めずに体を少し前へ倒すと、太ももの裏を伸ばせます。痛みのない範囲で20秒ほど保ちましょう。
歩くと痛い時期は、長時間の外出、深いスクワット、坂道や階段の反復を一時的に減らします。ただし、まったく歩かなくなると筋力が落ちやすいため、平らな道で短時間の歩行から続けるのがおすすめです。
体重が増えてから症状が強くなった方は、急激な減量ではなく、間食や飲み物を見直すだけでも膝への負担軽減につながります。靴底が極端にすり減った靴や、脱げやすい履物も避けましょう。

整形外科を受診する目安と主な治療
早めの受診が必要な膝の症状
転倒やけがの後から強く痛み、体重をかけられない場合や、膝が急に腫れた場合は早めの受診が必要です。膝が赤く熱を持ち、発熱を伴うときには感染症や結晶性関節炎なども考えられるため、速やかに医療機関へ相談してください。
膝が引っかかって伸びない、突然力が抜ける、安静時や夜間にも強く痛む場合も放置しない方がよい症状です。また、痛みが軽くても2〜4週間続く、階段や歩行に支障が出ている、徐々に悪化している場合は整形外科で原因を確認しましょう。
診察では痛みの場所や動作を確認する
整形外科では、いつから痛むのか、上りと下りのどちらがつらいか、腫れや引っかかりがあるかを確認します。その後、膝の動き、押して痛む場所、筋力、歩き方、O脚やX脚の程度などを診察します。
必要に応じて、立った状態でレントゲンを撮り、関節の隙間や骨の変化を調べます。半月板、靱帯、軟骨などを詳しく確認する必要があれば、MRI検査を行うこともあります。画像だけではなく、症状と診察結果を合わせて判断することが重要です。
保存療法を組み合わせ、必要な場合に手術を検討する
多くの場合、最初は保存療法と呼ばれる手術以外の治療から始めます。運動量の調整、薬、装具、リハビリ、筋トレ、体重管理などを、膝の状態や生活に合わせて組み合わせます。
関節注射としてヒアルロン酸注射が行われることもあります。一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。何度も続けても十分な効果が得られない場合は、同じ治療だけを繰り返さず、診断や治療方針を見直す必要があります。
変形が進み、保存療法を続けても歩行や日常生活が大きく制限される場合には手術が選択肢になります。ただし、階段で膝が痛いという理由だけで、すぐ手術になるわけではありません。手術回避を希望する場合も、まず現在の状態を把握し、利用できる保存療法を整理することが大切です。
膝の痛みと階段についてよくある質問
Q1. 痛みがあるときは動かさない方がいいですか?
A. 強い痛みや腫れがある日は負担を減らしますが、長く安静にしすぎると筋力が低下します。平地での短い歩行や、痛みの少ない筋トレから無理なく続けましょう。
Q2. 階段を使い続けると変形性膝関節症が進みますか?
A. 階段を使っただけで必ず進行するわけではありません。ただし、使うたびに強く痛む場合は負荷が大きすぎる可能性があります。手すりや一段ずつの動作を取り入れてください。
Q3. 膝がゴリゴリ鳴りますが大丈夫ですか?
A. 音だけで痛みや腫れがなければ、急いで治療が必要とは限りません。音とともに痛む、膝が引っかかる、腫れている場合は整形外科で確認しましょう。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ
階段での膝の痛みは負担を減らしながら改善を目指す
膝の痛みで階段がつらい場合、変形性膝関節症だけでなく、膝のお皿の関節、半月板、腱や筋肉などが関係していることがあります。手すりを使う、一段ずつ進む、太ももの筋トレやストレッチを行うといった工夫から始めてみましょう。
年齢のせいと諦めず、原因を確認することが大切
膝の痛みには、筋力や動かし方を整えることで軽減できる部分もあります。一方、強い腫れ、熱感、歩けないほどの痛み、膝が伸びないといった症状は早めの受診が必要です。
階段や歩行に支障が続いている方は、「年齢だから仕方ない」と決めつけず、一度整形外科で原因を確認してください。自分の膝の状態を知ることが、無理のない対策と今後の生活を考える第一歩になります。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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