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股関節 股関節の手術を迷う前に!痛みの原因を根本から断つ選択肢はある?整形外科専門医が解説

「歩くと脚の付け根が痛い」「靴下を履きにくくなった」「手術を勧められたけれど、まだ決心できない」。診療現場では、このような相談をよく受けます。
股関節の痛みが続くと、「このまま歩けなくなるのでは」と不安になるものです。しかし、画像で変形が見つかったからといって、すぐに手術が必要とは限りません。一方で、保存療法を長く続けるだけでは解決しにくい状態もあります。
大切なのは、痛みの原因と進行度、生活への影響を整理することです。原因によっては、身体の使い方や筋力、柔軟性を整えることで、股関節への負担を減らせる可能性があります。
この記事では、股関節の手術を迷う前に確認したい原因、検査、保存療法、自宅でできるストレッチや筋トレ、受診の目安をわかりやすく解説します。
この記事の内容
股関節の痛みは変形性股関節症だけが原因ではありません
変形性股関節症では歩き始めや階段で痛みやすくなります
50代以降の股関節痛で多い原因の一つが、変形性股関節症です。関節の軟骨がすり減り、骨の変形や炎症が生じることで、痛みや動かしにくさが現れます。
初期には、椅子から立ち上がるときや歩き始めに脚の付け根が痛みます。進行すると、長く歩けない、階段で痛い、靴下を履きにくい、足の爪を切りにくいといった変化がみられます。安静時や夜間にも痛むことがあります。
日本では、股関節の受け皿が浅い臼蓋形成不全が背景にある方も少なくありません。若いころには症状がなくても、年齢とともに負担が蓄積して痛みが出る場合があります。
筋肉や腱の痛みなら治療の方向が異なります
股関節の外側が痛む場合は、骨そのものではなく、周囲の腱や滑液包に炎症が起きている可能性があります。横向きに寝ると痛い、歩き続けると外側が痛むという方にみられます。
お尻の深い部分の筋肉が硬くなっている場合や、腰から出る神経が刺激されている場合もあります。このような痛みでは、股関節の画像に多少の変形があっても、それだけが主な原因とは限りません。
痛みを根本から断つためには、痛む場所だけでなく、腰、骨盤、膝、歩き方まで確認する必要があります。
大腿骨頭壊死や骨折などを見逃さないことも重要です
頻度は高くありませんが、大腿骨頭壊死症、骨折、関節リウマチ、感染などでも股関節が痛みます。大腿骨頭壊死症は、大腿骨の先端部分の血流が低下し、骨が弱くなる病気です。
高齢者では、はっきり転倒した記憶がなくても、骨粗しょう症を背景に小さな骨折が起きる場合があります。レントゲンで原因が明確にならないときは、MRIなどの追加検査が必要です。

股関節の手術を迷う前に原因と進行度を確認しましょう
診察と画像検査の両方で痛みの原因を判断します
整形外科では、いつから、どこが、どのような動作で痛むかを確認します。脚の長さ、股関節の動く範囲、筋力、歩き方、腰や膝の状態も大切な判断材料です。
レントゲンでは、軟骨の厚みを反映する関節の隙間や骨の変形を確認します。ただし、画像上の変形の程度と痛みの強さは必ずしも一致しません。変形が強くても歩ける方がいる一方、変形が軽くても筋肉や腱の問題で強く痛む方もいます。
MRIは、レントゲンではわかりにくい骨の変化、大腿骨頭壊死、骨折、関節内の炎症などを調べるときに役立ちます。
手術は画像だけでなく生活への影響を含めて判断します
人工股関節などの手術は、変形が進み、保存療法を行っても強い痛みが続き、日常生活への支障が大きい場合に検討されます。単に「軟骨が減っている」という理由だけで決めるものではありません。
歩ける距離が短くなった、夜も痛くて眠れない、仕事や家事が難しい、外出を避けるようになったといった影響を具体的に整理しましょう。手術によって期待できることだけでなく、入院、リハビリ、合併症、退院後の生活についても確認が必要です。
手術を先延ばしにすること自体が目的ではありません。保存療法で生活を保てるのか、手術による負担と期待できる改善のどちらが大きいのかを、担当医と一緒に考えることが重要です。

手術回避を考えるときに行われる保存療法
痛みを悪化させる動作を減らして股関節を守ります
痛みが強い時期は、深くしゃがむ、低い椅子から立つ、重い荷物を持って長く歩く、身体をひねりながら立ち上がるといった動作を減らします。椅子やベッドを少し高くするだけでも負担が軽くなることがあります。
杖を使う場合は、基本的に痛む股関節と反対側の手で持ちます。外出をすべて控えるのではなく、途中で休める場所を選び、痛みが強くなる前に休憩することも大切です。
体重が増えている方は、急激な減量ではなく、食事と無理のない運動で少しずつ調整します。生活習慣を整えることは、股関節にかかる負担を減らす一つの方法です。
ストレッチと筋トレは無理のない範囲から始めます
股関節が痛いからといって長期間動かさないでいると、周囲の筋力や柔軟性が低下し、さらに歩きにくくなることがあります。痛みの原因と程度に合わせて、リハビリを行うことが重要です。
自宅では、あお向けで膝を立て、お尻に力を入れて5秒ほど保つ運動から始められます。痛みがなければ、横向きまたは立った姿勢で脚をゆっくり外側へ動かし、お尻の横の筋肉を鍛えます。
ストレッチは、反動をつけず、心地よく伸びる範囲にとどめます。運動中に鋭い痛みが出る、運動後の痛みが翌日まで強く残る場合は、回数や動く範囲を減らしてください。自己流で悪化する場合は、理学療法士などによる動作指導が役立ちます。
薬や関節注射には役割と限界があります
痛み止めの内服薬や外用薬は、炎症や痛みを抑え、身体を動かしやすくするために使用します。年齢、腎臓や胃腸の状態、ほかに服用している薬によって適切な薬は異なるため、医師や薬剤師への確認が必要です。
関節注射で一時的に痛みを抑えられる場合もあります。ただし、注射だけを繰り返すのではなく、運動療法や生活動作の調整と組み合わせて考えることが大切です。
ヒアルロン酸注射は、一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。特に股関節への効果については慎重な評価が必要であり、何度も続ければ変形の原因が解消されるわけではありません。
股関節の手術と痛みに関するよくある質問
Q1. 股関節の変形があれば手術を受けるべきですか?
A. 画像に変形があっても、すぐに手術が必要とは限りません。痛みの強さ、歩ける距離、生活への影響、保存療法の効果を含めて判断します。手術を迷っている場合は、現在の進行度と手術を考える目安を担当医に確認しましょう。
Q2. 痛みがあるときは歩かない方がよいですか?
A. 強い痛みを我慢して歩き続ける必要はありませんが、長期間の完全な安静も筋力低下につながります。短い距離に分ける、杖を使う、水中歩行や自転車運動に変更するなど、痛みが強く残らない方法を選びましょう。
Q3. どのような症状があれば早めに受診すべきですか?
A. 転倒後に体重をかけられない、急に強く痛み出した、発熱や腫れを伴う、安静時や夜間の痛みが続く場合は、早めの受診が必要です。しびれや脚の力の入りにくさが進む場合も、腰や神経を含めた診察を受けてください。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ
痛みの原因に合った治療を選ぶことが大切です
股関節の痛みには、変形性股関節症だけでなく、筋肉や腱、腰の神経、大腿骨頭壊死、骨折などさまざまな原因があります。股関節の手術を迷う前に、痛みの原因と進行度を正確に知ることが治療選びの出発点です。
身体の使い方や筋力低下が関係している場合は、生活動作の調整、ストレッチ、筋トレ、リハビリによって負担を減らせる可能性があります。ただし、すり減った軟骨や進行した骨の変形を、保存療法で元通りにすることは困難です。
年齢のせいと諦めず早めに整形外科へ相談しましょう
痛みが数週間続く、歩ける距離が短くなった、靴下を履きにくい、夜も痛むといった変化があれば、整形外科の受診を検討してください。原因を早めに知ることで、現在の状態に合った対策を選びやすくなります。
手術を避けることだけにこだわる必要も、手術を急いで決める必要もありません。「何に困っているのか」「どのような生活を取り戻したいのか」を医師に伝え、納得できる治療方針を一緒に考えていきましょう。
参考情報
日本整形外科学会「変形性股関節症」
日本整形外科学会「変形性関節症」
米国整形外科学会「変形性股関節症診療ガイドライン」
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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