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変形性膝関節症とは?初期症状から検査・治療の選び方まで解説

変形性膝関節症とは?初期症状から検査・治療の選び方まで解説

変形性膝関節症とは、膝の軟骨や半月板などに変化が起こり、関節の炎症や骨への負担によって痛み・腫れ・動かしにくさが生じる病気です。加齢だけでなく、体重、過去のけが、脚の形などが関係します。初期には立ち上がりや歩き始めに痛むことがありますが、診断されたからといって、すぐに手術が必要とは限りません。まずは痛みが増す動作を調整し、症状が続く場合は整形外科で原因を確認しましょう。急に強く腫れた、熱がある、足をつけないほど痛い場合は、早急な受診が必要です。

この記事の内容

変形性膝関節症とはどのような病気?

変形性膝関節症は、膝関節全体に変化が起こる病気です。軟骨のすり減りに加え、半月板、軟骨の下の骨、関節を包む組織なども関係します。

膝の軟骨は骨の表面を覆い、関節の動きを滑らかにしています。半月板は、太ももとすねの骨の間で荷重を分散する組織です。これらの働きが低下すると、膝の一部に負担が集中しやすくなります。

ただし、軟骨そのものには痛みを感じる神経がありません。痛みには、関節内の炎症や骨への負担などが関係します。「軟骨が減っている量」と「痛みの強さ」は、必ずしも一致しません。画像上の変化が軽くても強く痛むことがあるため、写真だけで症状を判断しないことが大切です。[参考:順天堂医院]

主な原因と、なりやすい人の特徴

変形性膝関節症は、年齢による組織の変化と膝への負担などが重なって起こります。一つの原因だけで説明できる病気ではありません。

  • 加齢:軟骨や半月板の性質が変わり、傷みが蓄積しやすくなります。
  • 体重の増加:立つ・歩くといった動作で、膝にかかる負担が増えます。
  • 過去のけが:半月板や靱帯の損傷、膝周辺の骨折などが関係する場合があります。
  • 脚の形や荷重の偏り:O脚などで膝の一部に負担が集中することがあります。
  • 体質など:遺伝的な要因も関係し、女性や高齢者に多くみられます。

一方で、「年を取ったから治療しても仕方がない」と考える必要はありません。年齢にかかわらず、痛みを和らげ、生活しやすい状態を目指すことが治療の目的です。[参考:日本整形外科学会]

初期症状は?進行するとどう変わる?

初期によくみられるのは、立ち上がるときや歩き始めの痛み、膝のこわばりです。進行すると、階段や歩行の支障、曲げ伸ばしの制限などが目立つことがあります。

状態の目安みられやすい症状
初期歩き始めの痛み、座った後の動かしにくさ、休むと軽くなる痛み
進行した状態階段や長く歩くときの痛み、腫れ、水がたまる、正座しにくい
さらに進行した状態膝が伸びきらない、変形が目立つ、歩ける距離が短くなる、安静時にも痛む

この表は一般的な傾向です。全員が同じ順序や速さで悪化するわけではなく、症状だけで進行度は判定できません。夜の痛みや急な腫れも、必ずしも「末期」を意味するものではありません。[参考:東京都健康長寿医療センター]

受診前に確認しておきたいこと

診察では「どこが痛いか」に加えて、「いつから、どんな動作で、どれくらい困るか」が役立ちます。無理な屈伸で確かめる必要はありません。

  • 急に痛くなったのか、徐々に痛くなったのか
  • 歩き始め、階段、しゃがむ動作など、痛む場面
  • 腫れや熱っぽさ、膝が伸びにくい感じの有無
  • 歩ける距離や、買い物・仕事・睡眠への影響
  • 使っている薬や注射と、その効果

膝の痛みは、すべて変形性膝関節症が原因?

膝の内側が痛くても、変形性膝関節症とは限りません。また、変形性膝関節症があっても、別の病気が痛みの主な原因になっている場合があります。

症状・特徴確認したい原因の例
ひねった後の痛み、引っかかり半月板損傷など
膝の内側から少し下を押すと痛い鵞足炎(がそくえん:腱の付着部周辺の炎症)など
大きなけががないのに急に強く痛み、体重をかけにくい軟骨下脆弱性骨折など、骨の病変
急な腫れ、赤み、熱感偽痛風などの結晶による関節炎、感染性関節炎など

軟骨下脆弱性骨折とは、軟骨の下の骨に細かな骨折が起こる状態です。初期にはレントゲンで分かりにくいことがあります。以前から変形がある方でも、痛み方が急に変わったときは再評価が必要です。[参考:岡山済生会]

整形外科を受診した方がよい症状

痛みを繰り返す、腫れが続く、歩行や階段に支障がある場合は、整形外科を受診しましょう。急な強い症状がある場合は、通常の予約を待たずに相談してください。

当日中を目安に受診したい症状

  • 急に膝が大きく腫れ、赤みや強い熱感がある
  • 膝の痛みや腫れに発熱、強いだるさを伴う
  • けがの後、または突然、足をつけないほど痛くなった
  • 膝が引っかかったまま伸びず、動かせない

とくに感染性関節炎は、早い診断と治療が必要です。発熱がなくても、急な腫れや強い痛みがあれば軽視しないでください。夜間・休日に症状が強い場合は救急外来へ相談しましょう。[参考:済生会「化膿性関節炎」]

早めに予約して相談したい症状

休んでも痛みが改善しない、何度も水がたまる、歩ける距離が短くなる、夜の痛みが続く場合などです。「まだ歩けるから」と、日常生活への支障を我慢し続ける必要はありません。

整形外科ではどのような検査をする?

基本は問診・診察とレントゲンです。MRIや超音波検査は、痛みの原因をさらに調べる必要がある場合に組み合わせます。

診察とレントゲン:膝全体の状態を確認する

診察では、腫れ、押すと痛い場所、曲げ伸ばし、歩き方、膝の安定性などを確認します。レントゲンでは骨の変形や関節の隙間を調べ、可能な場合は立った状態で荷重のかかり方も評価します。

軟骨や半月板そのものは、通常のレントゲンにははっきり写りません。関節の隙間などから間接的に状態を判断します。

MRI:症状を説明する病変を詳しく調べる

MRIは、半月板・靱帯・軟骨や、骨の内部の変化を確認する検査です。変形性膝関節症の全員に必要な検査ではありません。レントゲンの変化に比べて痛みが強い、急に悪化した、診断や治療方針を見直したい場合などに検討します。

MRIで半月板の損傷が見つかっても、その所見が今の痛みをどこまで説明できるかを診察と合わせて判断します。「画像に異常がある=その部分を手術すれば解決する」とは限りません。

超音波・関節液検査など

超音波では、関節液のたまりや膝周辺の腱などを確認できます。感染や別の関節炎が疑われる場合は、血液検査や、関節液を採取する検査が必要になることもあります。[参考:岡山済生会・検査の説明]

自宅でできる対策:休みすぎず、負担を調整する

自宅での基本は、痛みが増す負担を減らしながら、無理のない運動を続けることです。ただし、急な強い痛みや腫れがあるときは、運動を始める前に診察を受けてください。

運動とストレッチは「翌日に悪化しない量」から

太ももの筋力を保つ運動と、膝の曲げ伸ばしを保つ運動を組み合わせます。たとえば安定した椅子に座り、片脚ずつ、痛みのない範囲でゆっくり膝を伸ばして戻す方法があります。足に重りを付けず、少ない回数から始めましょう。

歩行は平らな場所で短時間から。運動後や翌日に痛み・腫れが明らかに増える場合は、時間や回数を減らします。ストレッチも反動をつけず、痛みを我慢して深く曲げたり、膝を押して伸ばしたりしないでください。

適切な運動量は筋力や病状によって異なります。続け方に迷う場合は、医師や理学療法士に確認しましょう。[参考:順天堂医院・運動療法]

体重管理と日常動作の工夫

体重が多い方では、無理のない減量が膝の負担を減らす助けになります。ただし、高齢の方の極端な食事制限は筋力低下につながるため、体重だけでなく栄養と筋力も考えて進めます。

  • 深くしゃがむ作業や、長時間の正座を減らす
  • 低い椅子より、立ち上がりやすい高さの椅子を使う
  • 階段では手すりを利用し、重い荷物は分けて運ぶ
  • 必要に応じて、身体に合う杖や装具を相談する

冷やす・温めるの使い分け

運動後に熱っぽいときは、保冷剤をタオルで包んで短時間冷やすと楽になる場合があります。腫れや熱感がなく、こわばりが気になるときは、入浴などで温める方法もあります。

冷却や温熱は症状を和らげる補助です。感覚が鈍い方は低温やけど・凍傷に注意し、急な腫れを冷やすだけで様子見しないでください。

変形性膝関節症の治療方法と選び方

治療の基本は、運動療法や生活動作の調整に、必要な薬・注射などを組み合わせる保存療法です。痛みだけでなく、「どの動作ができるようになったか」も確認しながら見直します。

運動療法・リハビリテーション

筋力、柔軟性、歩き方を評価し、膝に合う運動を選びます。注射や薬で痛みが軽くなった後も、運動や生活上の工夫を組み合わせることが大切です。

薬物療法

湿布・塗り薬などの外用薬や、飲み薬で痛みを和らげます。消炎鎮痛薬は胃腸・腎臓・心臓などへの影響に注意が必要です。アセトアミノフェンも、肝機能や用量への配慮が必要になります。

持病やほかの薬との組み合わせによって選択が変わるため、市販薬を追加するときも医師・薬剤師に確認してください。[参考:診療ガイドライン2023・CQ6〜9]

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸関節内注射は、痛みや膝の動かしにくさの改善を目指す選択肢です。国内ガイドラインでは実施を提案していますが、効果には個人差があります。すり減った軟骨を元に戻す注射ではありません。

注射後の痛みや腫れ、まれな感染などのリスクもあります。十分な改善が得られない場合は、同じ注射を続ける前に痛みの原因と治療方針を見直します。[参考:診療ガイドライン2023・CQ13]

ステロイド注射

感染などを除外したうえで、関節の炎症が強い場合に検討することがあります。主に短期的な症状緩和を目指す治療で、頻回の注射や長期間の反復には慎重な判断が必要です。糖尿病がある方では血糖上昇などにも注意します。[参考:診療ガイドライン2023・CQ14]

手術を考えるタイミングは?

手術を考える目安は、適切な保存療法を行っても、痛みや動かしにくさで生活に大きな支障が残る場合です。レントゲンの進行度や年齢だけで決めるものではありません。

たとえば「買い物に行けない」「夜の痛みで眠れない」「膝が伸びず移動がつらい」といった問題が続く場合は、手術による改善の見込みも含めて相談します。薬の副作用などで保存療法の継続が難しい場合も検討材料です。

主な手術目的と選択の考え方
膝周囲骨切り術骨の角度を調整して、膝の一部に集中する負担を分散します。変形の場所、関節の残り方、活動性などから適応を判断します。
人工膝関節置換術傷んだ関節面を人工関節に置き換えます。病変の範囲や靱帯の状態などにより、一部を置き換える方法と全体を置き換える方法を検討します。

手術には感染や血栓などの合併症のリスクがあり、回復にはリハビリテーションが必要です。希望する生活や仕事への復帰、持病、家庭での支援も踏まえて選びます。[参考:東京都健康長寿医療センター・手術治療]

半月板損傷があれば、関節鏡手術が必要?

必ずしも必要ではありません。変形性膝関節症に伴う半月板の変性に対して、傷んだ部分を関節鏡で切除する治療の有用性は限定的とされています。膝が物理的に引っかかって伸びない場合などは、原因を確認して別途判断します。[参考:診療ガイドライン2023・CQ15]

手術を先延ばしにしない方がよい場合もある

「手術をしないこと」だけを目標にして、外出や活動を長く諦めてしまうと、筋力や体力の低下につながります。保存療法で生活を維持できているかを確認し、支障が大きい場合は手術の相談も並行して進めましょう。

相談したからといって、手術が決まるわけではありません。痛みの原因、これまでの治療への反応、今後続けたい生活を整理することが、治療選択の出発点です。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ

変形性膝関節症は、症状と検査結果を合わせて評価し、生活への影響に応じて治療を選ぶ病気です。

  • 初期には、立ち上がりや歩き始めの痛みがみられます。
  • レントゲンの変形と痛みの強さは、必ずしも一致しません。
  • 運動・生活動作の調整を基本に、必要な薬や注射を組み合わせます。
  • 保存療法で生活への支障が改善しない場合は、手術も選択肢です。
  • 急な強い痛みや腫れは、別の病気も考えて早めに受診してください。

膝の痛みが続く場合は、整形外科で原因を確認しましょう。困っている動作や、これから続けたい活動を伝えると、自分に合う治療を相談しやすくなります。

変形性膝関節症についてよくある質問

日常生活で迷いやすい疑問について、治療を考える際のポイントをまとめました。

Q1.変形性膝関節症と言われました。痛みがなくなれば治ったということですか?

A.痛みがなくなっても、軟骨や骨の変化が元に戻ったとは限りません。ただし、症状が落ち着き、普段の生活ができることは大切な改善です。無理のない運動を続け、通院や薬の調整は主治医と相談しましょう。

Q2.膝の水を抜くと、繰り返したまりやすくなりますか?

A.水を抜くこと自体が、繰り返したまる原因になるわけではありません。関節の炎症などが残っていると再びたまります。腫れを和らげたり、感染などを調べたりするために、必要に応じて水を抜きます。

Q3.膝がポキポキ鳴るだけでも、変形性膝関節症でしょうか?

A.音だけでは診断できません。痛みや腫れがなく、普段どおり動かせる場合は、音だけで緊急性が高いとはいえません。痛み、引っかかり、動かしにくさを伴う場合は、整形外科で確認しましょう。

Q4.変形性膝関節症でも、旅行やウォーキングを続けてよいですか?

A.症状が安定していれば、負担を調整しながら続けられる場合があります。歩く時間を分け、休憩や移動手段を確保しましょう。翌日に痛みや腫れが増える場合は活動量を減らし、受診時に相談してください。

参考文献・参考サイト

医学的内容の確認には、以下の国内公開資料を使用しています(確認日:2026年9月9日)。

  1. 日本整形外科学会監修.変形性膝関節症診療ガイドライン2023.南江堂,2023年.Minds公開本文。
  2. 日本整形外科学会.「変形性膝関節症」.症状・病気をしらべる。
  3. 順天堂大学医学部附属順天堂医院.整形外科・スポーツ診療科「変形性膝関節症」
  4. 東京都健康長寿医療センター.変形性膝関節症
  5. 岡山済生会総合病院/岡山済生会外来センター病院.変形性膝関節症の診断と治療法は?手術は必要?
  6. 済生会.化膿性関節炎

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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