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膝の注射はいつまで続ける?効果の確かめ方と治療を見直す目安

膝の注射はいつまで続ける?効果の確かめ方と治療を見直す目安

膝の注射をいつまで続けるかは、薬の種類と、痛み・歩きやすさの改善が続いているかで判断します。全員に共通する終了時期はありません。変形性膝関節症では、関節の炎症や負担の偏りなどが痛みに関わり、注射だけでは十分に改善しない場合もあります。まずは注射の名前、受けた回数、楽になった動作と効果の続いた日数を確認しましょう。効果が乏しい場合は、同じ注射を続ける前に治療の見直しを相談してください。注射後に強い腫れや熱感、発熱が出た場合は、次の予約を待たず受診が必要です。

膝の注射はいつまで続ける?まず「効果」と「負担」を確認

生活に役立つ改善があり、副作用や通院負担に見合う場合は、注射の継続を検討できます。一方、改善がないまま同じ注射を繰り返している場合は、診断や治療方針を見直す時期です。

この記事では、主に変形性膝関節症に対する関節内注射を説明します。関節リウマチなど別の病気では、治療全体の考え方が異なります。

現在の状態診察で相談したいこと
注射後は歩行や階段が楽になり、生活が保てている継続する利益と、次回の効果判定時期
痛みが落ち着き、次の注射前も困らなくなった間隔を延ばす、または休止して経過を見ること
何回か受けても、痛みや生活動作が変わらない薬の中止基準、診断の再確認、別の保存療法
以前より効く期間が短い、歩ける距離が減っている病状や負担の変化、再検査、手術相談の必要性
注射後に強い腫れ・熱感・発熱がある通常の効果判定とは分けて、速やかに受診する

通院期間が長いだけで治療が不適切とはいえません。ただし、「前から続けているから」という理由だけでなく、何が改善しているかを定期的に確認することが大切です。

ヒアルロン酸とステロイドでは、回数の考え方が違います

膝の注射は、薬によって目的や投与間隔が異なります。「膝の注射」という名前だけで判断せず、診療明細や医療機関への確認で薬剤名を把握しましょう。

ヒアルロン酸注射の「5回」は全員の終了回数ではありません

ヒアルロン酸注射は、関節の動きや痛みの改善を目的に使われます。例えばアルツディスポ関節注25mgの添付文書では、変形性膝関節症に対し、通常は週1回、連続5回投与し、症状により回数を調整するとされています。

同じ添付文書には、改善が認められない場合は、5回を限度として中止する旨の注意があります。「効果がなくても何か月も続ける」「効果があっても必ず5回で終了する」という意味ではありません。使用する製剤の指示に沿って判断します。[1]

改善が得られた後は、症状に応じて間隔調整や休止を相談します。薬が違えば使い方も異なるため、すべての膝の注射を同じ回数で考えないようにしましょう。

ステロイド注射は、繰り返す必要性をその都度判断します

ステロイド注射は、関節の炎症を抑える目的で選択されることがあります。強い炎症で動かしにくいときなどに、症状の改善が期待できます。

ただし、痛みが戻るたびに短い間隔で繰り返す使い方には慎重な判断が必要です。効果の持続、副作用、これまでの投与歴を確認し、回数や間隔を決めます。自己判断で注射を増やさず、糖尿病などの持病や、他院で受けた注射も伝えてください。

注射の効果は「痛み・動作・続いた期間」で確かめる

「少し楽だった」だけでなく、同じ動作をしたときの変化を比べると、効果を判断しやすくなります。注射前と、注射後から次の受診までの様子を簡単に記録しましょう。

確認する項目記録のしかた
痛みの強さ「痛みなし」を0、「想像できる最も強い痛み」を10として、歩き始めなど同じ場面で記録
歩きやすさいつもの買い物道で、休まず歩けたか
階段・立ち上がり手すりへの頼り方や、椅子から立つときの痛み
睡眠・痛み止め膝の痛みで目が覚めたか、追加の薬が必要だったか
効果の持続いつから楽になり、いつごろ元の状態に戻ったか

これは、ご自身の経過を医師と共有するための記録です。点数だけで注射の継続・中止を決めるものではありません。すべてを毎日書く必要はなく、困っている動作を一つ選ぶだけでも役立ちます。

外出を減らした結果、痛みが軽くなっていないか

注射後に痛みが減っていても、歩く量が大幅に減っていれば、注射だけの効果とは判断できません。逆に、痛みの点数が同じでも、買い物や家事がしやすくなっていれば、生活上の改善と考えられます。

痛み止め、リハビリ、仕事量が変わった場合も、記録に添えてください。「痛み」と「できること」を一緒に見るのが、治療を選ぶうえで重要な視点です。

膝の注射が効かないときは、痛みの原因も見直します

注射が効かないからといって、すぐに「変形が進んだ」「手術しかない」とは限りません。関節の炎症以外に、骨や半月板、膝周囲の組織などが痛みに関わっていないか確認します。

レントゲンの変形だけで治療を決めない

画像上の変形と、痛みの強さは必ずしも一致しません。整形外科では、痛みが始まった経過、押して痛む場所、腫れ、曲げ伸ばし、歩き方を合わせて評価します。

例えば、以前は歩き始めだけ痛かったのに、急に体重をかけられなくなった場合は、これまでと同じ病状と決めつけないことが大切です。骨の小さな骨折など、別の原因が隠れている場合があります。

MRIは必要性を判断して追加します

まず診察とレントゲンで評価し、必要に応じてMRIなどを追加します。全員が注射前にMRIを受ける必要はありません。[2]

レントゲンだけでは説明しにくい強い痛みや、急な症状の変化がある場合には、MRIで骨や半月板などを詳しく調べることがあります。超音波は、関節液や周囲の組織を確認する際に役立ちます。

ただし、画像で異常が見つかっても、その異常が痛みの主な原因とは限りません。検査結果と実際の症状を照らし合わせて治療を選びます。

注射を減らすためにも、運動と生活動作を整える

注射で症状が落ち着いている時期は、膝を支える筋力や動きを保つ取り組みを進める機会です。注射だけに頼らず、無理のない運動と負担の調整を組み合わせます。

運動療法では、太ももの筋肉を鍛える運動や、膝の曲げ伸ばしを保つ運動などを行います。座って片脚ずつ膝を伸ばすなど、体力と症状に合う方法を医師・理学療法士と相談しましょう。運動の内容や回数は個別に調整します。[3]

  • 痛みが増える深いしゃがみ込みや正座を減らす
  • 長時間歩く必要がある日は、途中で休憩を入れる
  • 必要に応じて手すりや杖を使い、膝の負担を調整する
  • 体重が多い場合は、筋力を保ちながら無理のない減量を相談する

強い腫れや急な痛みがある日は、無理に運動を進めず原因を確認してください。症状が落ち着いてから、負担を調整して再開します。外用薬や内服薬、装具なども、持病や副作用のリスクを踏まえて組み合わせる選択肢です。

注射の予定を待たず、整形外科を受診した方がよい症状

注射後の強い痛み・腫れ・熱感、発熱、急に歩けなくなった場合は、早急に医療機関へ連絡してください。一時的な注射後の反応と、感染などの病気は、自宅では区別できないことがあります。

  • 膝が赤く熱を持ち、痛みや腫れが増えている
  • 発熱がある、または熱がなくても体重をかけられないほど痛い
  • 膝が引っかかり、急に伸ばせなくなった

注射後に軽い痛みが出ることはありますが、「注射のせいだろう」と決めつけて強い症状を我慢しないでください。

緊急性が高い症状がなくても、効く期間が短くなった、夜間痛が続く、外出が減っている場合は、次回の診察で注射を受ける前に伝えましょう。

手術を考えるのは、注射の回数ではなく生活への支障が目安

手術は、注射を何回受けたかだけでは決めません。運動療法や薬などを適切に行っても、歩行や日常生活の支障が大きい場合に検討します。[2]

判断では、「買い物に行けるか」「眠れるか」「仕事や趣味を続けられるか」など、本人にとって大切な活動を確認します。年齢だけでなく、活動量、変形の状態、持病、治療への希望を踏まえます。

状態によっては人工膝関節置換術や、脚の骨の向きを調整する骨切り術などが選択肢になります。手術には感染や血栓などのリスク、術後のリハビリが伴うため、期待する改善と負担を確認します。

生活の制限が増えている場合は、注射だけで先延ばしにせず、手術を含めた相談を始めることが大切です。相談したからといって、すぐに手術を決める必要はありません。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ|膝の注射をいつまで続けるかは、定期的に確かめましょう

膝の注射は、薬ごとの使い方を守り、生活上の効果を確認しながら続ける治療です。次の点を主治医と共有しましょう。

  • 注射の種類と、薬ごとの継続・中止の基準を確認する
  • 痛みだけでなく、歩行や階段、効果の続いた日数を比べる
  • 改善が乏しければ、原因の再評価と治療の見直しを相談する
  • 運動療法や生活動作の調整を組み合わせる
  • 急な腫れや熱感・発熱、歩けないほどの痛みは早急に受診する

「何回で終わるか」だけでなく、「何が改善し、何がまだ困るか」を伝えることが、次の治療につながります。症状が続く場合は整形外科で原因を確認しましょう。

よくある質問

膝の注射をやめると、かえって悪くなりますか?

ヒアルロン酸注射をやめたこと自体で、必ず悪化するわけではありません。効果が切れて元の痛みが戻る場合はあります。落ち着いている場合は休止や間隔調整を相談し、症状が戻ったときの対応も決めておきましょう。

膝のヒアルロン酸注射は1回で効かなくても続けてよいですか?

1回だけでは効果を判断しにくい場合があります。ただし、漫然と続けるものではありません。薬の使い方と再評価の時期を確認してください。注射後に強い痛みや腫れが出た場合は、予定回数まで待たず連絡しましょう。

膝の水を抜くと、癖になってたまりやすくなりますか?

水を抜いたことが癖になるわけではありません。関節の炎症などが残っていると、再びたまることがあります。水を抜く処置と薬を入れる注射は目的が異なり、繰り返す場合は水がたまる原因も確認します。

膝の注射を続ければ、すり減った軟骨は元に戻りますか?

ヒアルロン酸やステロイドの注射を続ければ、すり減った軟骨が元に戻るとはいえません。主な目的は痛みや炎症、動かしにくさの改善です。痛みが軽くなったことと、軟骨が回復したことは分けて考えます。

参考資料

  1. アルツディスポ関節注25mg 添付文書(JAPIC掲載):用法・用量、改善がない場合の中止基準、投与時の注意。
  2. 日本整形外科学会「変形性膝関節症」:診察・画像検査、保存療法と手術療法。
  3. 日本整形外科学会「変形性ひざ関節症の運動療法」:筋力・関節の動きの維持と運動の個別調整。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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