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股関節 股関節の外側が痛いのはなぜ?横向き寝や歩行で痛む原因を解説

股関節の外側が痛いときは、外側の骨の出っ張りである「大転子」の周囲で、筋肉を骨につなぐ腱や、摩擦を減らす滑液包に負担がかかっている可能性があります。横向き寝、歩行、階段で痛む場合は「大転子部痛症候群」が代表的な原因です。ただし、変形性股関節症や腰の神経の問題、骨折でも似た痛みが出ます。まずは痛い側を下にして寝る姿勢や、痛みを我慢した長歩きを避けましょう。転倒後の痛み、体重をかけられない痛み、発熱を伴う場合は、早急な受診が必要です。
この記事の内容
股関節の外側が痛いときに多い「大転子部痛症候群」とは
大転子部痛症候群とは、太ももの骨の上部にある出っ張り「大転子」の周囲に痛みが出る状態の総称です。一つの組織の炎症だけを指す病名ではありません。
大転子には、歩くときに骨盤を支える中殿筋・小殿筋というお尻の筋肉の腱が付いています。周囲には、骨と腱などの摩擦を減らす袋状の組織「滑液包」もあります。
以前は「大転子滑液包炎」と説明されることが多かったものの、腱の傷みや変性が中心となる場合もあります。大転子部痛症候群には、こうした腱の障害や滑液包炎などが含まれます。
なぜ横向き寝や歩行で痛むのですか?
痛い側を下にして寝ると、大転子周囲が寝具と体重で圧迫されます。一方、歩行や階段では、片脚に体重をかけるたびにお尻の筋肉と腱が働きます。「横向きで圧迫される痛み」と「歩くときに負荷がかかる痛み」の両方が起こり得ることが特徴です。
中年以降の女性に多い傾向がありますが、男性や運動習慣のある若い方にも起こります。急に歩行量を増やしたこと、立ち仕事、周囲の筋力低下などが関係する場合があり、「年齢のせい」「骨盤のゆがみ」だけで原因を決めることはできません。
症状から考えられる主な原因
股関節の外側の痛みは、腱や滑液包だけでなく、関節内部や腰から生じることもあります。痛む場所と、痛みが出る動作を組み合わせて考えます。
| 症状・特徴 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 外側の骨の出っ張りを押すと痛い。横向き寝や階段で痛む | 大転子部痛症候群:中殿筋・小殿筋の腱障害、滑液包炎など |
| 脚の付け根も痛い。靴下を履く、股関節を曲げる・回す動作がしにくい | 変形性股関節症など、股関節内部の病気 |
| 腰やお尻から痛みが広がり、しびれもある。腰の姿勢で症状が変わる | 腰椎の病気に伴う関連痛や神経の障害 |
| 太ももの前外側の皮膚がピリピリする、感覚が鈍い | 外側大腿皮神経という、皮膚の感覚を伝える神経の圧迫 |
| 股関節の曲げ伸ばしで、外側に引っかかりや弾ける感覚がある | 外側型の弾発股:太もも外側の帯状組織などが大転子を乗り越える状態 |
| 転倒後に痛み始めた。急に体重をかけにくくなった | 大腿骨や骨盤の骨折など |
この表は受診時に症状を伝えるための目安です。同じ症状でも原因は異なり、複数の病気が重なっていることもあります。
外側だけが痛くても、変形性股関節症の可能性はあります
変形性股関節症では脚の付け根の痛みが代表的ですが、外側にも痛みを感じる場合があります。国内の研究でも、変形性股関節症と大転子周囲痛の併存が報告されています。
そのため、「外側だから関節の中は問題ない」とは言い切れません。反対に、レントゲンで変形が見つかっても、現在の痛みには外側の腱や腰の問題が強く関係している可能性があります。
自分で確認しておきたいポイント
診察前に役立つのは、痛みを無理に再現する検査ではなく、普段の症状の記録です。次の点を整理すると、原因の見極めに役立ちます。
- 痛みの中心は、脚の付け根・外側の出っ張り・お尻のどこか。
- いつから痛むか。転倒や、歩行量・運動量を増やしたきっかけはあるか。
- 横向き寝、歩行、階段、立ち上がりのうち、どの動作で痛むか。
- 寝る向きを変えると軽くなるか。姿勢を変えても痛みが続くか。
- しびれ、力の入りにくさ、発熱がないか。
確認のために痛い場所を何度も強く押したり、無理に片脚立ちをしたりする必要はありません。特に転倒後や歩行が不安定なときは、自己テストをせず受診してください。
自宅でできる対策:圧迫と運動量を調整する
大転子周囲の腱や滑液包が関係する痛みでは、痛い部分への圧迫を減らし、活動量を調整することが基本です。ただし、骨折などが疑われる場合はセルフケアより受診を優先します。
横向き寝は枕で上側の脚を支える
痛い側を下にして寝る姿勢を避け、まずは仰向けなど楽な姿勢を選びます。仰向けでは、膝の下に薄いクッションを入れると楽になることがあります。
反対側を下にして横向きになるときは、両膝の間に枕を挟み、必要に応じてすねや足首側まで支えます。上側の脚が身体の内側へ落ち込むのを防ぐためです。痛い側を上にしても痛む場合は、脚を支える位置や枕の厚さを調整してください。
長歩きや階段を減らし、動ける範囲は保つ
歩くほど痛みが増すときは、距離や回数を一時的に減らします。坂道や階段を控え、平らな道で短い距離に分けて歩く方法があります。階段では手すりを使いましょう。
一方、痛みの原因が確認され、医師から安静の指示がない場合は、ずっと寝て過ごす必要はありません。その場で歩けるかだけでなく、その日の夜や翌朝に痛みが増えていないかも目安にし、増える場合は負荷を下げます。
脚を組む姿勢や、片脚に寄りかかる立ち方を減らす
座るときは脚を組まず、両足を床につけます。立つときは片側の腰を横に突き出して片脚に体重を預ける姿勢を長く続けず、両脚へ体重を分けるよう意識します。
痛い部分を強く伸ばしたり、揉んだりしない
股関節の外側が痛いからといって、ストレッチがいつも適切とは限りません。膝を反対側へ強く引き寄せる動きなどは、大転子周囲の腱への圧迫を増やし、痛みを強めることがあります。
骨の出っ張りにマッサージ器や硬いローラーを強く当てることも控えましょう。痛みを再現するストレッチはいったん中止し、運動の種類を医師や理学療法士と調整します。
冷却は痛みを和らげる補助として使う
活動後に痛む場合は、保冷剤をタオルで包み、10〜15分程度を目安に冷やすと楽になることがあります。皮膚に直接当てず、皮膚の色や感覚に異常が出たら中止してください。冷却だけで原因を治せるわけではありません。
整形外科を受診した方がよい症状
歩けないほどの痛み、転倒後の痛み、発熱や赤みを伴う痛みは、早急に原因を確認する必要があります。緊急性が高くなくても、睡眠や歩行に支障があれば受診してください。
当日中の受診・救急相談を考える症状
- 転倒や衝突の後から股関節周辺が強く痛む。
- 急に立てなくなった、体重をかけられない。
- 発熱があり、股関節周辺が赤い、熱を持つ、腫れている。
- 脚の力が急に入りにくくなり、尿が出にくいなどの異常もある。
骨が弱くなっている方では、大きな転倒がなくても骨折することがあります。「少し歩けるから骨折ではない」と自己判断せず、急な痛みや転倒後に続く痛みは診察を受けましょう。
早めに予約して相談したい症状
- 夜に何度も目が覚める、歩く距離が短くなった、脚を引きずる。
- 負担を減らしても改善しない、または痛みを繰り返す。
- しびれや力の入りにくさが続く。
- 寝る向きを変えても安静時の痛みが続き、徐々に強くなる。
軽い痛みでも、生活を調整して1〜2週間ほどで改善傾向がなければ、受診を考える目安になります。これは診断基準ではなく、受診まで必ず待つ必要もありません。
横向きで圧迫したときだけ痛み、姿勢を変えると軽くなる症状は大転子周囲の障害でも起こります。夜に痛むという理由だけで重い病気とは限りませんが、姿勢に関係なく増悪する痛みは確認が必要です。
整形外科ではどのような検査をしますか?
診断では、問診と診察で痛みの出方を調べ、必要に応じて画像検査を組み合わせます。股関節の外側が痛い方すべてに、最初からMRIが必要なわけではありません。
診察:股関節だけでなく腰や歩き方も確認
押したときの痛み、股関節の動く範囲、お尻の筋力、歩くときの骨盤の動きを確認します。しびれがある場合などは、腰の動きや神経の働きも調べます。
整形外科で大切なのは、「どこを押すと痛いか」「どの動きでいつもの痛みが出るか」「画像に何が写っているか」が一致するかを確かめることです。
レントゲン・超音波・MRIの役割
| 検査 | 主に確認すること |
|---|---|
| レントゲン | 関節のすき間、骨の変形、骨折など。腱や滑液包の評価には限界があります。 |
| 超音波(エコー) | 大転子周囲の腱や滑液包の状態。動かしたときの組織の動きを確認できる場合もあります。 |
| MRI | 腱の断裂の程度、レントゲンで分かりにくい骨折、骨や関節内部の病変など。 |
MRIは、筋力低下が目立つ、適切な治療を続けても改善しない、骨折などを疑う場合に検討します。
また、画像の異常が必ず痛みの原因とは限りません。国内の変形性股関節症の研究でも、超音波で見られる腱の変化や滑液包の液体貯留と、外側の痛みが単純には対応しないことが示されています。画像だけで病名や治療を決めず、症状と診察を合わせて判断します。
治療方法:まずは保存療法を組み合わせます
大転子部痛症候群では、生活動作の調整と運動療法を中心に、必要に応じて薬や注射を組み合わせます。原因が変形性股関節症や腰の病気であれば、その病気に応じた治療が必要です。
運動療法:負担に耐えられる筋力を少しずつつける
お尻や股関節周囲の筋肉を鍛え、立つ・歩く動作を安定させます。痛みの強い時期は、股関節を大きく動かさず筋肉に力を入れる運動から始め、状態に応じて立ち上がりなどの動作へ進める場合があります。
研究では、負担の管理についての説明と運動療法を組み合わせる方法に、痛みや機能の改善が報告されています。ただし、適した負荷や回復の速さには個人差があり、改善に数か月かかる場合もあります。
年齢だけでなく、歩行能力、仕事内容、運動習慣、腱の状態を踏まえて内容を決めます。自己流で回数を増やすより、痛みの経過を確認しながら段階的に進めることが大切です。
薬物療法:痛みを抑えて生活や運動を助ける
必要に応じて、外用薬や内服の鎮痛薬を使います。胃腸や腎臓の病気、ほかの薬との飲み合わせによって適切な薬が異なるため、市販薬を長期間使い続ける前に医師・薬剤師へ相談してください。
注射治療:対象となる組織と目的を確認する
痛みが強く睡眠や運動療法を妨げる場合は、大転子周囲の滑液包などを対象に、ステロイド注射を検討することがあります。短期的に痛みを和らげる選択肢ですが、効果の持続には個人差があります。
注射後の一時的な痛み、皮膚・皮下組織の変化、血糖上昇、まれな感染などに注意が必要です。腱への影響にも配慮し、漫然と反復せず、必要性や注射部位を判断します。
股関節の中への注射と、外側の滑液包などへの注射は別の治療です。「股関節が痛い」という理由だけで同じ注射を選ぶのではなく、原因となる組織を確認します。
手術を考えるのはどのような場合ですか?
大転子周囲の痛みでは、まず手術以外の治療を検討します。ただし、腱の大きな断裂や強い筋力低下があり、保存療法で日常生活の支障が改善しない場合は、腱の修復手術などを検討します。
手術の判断では、画像の断裂だけでなく、歩き方、筋力、痛みの程度、これまでの治療、本人の生活上の希望を確認します。明らかな筋力低下が進んでいる場合は、長期間自己判断で様子を見ず、専門的な評価を受けましょう。
変形性股関節症が主な原因で、保存療法でも歩行や生活の支障が大きい場合には、人工股関節などが選択肢になることもあります。骨折などでは早期の手術が必要な場合があり、すべての痛みに同じ順序で治療するわけではありません。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ:股関節の外側の痛みは、原因に合った対策を
股関節の外側が痛いときは、大転子周囲の腱や滑液包への負担が代表的な原因ですが、症状だけでは診断できません。
- 横向き寝や階段で痛む場合は、大転子部痛症候群が原因の一つです。
- 外側だけの痛みでも、股関節内部や腰の病気が関係する場合があります。
- 寝方や活動量を調整し、痛みを強めるストレッチや強いマッサージは控えましょう。
- 治療は生活動作の調整と運動療法を基本に、状態に応じて薬や注射、手術を検討します。
- 転倒後の痛み、体重をかけられない痛み、発熱を伴う場合は早急に受診してください。
症状が続く場合は、整形外科で原因を確認しましょう。受診時には、痛む場所だけでなく、寝方や歩行との関係も伝えると診断に役立ちます。
よくある質問
Q1.右だけ、左だけ股関節の外側が痛いのはなぜですか?
片側だけの腱への負担や、股関節・腰の病気などで起こります。右か左かだけで原因は決まりません。いつ痛むか、しびれがあるか、転倒していないかを確認し、続く場合は整形外科へ相談してください。
Q2.股関節の外側が痛いとき、ウォーキングを続けても大丈夫ですか?
痛みが増えない範囲なら続けられる場合があります。まず距離や坂道を減らし、その夜や翌朝に痛みが増す場合は負荷を下げましょう。転倒後、脚を引きずる、体重をかけにくい場合は中止して受診してください。
Q3.レントゲンで異常なしでも、股関節の外側が痛むことはありますか?
あります。腱や滑液包の異常は、レントゲンでは十分に分からないことがあります。診察をもとに超音波やMRIを検討します。転倒後に痛みが続く場合などは、写りにくい骨折にも注意が必要です。
Q4.股関節の外側の痛みは湿布だけで治りますか?
軽い痛みが落ち着く場合はありますが、湿布だけでは原因に十分対応できないことがあります。腱への圧迫や負荷が関係する場合は、寝方や活動量の調整も必要です。改善しない、繰り返す場合は受診してください。
参考文献・参考情報
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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