コラム COLUMN
スポーツ外傷変形性膝関節症膝 膝の水を抜くとクセになる?
膝の痛みや腫れを訴える患者さんの中には「膝に水が溜まる」という症状を経験したことがある方が多いです。この「膝の水」とは、関節液が通常以上に溜まった状態を指します。しかし、よく聞かれる質問の一つに「膝の水を抜くとクセになるのか?」というものがあります。この記事では、その疑問について詳しく解説します。
膝の水とは何か?
膝の水とは、膝関節内にある関節液が過剰に分泌された状態です。関節液は通常1〜3mL程度ですが、炎症などが原因で30mL以上に増えることがあります。関節液には潤滑油の役割と、軟骨に栄養を供給する役割があります。この液体が過剰に分泌される原因としては、変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチ、痛風などが挙げられます。
関節液が溜まる原因
膝に水が溜まる原因は、主に滑膜の炎症によるものです。滑膜は関節液を生成・吸収する役割を持ちますが、このバランスが崩れると過剰な関節液が溜まり、膝が腫れます。
- 変形性膝関節症:中高年に多く見られ、関節軟骨や半月板の摩耗が原因です。摩耗した組織が滑膜を刺激し、炎症を引き起こします。
- 半月板損傷・靱帯損傷:若年層では、スポーツや事故による損傷が原因となり、滑膜が炎症を起こします。
- 関節リウマチ・痛風:関節リウマチは免疫の異常が原因で、痛風は尿酸が関節に溜まることによる炎症です。
膝の水を抜くメリット
膝の水を抜くことには、以下のようなメリットがあります。
- 診断の補助:抜いた関節液の色や状態から、炎症の原因をある程度特定することができます。例えば、関節液が濁っている場合は感染症、黄色みがかっている場合は変形性膝関節症が疑われます。
- 症状の緩和:膝の腫れや痛みを軽減し、曲げ伸ばしの動きを改善します。
膝の水を抜くとクセになるのか?
「膝の水を抜くとクセになる」ということはありません。何度も膝に水が溜まるのは、根本的な原因が解決されていないからです。炎症が続いている限り、関節液は再び過剰に分泌されます。膝の水を抜くこと自体が悪影響を与えるわけではありません。むしろ、溜まった水を放置すると、炎症物質が膝関節内に留まり、炎症と痛みを悪化させる可能性があります。
自然治癒は期待できるのか?
膝に水が溜まる原因となる炎症が治らない限り、関節液が自然に減少することはほとんどありません。したがって、放置せずに早めに医師の診察を受けることが重要です。医師は関節液を抜いたり、必要に応じてMRI検査を行い、原因を特定して適切な治療を行います。
膝に水が溜まるとどんな症状が出るのか?
初期症状として、以下のような兆候が見られることがあります。
- 膝全体に腫れぼったさを感じる
- 膝が重苦しく感じる
- 膝が突っ張って曲げ伸ばしがしにくくなる
これらの症状を感じた場合、自己チェックを行うことも可能です。膝を伸ばして座り、片方の手で膝の上部を押さえ、もう片方の手でお皿の骨を押してみて、異物感があるかどうかを確認します。
自分で対処する方法はあるのか?
膝に水が溜まった場合、自分で対処しようとするのはおすすめできません。例えば、温めるか冷やすかの判断は、炎症の原因によって異なります。急性期のケガであれば冷やすのが正解ですが、慢性的な変形性膝関節症の場合は温める方が効果的です。誤った対処法は症状を悪化させる可能性があるため、まずは医師の診断を受けることが重要です。
膝の水を抜いた後の注意点
膝の水を抜いた後、痛みが消えない場合もありますが、その場合は感染症の可能性もあります。処置後に痛みが続いたり、赤みや熱を感じた場合はすぐに病院を受診してください。また、根本的な原因である関節炎の治療を行わなければ、痛みや腫れが再発することがあります。
まとめ
膝に水が溜まる原因は多岐にわたり、そのまま放置すると症状が悪化する可能性があります。膝の水を抜くことは、症状の緩和や診断の補助として有効ですが、根本的な原因を治療しない限り再発することがあります。膝の痛みや腫れを感じたら、早めに医師の診察を受け、適切な治療を行うことが重要です。
膝に水が溜まる症状でお困りの方は、ぜひ専門医の診察を受け、適切なアドバイスと治療を受けるようにしましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
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