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股関節がポキポキ鳴る高齢者の原因は?痛み・違和感の受診目安を整形外科専門医が解説

股関節がポキポキ鳴る高齢者の原因は?痛み・違和感の受診目安を整形外科専門医が解説

「歩き始めると股関節がポキポキ鳴る」「立ち上がるときにコキッと音がする」「痛みは強くないけれど、このまま放置していいのか不安」。診察室でも、50代以降の方からこのような相談をよく受けます。

股関節がポキポキ鳴ると、「骨がずれているのでは」「軟骨がすり減っているのでは」と心配になる方も多いと思います。実際には、音だけで痛みがない場合は、すぐに大きな病気とは限りません。一方で、高齢者で股関節のポキポキ音に痛み、歩きにくさ、階段でのつらさが伴う場合は、変形性股関節症や筋力低下、炎症などが関係していることもあります。

この記事では、股関節がポキポキ鳴る高齢者の原因、注意したい症状、自宅でできるストレッチや筋トレ、整形外科で行われる保存療法について、一般の方にもわかりやすく解説します。

股関節がポキポキ鳴る症状の特徴とよくある困りごと

どんな場面で音や違和感が出やすいか

股関節のポキポキ音は、立ち上がるとき、歩き始め、階段の上り下り、足を横に開いたとき、靴下を履こうとしたときなどに出ることがあります。音の表現も人によってさまざまで、「ポキッ」「コキッ」「ゴリッ」「引っかかる感じ」と話される方もいます。

音だけで痛みがない場合、腱や筋肉が骨の出っ張りを乗り越えるときに鳴っていることがあります。これは弾発股と呼ばれる状態で、いわゆる「股関節が引っかかって鳴る」ような症状です。若い方にも起こりますが、高齢者では筋力低下や姿勢の変化、歩き方のくせが重なることで目立つことがあります。

一方で、歩くと痛い、階段で痛い、長く歩けない、正座やしゃがみ込みがしづらいといった症状がある場合は、股関節だけでなく、腰、膝、骨盤まわりの関節の痛みが関係していることもあります。

放置すると生活にどんな影響が出るか

股関節は、立つ、歩く、階段を上る、車に乗る、靴下を履くなど、日常生活の多くの動きに関わります。そのため、股関節の違和感や痛みが続くと、外出がおっくうになったり、歩く距離が短くなったりします。

痛みをかばって歩くと、反対側の股関節、膝、腰に負担がかかることもあります。実際に診療では、「最初は股関節だけだったのに、最近は膝の痛みや腰痛も出てきた」という方も少なくありません。

特に高齢者では、動く量が減ることで筋力が落ち、さらに歩きにくくなる悪循環に入りやすくなります。股関節がポキポキ鳴るだけで慌てる必要はありませんが、痛みや動きにくさが続く場合は、早めに原因を確認することが大切です。

股関節がポキポキ鳴る高齢者に考えられる原因

関節や筋肉に起きている変化

股関節がポキポキ鳴る原因として多いのは、関節そのものよりも、周囲の筋肉や腱の動きによるものです。腱とは、筋肉と骨をつないでいるすじのような組織です。股関節の前側、外側、お尻まわりの筋肉が硬くなると、腱が骨に引っかかるように動き、音が出ることがあります。

また、加齢により股関節まわりの筋力が低下すると、関節の動きが不安定になりやすくなります。股関節を支える筋肉がうまく働かないと、歩くときに関節への負担が増え、違和感や痛みにつながる場合があります。

変形性股関節症も注意したい原因のひとつです。変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が起こる病気です。初期には「足の付け根が重い」「歩き始めだけ痛い」「股関節が鳴るような感じがする」といった症状から始まることがあります。

年齢だけではない原因

股関節のポキポキ音や痛みは、年齢だけで決まるものではありません。体重の増加、運動不足、長年の歩き方のくせ、足に合わない靴、過去のけが、腰や膝の痛みをかばう動きなども関係します。

たとえば、膝の痛みがある方は、無意識に膝をかばって歩きます。その結果、股関節や腰に負担がかかり、股関節の違和感が出ることがあります。反対に、股関節の動きが悪いことで膝に負担がかかり、階段で膝が痛い、歩くと膝が痛いという症状につながることもあります。

「高齢だから仕方ない」と言われると、何もできないように感じるかもしれません。しかし実際には、筋肉の硬さ、筋力低下、歩き方、生活習慣を見直すことで、痛みや動きにくさの軽減を目指せる場合があります。

注意したい症状と受診の目安

股関節がポキポキ鳴るだけで、痛みがなく、歩行にも支障がない場合は、まず様子を見ながらストレッチや筋力維持を意識してもよいでしょう。ただし、次のような症状がある場合は、整形外科で相談することをおすすめします。

足の付け根やお尻の痛みが2週間以上続く、歩くと痛い、階段で痛い、足を引きずる、靴下を履きにくい、夜間も痛む、急に強い痛みが出た、転倒後から痛みがある。このような場合は、変形性股関節症、骨折、炎症、腰からくる神経の症状などを確認する必要があります。

特に高齢者では、軽い転倒でも骨折が隠れていることがあります。「少し痛いだけ」と我慢しすぎず、普段と違う痛みがあるときは早めの受診が安心です。

自宅でできる対策と予防法

痛みがあるときの動き方

股関節に痛みがあるときは、「頑張って歩けばよくなる」と考えて無理をしすぎないことが大切です。痛みを我慢して長時間歩くと、関節や筋肉に負担がかかり、炎症が長引くことがあります。

一方で、まったく動かさない状態が続くと、股関節まわりの筋肉が弱くなり、かえって動きにくくなることもあります。痛みが強い日は歩く距離を短くし、買い物ではカートを使う、階段を避けてエレベーターを使うなど、負担を減らしながら動くことが現実的です。

「痛みが出る手前でやめる」「翌日に痛みが残らない量にする」という考え方が、股関節の痛み対策では役立ちます。

無理なくできるストレッチ・筋トレ

股関節がポキポキ鳴る高齢者の方では、股関節まわりの筋肉が硬くなっていることがあります。まずは痛みのない範囲で、ゆっくり股関節を動かすことから始めましょう。

椅子に座ったまま、片方の膝を少し持ち上げて下ろす運動は、股関節の前側の筋肉を無理なく使えます。背もたれに軽く寄りかかり、左右10回ずつを目安に行います。痛みが出る場合は回数を減らしてください。

お尻の筋肉を鍛えるには、仰向けで膝を立て、お尻を少し持ち上げる運動があります。腰を反らしすぎず、ゆっくり上げて、ゆっくり下ろします。これも痛みのない範囲で行うことが大切です。

ストレッチでは、反動をつけて無理に伸ばす必要はありません。気持ちよく伸びる程度で止め、呼吸をしながら20秒ほど保ちます。股関節の痛みが強い日や、動かすと鋭く痛む日は無理に行わないでください。

体重、靴、歩き方など生活習慣の見直し

股関節は体重を支える関節です。体重が増えると、歩くたびに股関節や膝にかかる負担も大きくなります。急激な減量を目指す必要はありませんが、間食を少し減らす、夜遅い食事を控える、たんぱく質を意識して筋肉を保つなど、できることから始めましょう。

靴も重要です。底がすり減った靴、かかとが不安定な靴、サイズが合っていない靴は、股関節や膝の痛みを悪化させることがあります。歩くときにふらつく方は、クッション性があり、かかとをしっかり支える靴を選ぶとよいでしょう。

歩き方では、大股で無理に歩くより、やや小さめの歩幅で安定して歩く方が股関節への負担が少ない場合があります。杖を使うことに抵抗がある方もいますが、痛みが強い時期には転倒予防や負担軽減に役立つことがあります。

整形外科で行われる治療法

保存療法とは何か

整形外科では、まず問診、診察、レントゲン検査などで原因を確認します。必要に応じて、腰や膝の状態も一緒に確認します。股関節の痛みと思っていても、腰の神経や膝の痛みが影響していることがあるためです。

保存療法とは、手術以外の方法で痛みを軽くし、動きやすさを保つ治療のことです。薬、湿布、リハビリ、運動指導、生活指導、装具などを組み合わせます。変形性関節症があっても、すぐに手術が必要とは限りません。症状の程度、生活への影響、年齢、体力、希望を踏まえて治療方針を考えます。

薬、湿布、装具、リハビリの役割

痛みが強い時期には、痛み止めや湿布を使って炎症を抑えることがあります。ただし、薬だけで股関節まわりの筋力や歩き方が改善するわけではありません。痛みを抑えながら、必要な運動やリハビリにつなげることが大切です。

リハビリでは、股関節の動き、筋力、歩き方、姿勢を確認します。自己流の筋トレで痛みが強くなる方もいるため、どの運動をどのくらい行うべきかを専門家に見てもらうと安心です。

装具や杖は、痛みを我慢するためのものではなく、関節への負担を減らし、転倒を防ぐための道具です。必要な時期に上手に使うことで、外出や日常生活を続けやすくなる場合があります。

ヒアルロン酸注射の限界と注意点

股関節や膝の関節の痛みに対して、関節注射が行われることがあります。ヒアルロン酸注射は、一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。

何度も注射を続ければ根本的に改善する、というものではないため、効果が乏しい場合や痛みが長引く場合は、注射だけに頼らず、リハビリ、体重管理、歩き方の見直し、必要な検査を含めて考えることが大切です。

手術についても、すべての方にすぐ必要なわけではありません。保存療法で生活しやすくなる方もいますし、痛みや変形が進んで日常生活への支障が大きい場合には、手術が選択肢になることもあります。大切なのは、早めに状態を把握し、自分に合った方法を選ぶことです。

よくある質問とまとめ

Q1. 痛みがあるときは動かさない方がいいですか?

A. 痛みが強い時期は無理を避ける必要がありますが、まったく動かさない状態が続くと筋力が落ち、かえって痛みが長引くことがあります。状態に合わせた軽い運動やストレッチが大切です。

Q2. 年齢のせいなら治療しても意味がありませんか?

A. 年齢による変化はありますが、痛みの原因は筋力低下、体重、歩き方、炎症、関節への負担などさまざまです。原因に合わせて対策すれば、痛みの軽減や歩きやすさの改善を目指せる場合があります。

Q3. どのタイミングで整形外科を受診すればよいですか?

A. 痛みが2週間以上続く、階段や歩行に支障がある、腫れや熱感がある、急に強い痛みが出た、夜間も痛む場合は、早めに整形外科で相談しましょう。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

股関節のポキポキ音は原因を知ることが大切です

股関節がポキポキ鳴る高齢者の原因には、筋肉や腱の引っかかり、股関節まわりの筋力低下、歩き方のくせ、変形性股関節症などがあります。音だけで痛みがない場合は過度に心配しすぎる必要はありませんが、歩くと痛い、階段で痛い、足を引きずる、夜間も痛むといった症状がある場合は注意が必要です。

自宅では、痛みのない範囲で股関節を動かし、無理のないストレッチや筋トレを続けることが予防につながります。体重、靴、歩き方などの生活習慣を見直すことも、股関節や膝の痛みを減らすうえで大切です。

「年齢のせいだから仕方ない」と決めつける前に、まずは原因を知ることが第一歩です。早めに状態を確認し、自分に合った対策を続けることで、歩きやすさや生活のしやすさを保てる可能性があります。不安な症状が続くときは、我慢しすぎず整形外科で相談してみてください。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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