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股関節 股関節が立ち上がると痛い|脚の付け根に痛みが出る原因と対処法

椅子から立ち上がると股関節が痛い場合、変形性股関節症や股関節周囲の筋肉・腱の不調などが考えられます。立ち上がる瞬間は、曲げていた股関節を伸ばしながら体重を支えるため、痛みが出やすくなります。まずは低い椅子や深いしゃがみ込みを避け、痛みを我慢する運動を控えましょう。ただし、症状だけで原因は決められません。痛みを繰り返す、歩きにくい、靴下を履きにくい場合は整形外科へ。急に体重をかけられなくなった場合や、発熱を伴う強い痛みは、早急な受診が必要です。
この記事の内容
股関節が立ち上がると痛いのはなぜ?
立ち上がりは、股関節の角度と負担が大きく変わる動作です。関節や周囲の組織に不調があると、座っている間は気にならなくても、動き始めに痛むことがあります。
股関節とは、骨盤のくぼみと太ももの骨の丸い先端が組み合わさる関節です。体重を支えながら、脚を曲げ伸ばしする役割があります。
休んだ後の動き始めに出る痛みを「始動時痛」と呼びます。変形性股関節症でもみられますが、立ち上がりの痛みだけで、軟骨がすり減っていると判断することはできません。日本整形外科学会も、立ち上がりや歩き始めの脚の付け根の痛みを、股関節症の症状として説明しています。[1]
脚の付け根に痛みが出る主な原因
代表的な原因は変形性股関節症ですが、筋肉・腱の障害や腰からの痛みも候補になります。急に強く痛み始めた場合は、骨折などの確認も必要です。
変形性股関節症・股関節の形の影響
変形性股関節症は、関節軟骨が傷み、骨や関節周囲にも変化が起こる病気です。脚の付け根の痛みに加え、靴下を履く、足の爪を切る、車に乗り込むといった動作が難しくなることがあります。[1]
骨盤側のくぼみが浅く、太ももの骨を十分に覆っていない状態を「臼蓋形成不全」といいます。股関節の傷みにつながる場合がありますが、画像で形の違いが見つかっても、必ず痛みが出るわけではありません。[2]
股関節周囲の筋肉・腱、関節唇の不調
歩く量や運動量が急に増えた後は、脚を持ち上げる筋肉である腸腰筋や、その腱などが痛みの原因になることがあります。股関節の外側では、お尻の筋肉の腱や、腱の滑りを助ける袋である滑液包の不調も考えます。
深く曲げたりひねったりすると脚の付け根が痛み、引っかかる感じがある場合は、骨同士がぶつかる股関節インピンジメントや、関節のふちにある軟骨「関節唇」の損傷を検討します。ただし、音や引っかかりだけでは診断できません。
腰からの痛み・骨折・大腿骨頭壊死症
腰の神経の不調で、股関節周辺や太ももに痛みを感じることもあります。しびれや腰痛がある場合は、股関節と腰の両方を調べます。
骨が弱くなっている方では、大きな転倒がなくても骨折することがあります。「少し歩けるから骨折ではない」とは判断しないでください。レントゲンでは分かりにくい骨折もあります。[3]
大腿骨頭壊死症は、太ももの骨の丸い先端の一部で血流が低下し、骨組織が傷む病気です。ステロイドの大量投与歴や多量の飲酒との関連がありますが、明らかな要因がない方にも起こります。服薬歴は医師に伝え、処方薬を自己判断で中止しないでください。[4]
年齢だけでなく、活動歴や痛みの始まり方も確認する
中高年では変形性股関節症を考えますが、「年のせい」と決めつけないことが大切です。スポーツや歩行量を増やした後なら筋肉・腱の負担、骨粗しょう症のある方の急な痛みなら骨折など、背景によって確認すべき病気が変わります。
若い方でも、股関節の形や関節唇の問題で痛む場合があります。「何歳だからこの病気」ではなく、年齢、仕事内容、運動歴、転倒、服薬、症状の経過を組み合わせて判断します。
痛む場所や動作から分かること
痛みの場所と、どの動作で痛むかは、原因を絞る手がかりになります。ただし、複数の病気が重なることもあり、表だけで自己診断はできません。
| 症状・特徴 | 考えられる原因・診察のポイント |
|---|---|
| 脚の付け根の奥が痛み、靴下も履きにくい | 変形性股関節症など。関節の動く範囲も確認します。 |
| 脚を持ち上げると前側が痛む | 腸腰筋・腱の不調など。関節内の問題でも似た症状が出ます。 |
| 外側を押す、痛い側を下にして寝ると痛む | お尻の筋肉の腱や滑液包の障害など。 |
| 深く曲げると付け根に引っかかりを感じる | 股関節インピンジメント、関節唇の障害など。 |
| 腰痛や太もものしびれもある | 腰の神経からの痛みなど。股関節の病気との併存も確認します。 |
| 急に強く痛み、体重をかけにくい | 骨折や大腿骨頭壊死症などを確認する必要があります。 |
受診前には、痛み始めた時期、左右どちらか、立ち上がる瞬間だけか歩行中も続くかを整理しておきましょう。転倒、運動量の変化、夜間痛、服薬歴も診断の参考になります。確かめるために何度もしゃがんだり、脚を強くひねったりする必要はありません。
自宅でできる対処法と、負担の少ない立ち上がり方
痛みが軽く、普段どおり歩ける場合は、まず痛む動作を減らして椅子や立ち方を調整します。急な強い痛みや転倒後の痛みがある場合は、運動より受診を優先してください。
低い椅子を避け、肘掛けを使う
深く沈み込むソファや低い座面では、股関節を大きく曲げる必要があります。足裏が床につき、座面が低すぎない、安定した椅子を選びましょう。
- お尻を少し前へ移し、両足の裏を床につけます。
- 足を引ける範囲で手前に置き、上体を少し前へ傾けます。
- 肘掛けや固定された手すりを押して、ゆっくり立ちます。
- 立った直後に体をひねらず、バランスを確かめてから歩き出します。
前かがみで付け根に痛みが出る場合は、無理に体を倒さず、椅子の高さを見直してください。キャスター付きの椅子や動く家具を支えにするのは避けましょう。
長く座った後は、急いで立ち上がらない
座り続けた後だけ痛む場合も、座りすぎが唯一の原因とは限りません。同じ姿勢を続けないよう、無理のない範囲で座り直したり休憩を取ったりしましょう。立つ前に足の位置と支えを確認し、反動をつけずに動き始めます。
低いソファや床座りのときだけ痛むのか、どの椅子でも痛むのかを記録すると、生活調整や診察の参考になります。ただし、楽な椅子を使っても痛みを繰り返す場合は、姿勢の工夫だけで済ませず原因を確認してください。
痛い動作を休み、動ける範囲は保つ
階段の往復、深いしゃがみ込み、重い荷物を持つなど、症状が強くなる動作を減らします。一方、必要以上に動かない生活が続くと筋力が落ちるため、痛みを増やさない範囲で日常の活動を保ちます。
運動量は、行っている最中だけでなく、その後や翌朝の痛みも参考に調整してください。足を引きずる、翌日まで痛みが増す場合は負荷を減らし、整形外科で相談しましょう。
ストレッチは痛みのない範囲で
脚の付け根が痛むときに、強い開脚や深い屈伸を無理に行うのは避けましょう。筋肉を伸ばすつもりでも、関節の中に負担がかかる場合があります。
原因がまだ分からない段階では、動画の動作を無理にまねるより、楽に動かせる範囲を確認する程度にとどめます。骨折や骨の病気が疑われる場合は、ストレッチを始めず受診してください。
温める・冷やす方法と体重管理
こわばりがあり温めると楽になる場合は、入浴などで無理なく温めてもよいでしょう。使いすぎた後に熱っぽさがある場合は、タオル越しに短時間冷やすと楽になることがあります。低温やけどや冷やしすぎに注意し、心地よい範囲で行います。
発熱を伴う強い痛みは、温冷の対処だけで様子を見ないでください。体重が多い方は、筋肉を落とさない食事と活動を保ちながら、無理のない減量を相談します。
整形外科を受診した方がよい症状
体重をかけられない痛みや発熱を伴う強い痛みは、早急な評価が必要です。軽い痛みでも、繰り返す、悪化する、生活に支障が出る場合は受診しましょう。
当日中の受診・救急相談が必要な場合
- 急に立てなくなった、痛い脚に体重をかけられない
- 転倒後から強く痛む、脚が動かしにくい
- 発熱や強いだるさを伴い、股関節が激しく痛む
- 痛みが急速に増し、安静でも強く痛む
骨折や関節の感染症などを調べる必要があります。無理に歩いて移動せず、安全に受診できない場合は救急相談や救急要請を検討してください。
早めに通常の外来で相談したい場合
- 立つたびに痛み、改善する傾向がない
- 歩く距離が短くなった、足を引きずる
- 靴下を履く、階段を上るなどの日常動作が難しい
- 夜間や安静時にも痛みが続く
- 骨粗しょう症やステロイドの大量投与歴があり、新たな痛みが出た
受診まで一律に何週間も待つ必要はありません。特に、昨日までできた動作が急に難しくなった場合は、痛みが始まって間もなくても相談してください。
整形外科ではどのような検査をする?
まず診察で、股関節そのものの痛みか、周囲の筋肉・腱や腰からの痛みかを見極めます。画像検査は、疑われる病気に応じて選びます。
診察・レントゲン
歩き方、押して痛む場所、股関節の動く範囲、筋力などを確認します。レントゲンでは、骨の形、関節の隙間、変形、骨折の有無などを調べます。
画像で変形が見つかっても、痛みのすべてを説明できるとは限りません。「どの動作で、どこが痛むか」と画像所見が合っているかを確かめ、周囲の組織や腰の問題も考えます。
例えば、レントゲンで関節の変形があっても、外側を押すと痛み、横向き寝で悪化する場合は、周囲の腱なども評価します。反対に、変形が軽くても急に体重をかけにくくなった場合は、骨折などを見逃さないための検査を検討します。これは診察での考え方の例であり、特定の患者さんの症例ではありません。
MRI・超音波
MRIは、レントゲンで分かりにくい骨折や、大腿骨頭壊死症などを調べる際に役立ちます。レントゲンで大きな異常がなくても、急な痛みが続く場合や診察上の疑いがある場合は追加検査を検討します。全員にMRIが必要なわけではありません。[3][5]
超音波は、関節液や周囲の腱・滑液包の状態を確認するために使うことがあります。ただし、超音波だけで骨の内部や関節の病気をすべて除外することはできません。
手術以外の治療と、手術を考えるタイミング
変形性股関節症などでは、生活動作の調整、運動療法、薬による治療から始めることがあります。ただし、骨折や感染症など、対応を急ぐ病気は別に考えます。
運動療法・薬物療法・歩行補助
運動療法では、原因と痛みの程度に合わせて、股関節周囲の筋力や動かしやすさを保ち、痛みや生活動作の改善を目指します。必要に応じて理学療法士と立ち上がり方や歩き方も練習します。運動の内容や負荷は個別に調整し、すべての方に同じ効果が得られるわけではありません。
痛み止めは、症状や持病に応じて使います。胃腸・腎臓などへの影響に注意が必要な薬もあるため、市販薬を含めて服薬内容を伝えましょう。杖は、片側の股関節痛では通常、痛い脚と反対側の手で持ちますが、高さや使い方は個別に調整します。
注射は必要性を見極めて選ぶ
痛みの原因や炎症の程度によっては、注射を検討する場合があります。局所麻酔薬は一時的な痛みの軽減や、痛みの発生源を判断する補助に使うことがあります。ステロイドは炎症を抑え、変形性股関節症の痛みや動きにくさを短期的に軽減する目的で検討します。
股関節は体の深い位置にあるため、関節内注射では通常、超音波などの画像で位置を確認します。感染、出血、一時的な血糖上昇などへの配慮が必要です。また、注射後に関節の傷みが急速に進む事例も報告されており、適応や反復の必要性を慎重に判断します。注射は変形した骨を元に戻す治療ではなく、効果の持続や副作用も踏まえて選びます。
手術は画像だけで決めない
保存療法を行っても痛みが十分に軽減せず、歩行・睡眠・身の回りの動作に支障が続く場合は、人工股関節などの手術を検討します。骨の形や関節の状態によっては、自分の関節を残す骨切り術が候補になることもあります。[1]
判断には、画像だけでなく、症状、年齢、活動量、仕事、これまでの治療、本人の希望を含めます。手術には感染や脱臼などのリスク、リハビリの負担もあるため、期待できる改善と併せて確認します。
一方、大腿骨頭壊死症で骨がつぶれる進行が予想される場合などは、保存療法だけで長く待つことが適切とは限りません。手術の時期も含めて相談することが大切です。[5]
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ|立ち上がりの股関節痛は、原因に合わせた対処を
股関節が立ち上がると痛いときは、痛む動作を調整しながら、原因と受診の必要性を確認することが大切です。
- 変形性股関節症だけでなく、筋肉・腱や腰の不調なども原因になります。
- 低い椅子を避け、肘掛けを使ってゆっくり立ちましょう。
- 痛みを我慢するストレッチや、自己判断での運動の継続は避けましょう。
- 立てないほどの痛みや発熱を伴う強い痛みは、早急に受診してください。
- 治療は画像だけでなく、症状や日常生活への影響を踏まえて選びます。
症状が続く場合は、整形外科で原因を確認しましょう。
よくある質問
立ち上がりの股関節痛について、日常生活で迷いやすい点にお答えします。
Q1.立ち上がると股関節が痛いのに、少し歩くと楽になります。放置しても大丈夫ですか?
歩くと楽になるだけでは、放置してよいとは判断できません。変形性股関節症などでみられる動き始めの痛みの可能性があります。痛みを繰り返す、歩ける距離が短くなる、動かしにくくなる場合は整形外科で確認しましょう。
Q2.右の股関節だけが痛いのは、骨盤のゆがみが原因ですか?
片側だけの痛みを「骨盤のゆがみ」と決めることはできません。関節の形や傷み、筋肉・腱の負担、腰の神経など複数の原因があります。左右差を無理な矯正やストレッチで直そうとせず、続く場合は診察を受けてください。
Q3.股関節だけでなく膝も痛いのですが、関係がありますか?
関係している場合があります。股関節の病気でも、太ももや膝に痛みを感じることがあります。ただし、膝そのものの病気が重なっている可能性もあるため、痛む場所をすべて医師に伝えてください。[5]
Q4.股関節が痛いときも、健康のためにウォーキングを続けてよいですか?
歩くと痛みが増す、足を引きずる場合は、距離や時間を減らしてください。急な強い痛みや転倒後の痛みでは、歩行運動を控えて受診しましょう。原因が確認できたら、症状に合った運動量を医師や理学療法士と相談できます。
参考文献・参考情報
症状・診断・治療の一般的な説明について、以下の国内公開情報を参照しています。
- 日本整形外科学会「変形性股関節症」
- 日本整形外科学会「臼蓋形成不全」
- 日本整形外科学会「大腿骨頚部骨折」
- 難病情報センター「特発性大腿骨頭壊死症:一般利用者向け」
- 難病情報センター「特発性大腿骨頭壊死症:診断・治療指針」
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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