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膝の内側が痛い原因|手術を避けるためにできる対策と受診の目安

膝の内側が痛い原因|手術を避けるためにできる対策と受診の目安

膝の内側が痛い原因には、変形性膝関節症、内側半月板損傷、鵞足炎、内側側副靱帯損傷などがあります。痛む場所が同じでも治療は異なり、必ずしも手術が必要とは限りません。まずは痛みを強める動作を減らし、症状の出方を確認しましょう。ただし、急に強く痛み始めた、体重をかけられない、膝が赤く熱を持って腫れた場合は早めの受診が必要です。手術をできるだけ避けたい方ほど、原因を確かめ、運動してよい状態か、負担を減らして保護すべき状態かを見極めることが大切です。

この記事の内容

膝の内側が痛い主な原因

膝の内側の痛みは、関節の中だけでなく、周囲の腱や靱帯、軟骨の下の骨から生じることもあります。「内側が痛いから軟骨のすり減り」とは決められません。

症状・特徴考えられる主な原因
立ち上がりや歩き始めに痛い。階段がつらい変形性膝関節症
ひねる・しゃがむ動作で痛い。腫れや引っかかりを伴う内側半月板損傷
膝の内側から少し下を押すと痛い。歩行や運動で悪化する鵞足炎・鵞足滑液包炎
転倒や接触をきっかけに内側が痛み、ぐらつく内側側副靱帯損傷
大きなけががないのに急に強く痛み、体重をかけるとつらい軟骨下脆弱性骨折、半月板後根損傷など

症状は重なり、一つの膝に複数の原因があることもあります。表は受診時に症状を伝えるための目安です。

変形性膝関節症:軟骨だけでなく関節全体の変化

変形性膝関節症とは、軟骨のすり減りに加え、骨や関節を包む組織にも変化が起こり、痛みや動かしにくさが生じる病気です。中高年に多く、O脚などで内側への負担が大きくなる場合があります。

歩き始めや階段で痛み、腫れを伴うことがあります。ただし、**レントゲンの変形の程度と痛みの強さは、必ずしも一致しません。**画像だけで治療法を決めず、歩行や睡眠への影響も確認します。日本整形外科学会:変形性膝関節症

内側半月板損傷:中高年では大きなけががなくても起こる

半月板とは、太ももの骨とすねの骨の間で負担を分散する組織です。スポーツ中のひねりだけでなく、加齢で傷みやすくなり、日常動作をきっかけに損傷することもあります。AAOS:膝の主なけが

しゃがむ・方向転換する動作で痛み、腫れや引っかかりを伴う場合があります。一方、痛みのない人にもMRIで半月板の損傷が見つかります。「MRIで切れている」と「その損傷が今の痛みの原因である」は同じではありません。EnglundらのMRI研究

鵞足炎:関節より少し下の内側が痛む

鵞足(がそく)とは、膝の内側下方で複数の腱がすねの骨に付く部分です。周囲に炎症が起こると、関節のすきまより数センチ下を押したときや、階段・運動で痛むことがあります。

ランニングなどの繰り返し動作だけでなく、変形性膝関節症に伴う場合もあります。関節外の痛みなので、関節内への注射だけでは十分に改善しない可能性があります。AAOS:鵞足滑液包炎

内側側副靱帯損傷:転倒やスポーツ後の内側の痛み

内側側副靱帯とは、膝が横方向にぐらつくのを防ぐ靱帯です。膝の外側から力が加わったときや、方向転換・転倒で傷むことがあります。

内側の痛みや腫れ、不安定感が特徴です。単独の損傷では装具とリハビリなどで対応できる場合が多いものの、損傷の程度や他の靱帯のけがも確認します。AAOS:側副靱帯損傷

急な強い痛みでは、軟骨の下の骨折や半月板の付け根の損傷も確認

中高年で大きなけががないのに急に強く痛み始めた場合は、軟骨下脆弱性骨折も考えます。これは、軟骨を支える骨に負担が集中して起こる細かな骨折です。従来「特発性膝骨壊死」と呼ばれていた病態の多くに、この骨折が関係すると考えられています。

初期にはレントゲンで分からず、MRIが診断に役立つことがあります。骨折が疑われる段階で、痛みを我慢して歩行や筋トレを増やすことは避けましょう。Ochiら:軟骨下脆弱性骨折の病態と画像診断

また、内側半月板後根損傷は、半月板の後ろ側の付け根が傷む病態です。負担を分散する働きが低下し、骨の病変を伴うことがあります。通常の加齢による半月板損傷と同じように長く様子を見るのではなく、早めに治療方針を確認します。Chenら:半月板後根損傷と軟骨下脆弱性骨折

受診前に自分で確認しておくポイント

**痛みを再現する検査を自分で行う必要はありません。**普段の症状を記録するだけでも診断の手がかりになります。

  • いつから痛いか。急に始まったか、徐々に強くなったか
  • 転倒・ひねり・運動量の増加があったか
  • 関節の内側が痛いか、少し下が痛いか
  • 歩き始め・階段・しゃがむ動作・安静時のどこで痛むか
  • 腫れ、熱感、発熱、引っかかりがあるか
  • どれくらい歩けるか。睡眠や仕事に影響するか

確認のために深くしゃがんだり、片足で膝をひねったり、痛い場所を強く押し続けたりしないでください。

整形外科を受診した方がよい症状

**体重をかけられない、熱を持って大きく腫れる、膝が動かなくなる場合は、自己対処を続けず受診してください。**軽い痛みでも、改善せず繰り返すときは原因の確認が必要です。

当日中の受診を考える症状

  • 急に強く痛み、立つ・歩くことが難しい
  • 膝が赤く熱を持って大きく腫れている。特に発熱を伴う
  • けがの後に変形や急な大きな腫れがある
  • 膝に何かが挟まったようで、急に伸ばせなくなった

強い腫れや熱感は、感染や結晶による関節炎などでも起こります。発熱がなくても感染を完全には否定できません。診療時間外で症状が強い場合は、救急外来などへ相談しましょう。

数日以内を目安に相談したい症状

大きなけががないのに急に痛み始めた、夜も痛みが続く、腫れやぐらつきを繰り返す場合は、早めに整形外科へ相談してください。

歩ける程度の軽い痛みでも、負担を減らして改善しない、または1〜2週間ほど続く場合は受診を考えましょう。期間は一律の基準ではなく、悪化している場合は待つ必要はありません。

自宅でできる対策|休める時期と動かす時期を分ける

**まず痛みを強める負担を減らし、強い腫れや急な痛みが落ち着いてから、状態に合った運動を行います。**骨折などが疑われる場合は、自己判断で運動を始めないでください。

歩く量と日常動作を調整する

痛みが強い間は、長距離歩行、深いしゃがみ込み、正座、急な方向転換を減らします。階段では手すりを使い、痛い日はエレベーターも利用しましょう。

床からの立ち座りを椅子中心に変え、立ち仕事では途中に短い休憩を入れます。杖を使う場合は、一般に痛い膝と反対の手で持ちます。合う高さや使い方は医療機関で確認してください。

冷やす・温めるは症状に合わせる

運動後に熱っぽい、腫れている場合は、保冷剤などをタオルで包み、10〜15分程度を目安に短時間冷やすと楽になることがあります。皮膚に直接当てず、しびれや皮膚色の変化が出たら中止します。

熱感や強い腫れがなく、こわばりが中心なら、入浴などで軽く温めると動かしやすい場合があります。冷却も温熱も症状を和らげる補助であり、原因そのものを治す方法ではありません。

運動は「翌日に痛みを残さない量」から

変形性膝関節症では、状態に合った筋力訓練や有酸素運動が治療の基本です。安静を長く続けすぎると筋力が落ちるため、運動できる状態かを確認し、少量から継続します。NICE:変形性関節症の推奨治療

例えば、座るか横になって脚を伸ばし、太ももの前に軽く力を入れ、数秒保って緩める運動があります。膝は無理に押し伸ばしません。診断や痛みに合わせて、回数は医師・理学療法士と相談しましょう。日本整形外科学会:運動療法

運動後や翌日に痛み・腫れが増すなら、負荷を下げる目安です。鋭い痛み、膝崩れ、強い引っかかりが出る運動は中止してください。ストレッチも、膝の内側が痛くなるほど引っ張らないことが大切です。

体重管理と靴を見直す

体重が多い方では、無理のない減量が膝の負担軽減に役立ちます。ただし、高齢の方が食事だけを大きく減らすと筋肉も落ちるため、栄養と運動を一緒に考えます。

靴は足に合い、歩行が安定するものを選びましょう。サポーターや足底板は全員に必要ではなく、ぐらつきや脚の形、使ったときの変化を見ながら調整します。

整形外科ではどのような検査をする?

**診察で痛みの出方を確認し、目的に応じてレントゲン・MRI・超音波を使い分けます。**膝の内側が痛い人全員にMRIが必要なわけではありません。

検査主に確認すること
問診・診察痛む場所、腫れ、膝の動き、安定性、歩き方。必要に応じて股関節や腰も確認
レントゲン骨の変形、関節のすきま、骨折。立った状態で内側への負担を評価する場合もある
MRI半月板・靱帯、骨の内部の変化、初期の軟骨下の骨折など
超音波(エコー)関節液、滑膜、表面に近い腱・靱帯、鵞足周囲など

急な強い痛みをレントゲンで説明できない、保存療法でも改善しない、半月板の特殊な損傷が疑われる場合などに、MRIを検討します。

腫れや熱感が強く感染などを疑う場合には、採血や、関節液を採って調べる検査が必要になることもあります。

検査の目的は異常を見つけるだけでなく、見つかった異常が症状と一致するか、治療方針を変える情報かを判断することです。

手術以外の治療方法

**手術以外の治療は、原因に応じて運動療法、生活動作の調整、薬、装具、注射などを組み合わせます。**注射の種類を選ぶ前に、関節内の痛みか、腱や骨の痛みかを確認します。

リハビリ・薬・装具

変形性膝関節症では、筋力や関節の動きを保つリハビリを続けます。鵞足炎では運動量や柔軟性を、靱帯損傷では装具による保護と安定性を重視します。軟骨下の骨折では、松葉杖などで体重をかける量を減らす治療が必要になる場合があります。

痛み止めは貼り薬・塗り薬や飲み薬を選びます。飲む消炎鎮痛薬では、胃腸障害や腎機能への影響などを考慮し、持病と服用中の薬を確認します。薬で痛みが軽くなっても、急に運動量を増やさないようにしましょう。

ヒアルロン酸・ステロイド注射

ヒアルロン酸注射は、日本では変形性膝関節症の保険診療で使われる選択肢です。症状緩和を目的としますが、効果には個人差があり、軟骨を元に戻す治療ではありません。海外のガイドラインでは一律の使用を勧めておらず、評価は分かれています。日本整形外科学会AAOS診療ガイドライン

ステロイドの関節内注射は、炎症が強い場合などに短期的な症状緩和を目的として検討します。感染が疑われるときは使わず、糖尿病の方では血糖上昇などに注意します。漫然と繰り返さず、必要性を評価します。NICE診療ガイドライン

どちらも注射後の痛みや腫れ、まれな感染などのリスクがあります。効果が乏しい場合は、注射の継続だけでなく診断や治療方針を見直します。

手術を考えるタイミング|画像だけで決めない

**手術は、病変の種類、生活への支障、保存療法の効果、本人の希望を合わせて検討します。**年齢や画像の変形の程度だけで決めるものではありません。

半月板損傷があっても、まず保存療法を行える場合がある

加齢に伴う半月板損傷では、運動療法から始められる場合があります。変性半月板損傷を対象とした研究では、5年後の膝の機能について、運動療法は半月板部分切除術に劣らない結果でした。ESCAPE試験・5年追跡

ただし、この結果をすべての半月板損傷に当てはめることはできません。裂けた半月板がずれて膝が伸びない場合や、縫合による修復が適する急性損傷では、早期の手術を検討します。AAOS:急性半月板損傷ガイドライン

半月板後根損傷でも、軟骨の状態、O脚の程度、活動性などを踏まえて修復手術を検討する場合があります。通常の変性断裂とは分けて評価します。Bernardら:半月板後根損傷の治療比較

痛みで生活が大きく制限される場合は、手術も選択肢

変形性膝関節症では、状態に合う保存療法を行っても歩行・睡眠・仕事への支障が大きい場合や、保存療法が適さない場合に手術を検討します。「何か月たったら必ず手術」という一律の決まりはありません。NICE:治療と関節置換術への紹介

内側への負担や脚の形を調整する骨切り術、傷んだ関節を置き換える人工膝関節置換術などがあり、病変の範囲や活動性で適応が変わります。手術には感染や血栓などのリスク、回復までのリハビリの負担があるため、得られる見込みのある改善と合わせて説明を受けます。

手術を避けたいという希望は、遠慮なく伝えてください。同時に「保存療法を続けてよい理由」「待つことで不利になる可能性」「どの状態になったら見直すか」を医師と共有しておくと、納得して治療を選びやすくなります。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ|膝の内側の痛みは原因に合った対策を

膝の内側が痛いときは、原因を確認し、膝の状態に合った保存療法を行うことが、手術の必要性を適切に判断する第一歩です。

  • 主な原因は変形性膝関節症、半月板損傷、鵞足炎、靱帯損傷などです。
  • 急な強い痛みでは、軟骨の下の骨折や半月板の付け根の損傷にも注意します。
  • 運動は大切ですが、骨折などでは先に膝を保護する必要があります。
  • MRIの異常だけで手術を決めず、症状・生活への影響・治療歴を合わせて判断します。
  • 注射や再生医療で手術を回避できるとは限らず、早期の手術検討が適する場合もあります。

症状が続く場合は整形外科で原因を確認しましょう。「買い物に行きたい」「旅行で歩きたい」など、取り戻したい生活も伝えることが治療方針を考える助けになります。

膝の内側の痛みについてよくある質問

膝の内側が痛いときに迷いやすい、日常生活や治療に関する疑問にお答えします。

Q1.膝の内側を押すと痛いだけでも受診した方がいいですか?

歩けて腫れもなく、負担を減らして改善するなら短期間の経過観察は可能です。ただし、押さなくても痛くなる、痛みが続く、腫れが出る場合は整形外科で確認してください。何度も強く押すのは避けましょう。

Q2.膝の内側が痛いとき、ウォーキングは休むべきですか?

急な強い痛みや腫れがあるときは休み、受診を優先します。診断済みの慢性的な痛みなら、歩行中や翌日に悪化しない範囲で短時間から行える場合があります。歩数の目標より、痛みと腫れの変化を基準にしましょう。

Q3.サポーターを着ければ治りますか?

サポーターだけで原因が治るとは限りません。ぐらつきを減らして動きやすくなる場合がありますが、病態に合う種類やサイズが必要です。締め付けでしびれや皮膚トラブルが出る場合は外し、医師に相談してください。

Q4.湿布で痛みが引いたら、病院に行かなくても大丈夫ですか?

軽い痛みが改善し、普段の生活に戻れた場合は経過を見られることもあります。ただし、痛み止めで楽になったことだけでは原因は分かりません。急な強い痛みだった場合や、腫れ・痛みを繰り返す場合は受診しましょう。

Q5.レントゲンで異常なしと言われたのに、膝の内側が痛いのはなぜですか?

半月板、腱、靱帯の異常や初期の軟骨下の骨折は、レントゲンだけでは分からない場合があります。痛みが続く、急に悪化した場合は再相談してください。診察所見に応じてMRIや超音波を検討します。

Q6.寝ているときだけ膝の内側が痛むのは骨壊死ですか?

夜の痛みだけでは骨壊死とは判断できません。関節の炎症や寝る姿勢による圧迫でも起こります。ただし、急に始まった強い痛み、体重をかけたときの痛み、悪化する夜間痛は早めに整形外科で確認してください。

Q7.ヒアルロン酸注射が効かなければ、次は手術ですか?

すぐ手術とは限りません。痛みの原因を再確認し、運動療法、薬、装具などを見直します。ただし、十分な保存療法でも生活への支障が大きい場合や、手術が適する損傷がある場合には手術も検討します。症状が似ていても必要な治療は異なります。ご自身の症状に合う対応は、診察で確認してください。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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