
コラム COLUMN
スポーツ外傷膝 ジョギング初心者に多い膝痛の原因と予防策

ジョギングは手軽に始められる運動として人気がありますが、初心者にとって意外と多い悩みが「膝の痛み」です。せっかく健康のために始めたのに、痛みで続けられなくなってしまうのはもったいないことです。この記事では、ジョギング初心者に多い膝の痛みの原因と、その予防法について、整形外科専門医の視点からわかりやすく解説します。
この記事の内容
なぜジョギング初心者は膝を痛めやすいのか?
まず、膝の痛みが起こる主な原因は「オーバーユース(使いすぎ)」です。初心者は運動に慣れていないため、筋力や関節の柔軟性が不十分な状態で急に走り始めてしまうことがよくあります。また、走るフォームが安定していなかったり、靴が合っていなかったりすると、膝に無理な負担がかかります。
特に起こりやすいのが、以下のような膝の疾患です。
- 腸脛靭帯炎(ランナー膝)
太ももの外側にある腸脛靭帯が、膝の骨と擦れて炎症を起こす疾患。走りすぎたり、下り坂を多く走ると起きやすいです。 - 膝蓋大腿関節症候群(PFPS)
膝のお皿(膝蓋骨)と太ももの骨(大腿骨)の間で摩擦が起こり、痛みが出る症状。筋力不足や姿勢の乱れが原因になることがあります。 - 鵞足炎(がそくえん)
内側の膝の下にある腱に炎症が起きて痛みが出る症状。膝の使い方が偏っていたり、柔軟性の低下が関係しています。
膝痛を防ぐための予防策とは?
ジョギング初心者でも正しい方法を守れば、膝の痛みを予防することは十分可能です。以下のポイントを参考にして、安心してランニングを楽しんでください。
1. ゆっくり始めることが大切
最初から毎日走ったり、長距離を走るのは避けましょう。週に2〜3回、10分程度の軽いジョギングからスタートし、少しずつ距離や時間を延ばしていくのが理想です。ウォーキングとの組み合わせもおすすめです。
2. ストレッチと筋トレを取り入れる
膝まわりの筋肉を鍛えることで、関節への負担を軽減できます。特に大腿四頭筋(太ももの前)やハムストリングス(太ももの裏)、臀筋(お尻)などを意識した筋トレを行いましょう。運動前後には、ストレッチで筋肉をほぐすことも重要です。
3. 正しいフォームを意識する
無理な走り方は膝に負担をかけます。背筋を伸ばして、視線を前に、着地はかかとではなく足の中~前部を使うように意識するとよいでしょう。地面を強く蹴るのではなく、リズムよく軽く走る感覚がポイントです。
4. 自分に合ったランニングシューズを選ぶ
クッション性が高く、膝への衝撃をやわらげるシューズを選びましょう。特に初心者には「サポートタイプ」と呼ばれる安定性のあるシューズがおすすめです。靴底がすり減っていると膝への負担が増すので、定期的にチェックを。
5. 痛みを感じたらすぐに休む
軽い違和感でも、そのまま走り続けると悪化することがあります。痛みが出たらすぐに運動を中止し、アイシングや休息をとるようにしましょう。改善しない場合は、整形外科での診察を受けることが大切です。
関節の再生医療という選択肢も
もし慢性的な膝痛が続き、運動をあきらめざるを得ない場合でも、関節の再生医療という選択肢があります。PRP療法や脂肪由来幹細胞治療などは、関節の炎症を抑えたり、損傷した軟骨の修復を促す新しい治療法です。特に「手術はしたくない」「走る生活を続けたい」と考える方にとって、有力な治療のひとつです。
まずは正しい予防策で膝を守ること。そして、それでも痛みが長引く場合には、医療機関での早期相談をおすすめします。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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