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膝 膝が曲がらない・伸びない原因|見逃したくない病気を整形外科専門医が解説

「最近、膝が最後まで伸びなくなった」「正座しようとしても膝が曲がらない」「椅子から立ったあと、しばらく膝を伸ばせない」。診察室では、このような相談をよく受けます。
50代以降では「年齢のせいでしょうか」と考える方も少なくありません。しかし、膝が曲がらない・伸びない原因はひとつではありません。関節の腫れや変形だけでなく、半月板、靭帯、軟骨などの異常が関係していることもあります。
また、「痛いから曲げられない」のか、「何かが引っかかって物理的に動かない」のかによって、考えるべき原因も変わります。
この記事では、膝が曲がらない・伸びないときに考えられる6つの病気と、整形外科を受診する目安、自宅でできる対策、一般的な治療についてわかりやすく解説します。
この記事の内容
膝が曲がらない・伸びない原因として考えられる病気
変形性膝関節症と半月板損傷
中高年で最もよくみられる原因のひとつが、変形性膝関節症です。膝の軟骨がすり減るだけの病気と思われがちですが、実際には軟骨だけではなく、骨や半月板、滑膜など関節全体に変化が起こります。
初期には「朝の歩き始めに膝が痛い」「階段で痛い」といった症状が中心です。進行すると膝が腫れたり、関節が変形したりして、完全に伸ばしにくくなることがあります。正座できないほど曲げにくくなる方もいます。
もうひとつ重要なのが半月板損傷です。半月板は膝の中でクッションの役割をする組織です。スポーツで傷めることもありますが、50代以降では明らかなけががなくても、加齢による変化を背景に傷つくことがあります。
半月板の一部が関節に挟まると、「途中で引っかかる」「ある角度から動かない」といった症状が出ることがあります。突然膝が伸びなくなるロッキングという状態では、早めの整形外科受診が必要です。
関節水腫と関節内遊離体
膝に炎症が起こると、いわゆる「膝に水がたまる」状態になることがあります。医学的には関節水腫と呼びます。
水が多くたまると膝の内部の圧力が高くなり、曲げようとすると前側が張って痛むため、膝が曲がらなくなります。変形性膝関節症や半月板損傷などに伴って起こることが多く、繰り返し水がたまる場合には、その原因を調べることが大切です。
一方、関節内遊離体は、軟骨や骨の一部などが関節の中を動く状態です。「関節ねずみ」と呼ばれることもあります。遊離体が関節の隙間に挟まると、突然膝が伸びない、曲がらないという症状を起こす場合があります。
靭帯損傷と骨折・骨の障害
転倒やスポーツなどをきっかけに膝が動かしにくくなった場合には、靭帯損傷も考えます。特に膝をひねったあとに腫れが強くなり、不安定感や強い痛みがある場合には注意が必要です。
また、転倒後に強い痛みがあり、膝を曲げ伸ばしできない場合には骨折の可能性があります。高齢の方では骨が弱くなっていることがあり、それほど大きな外力ではなくても骨折するケースがあります。
明らかな転倒がなくても、骨の内部に負担が集中して損傷することがあります。急に歩くと痛くなった、夜間も痛い、数週間たっても改善しないといった場合には、「年齢のせい」と自己判断せず検査を受けた方がよいでしょう。

膝が曲がらない・伸びないときはどうすればよい?
無理に曲げたり伸ばしたりしない
膝が動かしにくいと、「硬くならないように無理に曲げた方がよいのでは」と考える方がいます。しかし、強い痛みや腫れ、引っかかりがある状態で無理に動かすのはおすすめできません。
特に、ある角度で急に止まる、引っかかって伸びない、膝が大きく腫れている場合には、ストレッチを続けるよりも原因の確認を優先します。
一方で、原因が確認され、医師や理学療法士から運動を勧められている場合には、膝を動かさなさすぎることも関節のこわばりや筋力低下につながります。状態に合わせた運動が重要です。
痛みが落ち着いている場合はストレッチと筋トレを行う
強い腫れや引っかかりがなく、変形性膝関節症などによる軽い動かしにくさであれば、自宅でのストレッチや筋トレが役立つことがあります。
例えば椅子に座り、痛みのない範囲でゆっくり膝を伸ばして数秒保つ運動は比較的行いやすい方法です。また、太ももの前側にある大腿四頭筋を鍛えることで、歩行や階段の際の膝への負担を減らせる場合があります。
ただし、「痛いほど伸ばす」「反動をつけて曲げる」といった方法は避けてください。運動後に痛みや腫れが明らかに増える場合は、運動量を減らすか一度中止します。
整形外科では原因に応じて保存療法や検査を行う
整形外科では、膝の動く範囲、腫れ、圧痛、引っかかり、不安定性などを確認します。必要に応じてレントゲンやMRIなどを行い、骨だけでなく半月板や靭帯なども評価します。
治療は原因によって異なります。運動療法やリハビリ、体重管理、痛み止め、装具、関節注射などを組み合わせる保存療法が基本となるケースも多くあります。
ヒアルロン酸注射は、一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。何度も注射を続けているのに膝が曲がらない、歩くと痛いという状態が続くなら、現在の診断や治療方針を見直すことも必要です。
変形が非常に強い場合や、日常生活への影響が大きい場合には手術が検討されることもあります。ただし、膝が曲がらない・伸びないからといって、すぐに手術になるわけではありません。まず原因と重症度を正確に把握することが重要です。

膝が曲がらない・伸びないときによくある質問
Q1. 膝が完全に伸びないのは変形性膝関節症ですか?
Q1. 膝が完全に伸びないのは変形性膝関節症ですか?
A. 変形性膝関節症は代表的な原因ですが、それだけではありません。半月板損傷、関節の腫れ、関節内遊離体などでも伸びにくくなります。特に急に伸びなくなった場合は、整形外科で原因を確認した方がよいでしょう。
Q2. 膝が曲がらず正座できません。年齢のせいでしょうか?
Q2. 膝が曲がらず正座できません。年齢のせいでしょうか?
A. 年齢だけが原因とは限りません。関節の腫れ、変形性膝関節症、半月板の異常などが関係している場合があります。正座を無理に続けず、痛みや動かしにくさが続く場合は原因を調べましょう。
Q3. 膝が曲がらないとき、すぐ病院へ行った方がよいですか?
Q3. 膝が曲がらないとき、すぐ病院へ行った方がよいですか?
A. 転倒後に動かせない、急に膝が伸びなくなった、強く腫れている、体重をかけられない、発熱を伴う場合は早めの受診が必要です。軽い症状でも数週間続く場合には整形外科で相談してください。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ|膝が曲がらない・伸びないときは原因を確認することが大切
突然動かなくなった膝や強い腫れは早めに受診する
膝が曲がらない・伸びない原因としては、変形性膝関節症、半月板損傷、関節水腫、関節内遊離体、靭帯損傷、骨折や骨の障害などが考えられます。
特に「昨日までは伸びていたのに突然伸びなくなった」「膝が引っかかって動かない」「転倒してから体重をかけられない」「急激に腫れてきた」といった症状は、放置せず整形外科を受診することをおすすめします。
年齢のせいと決めつけず、できる対策から始める
慢性的な膝の痛みや動かしにくさであれば、原因を確認したうえで、ストレッチや筋トレ、リハビリ、体重管理などの生活習慣を見直すことで、日常生活が楽になる可能性があります。
「もう歳だから仕方がない」と諦める必要はありません。一方で、自己流の運動を続ければよいとも限りません。膝が曲がらない・伸びないという症状は、膝からのひとつのサインです。
正座できない、階段で痛い、歩くと痛いといった症状が続いているなら、まず何が原因なのかを知ることが第一歩です。現在の膝の状態に合った対策を選び、無理のない範囲で動ける生活を維持していきましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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