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膝 膝に水がたまるのはなぜ?腫れを繰り返す原因と検査のポイント

膝に水がたまる主な原因は、変形性膝関節症や半月板損傷などによって関節内に炎症が起こり、関節液が増えることです。高齢の方では偽痛風、急な強い腫れでは細菌感染やけがによる出血も考えます。まず痛みを伴う運動や深いしゃがみ込みを控え、初めての腫れや繰り返す腫れは整形外科で原因を確認しましょう。赤み・熱感・発熱がある、急に腫れて歩けない場合は当日中の受診が必要です。水を抜くだけで原因が治るとは限らず、診察に加えて画像検査や関節液検査を使い分けます。
この記事の内容
膝に水がたまる「関節水腫」とは
関節水腫(かんせつすいしゅ)とは、関節内に関節液が通常より多くたまった状態です。病名ではなく、膝の中で何らかの異常が起きていることを示す所見です。
正常な膝にも、動きを滑らかにし、軟骨に栄養を届ける関節液があります。関節の内側を覆う滑膜(かつまく)に炎症が起こると、関節液の産生と吸収のバランスが崩れ、液体が増えます。
お皿の周りがふくらむ、膝が重い、曲げ伸ばししにくい、といった症状が現れます。ただし、見た目の腫れだけでは、関節内の水なのか、皮膚の下や膝の周囲の腫れなのかは判断できません。
膝に水がたまる主な原因
主な原因は、変形性膝関節症、半月板などの損傷、結晶による関節炎です。腫れ方や年齢は診断の手がかりになりますが、症状だけで病名は決められません。
| 原因 | 症状・経過の手がかり |
|---|---|
| 変形性膝関節症 | 中高年に多く、歩き始めや階段で痛む。活動量が増えた後などに腫れを繰り返す |
| 半月板・靱帯の損傷 | ひねった後の痛み、引っかかり、不安定感。加齢に伴う半月板損傷では明らかなけががないこともある |
| 偽痛風・痛風 | 突然の強い痛みや熱を持った腫れ。偽痛風は高齢者の膝にも起こりやすい |
| 関節リウマチなど | 腫れが続く、朝のこわばりが長い、手指などほかの関節にも症状がある |
| 化膿性関節炎 | 細菌感染による強い痛みや腫れ。発熱を伴うことがあり、早急な診断・治療が必要 |
| 関節内の出血 | けがの後に急に大きく腫れる。血液を固まりにくくする薬の影響なども確認する |
変形性膝関節症でも、腫れの原因を決めつけない
変形性膝関節症では、軟骨や半月板の変化に伴って関節内に炎症が起こり、水がたまることがあります。ただし、レントゲンで変形がある方にも、偽痛風や感染などが別に起こることがあります。いつもより急に腫れた、熱感が強い、といった変化は診察時に伝えてください。日本整形外科学会「変形性膝関節症」
半月板損傷は、けがの記憶がなくても起こる
半月板は、膝にかかる力を分散する組織です。スポーツで膝をひねったときだけでなく、加齢によって傷みやすくなり、日常動作をきっかけに損傷する場合もあります。痛みや引っかかり、水がたまる症状が手がかりになります。日本整形外科学会「半月(板)損傷」
急な腫れでは偽痛風と感染を見分ける
偽痛風は、関節に沈着したピロリン酸カルシウムという結晶に関連して炎症が起こる病気です。痛風とは結晶の種類が異なり、尿酸値だけでは判断できません。急な痛みや腫れは感染とも似ているため、関節液検査が必要になることがあります。日本リウマチ学会「偽痛風」
水を抜いても、膝の腫れを繰り返すのはなぜ?
水を抜いた後にまたたまる主な理由は、炎症の原因が残っていることです。水を抜く処置そのものによって「たまりやすい体質になる」という意味で、癖になるわけではありません。
関節液を抜くと膝の張りが軽くなっても、関節の炎症や負担が続けば再び増えることがあります。腫れを繰り返す場合は、次の点を見直します。
- 診断した病気だけで、現在の腫れを説明できるか
- 歩行量、階段、しゃがむ作業などの負担が増えていないか
- 半月板の損傷や、ほかの関節炎が関わっていないか
- 治療後、どのくらいで腫れが戻るか
また、水の量だけで関節の傷み具合や手術の必要性は決まりません。痛み、歩行能力、膝の動き、画像所見を合わせて判断します。
受診を急いだ方がよい症状
急に強く腫れた膝や、熱を持って歩けない膝は、当日中に医療機関へ相談してください。感染や骨折など、治療を急ぐ原因が隠れていることがあります。
当日中の受診が必要な目安
- 膝が赤く熱を持ち、強く痛む
- 膝の腫れに加えて発熱や悪寒がある
- 急に腫れて体重をかけられない、歩けない
- 転倒やひねった後に大きく腫れた
- 膝の注射や手術後に、痛み・腫れが増してきた
- 膝が引っかかったまま伸びない
発熱がなくても感染は否定できません。急な強い痛みや熱感があれば、熱が出るまで待たずに受診しましょう。診療時間外で症状が強い場合は、救急外来に相談してください。
早めに整形外科で確認したい目安
初めて原因不明の腫れが出た、負担を減らしても改善しない、水を抜いても繰り返す場合は、強い痛みがなくても早めに受診してください。「以前と同じ病気だろう」と自己判断しないことが大切です。
整形外科ではどのような検査をする?
検査は、関節内に水があるかを確かめる検査と、なぜたまったのかを調べる検査に分かれます。全員にMRIが必要なわけではなく、疑う原因に合わせて選びます。
| 検査 | 主にわかること・役割 |
|---|---|
| 問診・診察 | 腫れの場所、熱感、膝の動き、圧痛、不安定さ、けがや服薬との関係 |
| レントゲン | 関節のすき間、骨の変形、骨折、石灰化など。必要に応じて立った状態で撮影 |
| 超音波(エコー) | 関節液、滑膜の腫れ、膝周囲の液体のたまり。関節内と周囲の腫れの区別 |
| MRI | 半月板・靱帯・軟骨や骨の内部の変化など、レントゲンで把握しにくい病変 |
| 関節液検査 | 白血球、結晶、細菌など。感染や偽痛風・痛風の鑑別 |
| 血液検査 | 炎症反応などを確認し、診察や関節液検査と合わせて判断 |
MRIを検討するのはどのような場合?
レントゲンだけでは痛みや腫れを説明できない、半月板・靱帯損傷が疑われる、治療しても症状が続く場合などにMRIを検討します。早期にはレントゲンで見えにくい骨の小さな骨折などが見つかることもあります。
ただし、MRIで異常が見つかっても、そのすべてが痛みの原因とは限りません。画像の異常と、痛む場所・発症時期・診察所見が合うかを確認することが重要です。半月板損傷があるという理由だけで手術は決めません。日本整形外科学会「半月(板)損傷」
水を抜く処置と、関節液検査は同じ?
同じ針を使う処置でも、目的は異なります。水を抜く処置は張りを軽くするため、関節液検査は採取した液体を調べて原因を判断するために行います。両方を同時に行う場合もあります。
水を抜くたびに、すべての検査をするわけではありません。ただし、急な腫れ、原因不明の腫れ、感染が疑われる場合には、細菌や結晶などを調べることが重要です。液体の見た目だけでは診断できません。日本リウマチ学会「偽痛風」
感染が疑われるときは、MRIの予約を待つより、診察や関節液検査を優先する場合があります。
受診までに確認したいことと、自宅でできる対策
自宅では、腫れた経過を記録し、痛みを増やす負担を減らしましょう。強く押したり、無理に曲げたりして水の有無を確かめる必要はありません。
受診時に伝えると役立つ情報
- いつから、急に腫れたのか、徐々になのか
- 片膝か両膝か、熱感や発熱があるか
- けが、長く歩いた日、作業量の変化があったか
- 以前も水を抜いたか、どのくらいで再発したか
- 服用中の薬、最近受けた注射や手術
日によって腫れ方が変わる場合は、写真を残しておくと経過を伝えやすくなります。服薬はお薬手帳で確認できるようにしておきましょう。
腫れや熱感が強い間は負担を減らす
長い距離の歩行、正座、深いしゃがみ込み、痛みを我慢した筋力トレーニングは控えます。熱感がある場合は、保冷剤を布で包んで短時間当て、皮膚の状態を確認してください。氷を直接当てたり、長時間冷やし続けたりしないようにします。
急に腫れて熱を持つ膝を、長風呂や強いマッサージで温めることは避けましょう。冷却は症状を和らげる対策であり、感染などを治す方法ではありません。日本リウマチ学会「偽痛風」
炎症が落ち着いたら、運動を段階的に再開する
原因を確認し、強い痛みや腫れが落ち着いたら、膝の曲げ伸ばしや太ももの筋力を保つ運動を無理のない範囲で再開します。長期間動かさないままでいると、筋力が落ち、膝が動かしにくくなります。
運動後や翌日に痛み・腫れが増えるなら、負荷を下げて相談してください。体重が多い方では、栄養を確保しながら体重を調整することも膝の負担軽減につながります。日本理学療法士協会「変形性膝関節症」
膝に水がたまったときの治療方法
治療の基本は、水がたまる原因に対応することです。感染などの緊急性がない場合は、活動量の調整、運動療法、薬物療法などの保存療法から検討します。
関節液を抜く処置
水が多く、強く張る、曲げにくいなどの症状がある場合に行います。少量で症状が軽く、原因も把握できている場合は、抜かずに経過を見ることもあります。
処置には出血や感染などのリスクもあるため、診断と症状を踏まえて必要性を判断します。水を抜くことと、原因に対する治療は組み合わせて考えます。
薬や関節内注射
痛みや炎症に対し、外用薬や内服薬を使う場合があります。飲み薬の種類は、胃腸や腎臓の病気、ほかの薬との組み合わせも考慮します。
- ヒアルロン酸注射:変形性膝関節症の痛みや動かしにくさに対する選択肢です。水がたまるすべての病気に使う治療ではなく、効果には個人差があります。
- ステロイド注射:感染が否定的で、炎症が強い場合などに短期的な症状緩和を目的に検討します。血糖上昇や感染のリスク、繰り返す場合の影響を考えて適応・頻度を判断します。
注射後に一時的な痛みや腫れが出る場合もあります。注射だけに頼らず、運動や日常動作の調整を組み合わせます。日本整形外科学会『変形性膝関節症診療ガイドライン2023』
関節リウマチでは病気自体を抑える治療、細菌感染では抗菌薬や関節を洗う処置など、原因に応じた治療が必要です。
手術を考えるのはどのような場合?
水がたまるという理由だけで、手術が必要になるわけではありません。保存療法を行っても歩行や生活への支障が大きい場合は、変形や損傷の状態、年齢、活動性、本人の希望を踏まえて検討します。
一方、感染や、半月板が挟まって膝を伸ばせない状態などは、早めの処置が必要になることがあります。手術を避けることだけを目標にせず、原因に合った時期を相談しましょう。日本整形外科学会「変形性膝関節症」、「半月(板)損傷」
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ|膝に水がたまる原因を確認することが大切
膝の水は、抜くかどうかだけでなく、なぜ増えたかを調べることが重要です。
- 主な原因は、変形性膝関節症や半月板損傷などに伴う炎症です。
- 急な強い腫れでは、偽痛風、感染、けがによる出血なども考えます。
- 繰り返す腫れは、診察・画像検査・関節液検査を使い分けて原因を確認します。
- 水の量や画像だけで治療を決めず、痛みや生活への影響を合わせて判断します。
症状が続く場合は整形外科で原因を確認しましょう。急な強い痛み、熱感、歩けないほどの腫れがある場合は、当日中に医療機関へ相談してください。
よくある質問
膝の水について、日常生活で迷いやすい点にお答えします。
Q1.膝にたまった水は、抜かなくても自然に引きますか?
炎症が落ち着けば、増えた関節液が吸収されて腫れが引くことはあります。ただし、膝に水がたまる原因によって経過は異なります。初めての腫れや繰り返す腫れは受診し、強い痛み・熱感・発熱があれば当日中に相談してください。
Q2.水を飲みすぎると、膝に水がたまりますか?
通常、飲水量が多いことが膝の関節水腫の直接の原因になるわけではありません。膝の水を減らす目的で水分を控える必要はありません。心臓や腎臓の病気などで水分制限の指示がある方は、その指示に従ってください。
Q3.痛くなくても、膝が腫れていたら受診した方がよいですか?
原因不明の腫れが続く場合は受診してください。痛みが軽くても関節液が増えていることがあり、関節の外側が腫れている場合もあります。片膝だけの腫れや、次第に大きくなる腫れは、診察で確認することが大切です。
Q4.サポーターで膝の水を減らせますか?
サポーターは膝を支えて動作を助ける場合がありますが、関節液が増える原因そのものを治す道具ではありません。強く締めて水を押し出そうとせず、しびれや足先の冷えが出たら外してください。腫れが続く場合は受診しましょう。
参考資料
- 日本整形外科学会「変形性膝関節症」
- 日本整形外科学会「半月(板)損傷」
- 日本リウマチ学会「偽痛風」
- 日本整形外科学会『変形性膝関節症診療ガイドライン2023』/Minds
- 日本理学療法士協会『理学療法ハンドブック シリーズ7 変形性膝関節症』
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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