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ヒアルロン酸注射を何年も続けていませんか?「軟骨は再生しない」事実と、変形性膝関節症が悪化する理由

ヒアルロン酸注射を何年も続けていませんか?「軟骨は再生しない」事実と、変形性膝関節症が悪化する理由

「毎週の注射が日課」になっていませんか?

私のクリニックには、セカンドオピニオンを求めて多くの患者様がいらっしゃいます。その中で非常に多いのが、次のようなお悩みです。

「もう3年も毎週ヒアルロン酸注射に通っているけれど、痛みが取れない」 「注射を打ったその日はいいけれど、すぐにまた痛くなる」 「医師からは『とりあえず続けて様子を見ましょう』と言われているけれど、だんだん膝が曲がらなくなってきた」

もしあなたが、終わりの見えない「注射通い」を続けているなら、少し厳しいことをお伝えしなければなりません。 そのヒアルロン酸注射、そろそろ「見直す時期」に来ているかもしれません。

実は、整形外科医の間でも「ヒアルロン酸注射には限界がある」というのは常識です。 それどころか、効果がないのに漫然と注射だけに頼り続けることは、結果として変形性膝関節症の進行を許し、症状を「悪化」させてしまうリスクさえあるのです。

今日は、多くの医師が診察室ではなかなか言いにくい「ヒアルロン酸注射の不都合な真実」と、そこから脱却するための正しい知識についてお話しします。

誤解だらけの「ヒアルロン酸の効果」

まず、決定的な事実をお伝えします。 ヒアルロン酸注射をどれだけ打ち続けても、すり減った軟骨が元に戻る(再生する)ことはありません。

多くの患者様が「注射を打てば軟骨が保護されて、膝が良くなる」と信じていらっしゃいますが、これは医学的には半分正解で、半分間違いです。

ヒアルロン酸注射の主な役割は、以下の2点に尽きます。

  1. 一時的な潤滑油の補充(滑りを良くする)
  2. 一時的な抗炎症作用(痛みを少し抑える)

あくまで、今ある痛みを一時的に和らげる「対症療法(その場しのぎ)」に過ぎません。 すり減ってしまったタイヤにオイルを塗っても、タイヤの溝が復活しないのと同じです。注射で一時的に動きは良くなりますが、骨や軟骨の破壊そのものを止めているわけではないのです。

なぜ「注射を続けると悪化する」と言われるのか?

「でも先生、痛み止めとして効くなら、続けてもいいのでは?」 そう思うかもしれません。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

私が最も懸念するのは、「注射を打っているから大丈夫」という安心感が、根本的な治療の機会を奪ってしまうことです。

1. 痛みのサインを無視して動いてしまう

痛みというのは、体からの「これ以上無理をさせないで」という警告信号です。 注射でその信号を強制的に消してしまうと、本来なら休ませるべき膝を酷使してしまいます。その結果、知らず知らずのうちに軟骨の摩耗が進み、気づいたときには「手術しか方法がない」という状態まで変形が進行してしまうケースが後を絶ちません。

2. 「通院」が運動不足の言い訳になる

「毎週病院に通っているから、私は治療を頑張っている」 そう錯覚してしまうことも問題です。本当に膝に必要なのは、注射で誤魔化すことではなく、膝を支える筋力をつけて負担を減らすことです。 通院に時間とお金を使い、待合室で長時間座って過ごすくらいなら、その時間を自宅でのスクワットやウォーキングに充てたほうが、膝の寿命は確実に延びます。

3. 関節内感染のリスク

極めて稀ではありますが、膝に針を刺す以上、細菌が関節内に入り込む「化膿性関節炎」のリスクはゼロではありません。効果の薄い処置を何十回、何百回と繰り返すことは、それだけ不要なリスクにさらされ続けることを意味します。

専門医が考える「ヒアルロン酸のやめどき」

私はヒアルロン酸注射を全否定しているわけではありません。 「痛みが強くてリハビリすらできない」という急性期に、一時的に痛みを抑えて運動を開始するきっかけにする、という使い方は非常に有効です。

しかし、以下のような状況であれば、今の治療方針を見直すべきです。

  • 5回ワンクールを終えても、痛みが改善しない
  • 注射を打って2〜3日で痛みが戻る
  • 1年以上、同じ注射を漫然と続けている
  • 注射を始めた頃より、O脚が進んだ気がする

これらは、「ヒアルロン酸の効果がもう出ていない(限界を迎えている)」という体からのサインです。 効かない薬を使い続けることほど、体に無益なことはありません。

注射をやめて、何をするべきか?

「注射をやめたら、歩けなくなるのが怖い」 その不安は痛いほど分かります。しかし、勇気を持って「対症療法」から「根本解決」へと舵を切る必要があります。

ステップ1:徹底的な「保存療法」の見直し

注射に頼らず膝を守る方法は2つしかありません。 **「体重を落とすこと」と「筋肉をつけること」**です。

体重が1kg減れば、歩く時の膝の負担は5kg減ります。また、太ももの筋肉(大腿四頭筋)を鍛えれば、それが天然のサポーターとなり、軟骨への衝撃を吸収してくれます。 「痛くて運動できない」という方は、プールでの歩行や、椅子に座ったままできる足上げ運動から始めてください。これらが最も地味ですが、最も確実な「治療」です。

ステップ2:再生医療という選択肢

保存療法では痛みが取れず、かといって人工関節の手術には抵抗がある。 そのような「治療の空白地帯」にいる方には、私が専門とする**「再生医療」**が適応となる場合があります。

ご自身の血液から加工したPRP(多血小板血漿)や、脂肪由来の幹細胞を膝に投与する治療法です。 ヒアルロン酸が単なる「潤滑油」であるのに対し、再生医療は傷んだ組織の修復を促し、炎症を鎮める**「治癒能力の活性化」**を目的とします。

すり減って消失した軟骨を完全に元通りにする魔法ではありませんが、慢性的な炎症を抑え、変形の進行を食い止める効果においては、ヒアルロン酸とは比較にならない可能性があります。「ヒアルロン酸が効かなくなった」という方の次のステップとして、今、世界中で選ばれています。

よくある質問(誤解を解くために)

Q. 注射をやめると、リバウンドで激痛が来ませんか?
A. リバウンドはありません。 注射をやめて痛くなるとしたら、それはリバウンドではなく、単に「麻酔が切れて、本来の膝の状態が露呈した」だけです。その痛みこそが、現在のあなたの膝の実力です。その現実から目を逸らさず、装具を使ったり筋力をつけたりして対策することが、将来の寝たきりを防ぎます。

Q. 別の種類のヒアルロン酸なら効きますか?
A. 大きな期待はできません。 分子量の違う製剤に変えることで多少の変化はあるかもしれませんが、劇的な改善は見込めないでしょう。「潤滑油を足す」というメカニズム自体は変わらないからです。薬を変えるより、治療のアプローチそのものを変える段階です。

自分の膝は、自分で守るしかない

厳しいことを申し上げましたが、これはあなたに「一生自分の足で歩いてほしい」と願うからです。

「病院に通っているから安心」ではありません。 漫然と注射を受け身で受け続けるのではなく、「なぜ痛いのか?」「どうすれば負担が減るのか?」を自分の頭で考え、行動に移す患者様だけが、痛みのない生活を取り戻すことができます。

もし、今の治療に疑問を感じているのなら、担当の先生に「これ以上続けて意味がありますか?」と聞いてみてください。あるいは、私たちのような関節治療の専門医にセカンドオピニオンを求めてください。

「なんとなくの注射」は今日で卒業しましょう。 あなたの膝にとって、本当に必要な治療を選択する日が、今日であることを願っています。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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