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膝 ヒアルロン酸が効かなくなった膝|次の治療を考える目安

ヒアルロン酸が効かなくなった膝は、注射の変更だけでなく、痛みの原因と治療全体を見直す時期です。変形性膝関節症の進行、炎症、半月板や骨の病変、筋力低下などが関係する場合があります。まず、注射後にどの程度楽になり、効果が何日続くかを整理して主治医に相談しましょう。効き目が乏しくても、すぐに手術が必要とは限りません。ただし、急に体重をかけられなくなった場合や、強い腫れ・熱感、発熱がある場合は、次の注射日を待たずに受診してください。
この記事の内容
ヒアルロン酸注射とは?膝の痛みに対する役割
ヒアルロン酸注射は、膝関節の中に薬液を注入し、痛みや動きにくさを軽くする治療です。主に変形性膝関節症で用いられますが、すり減った軟骨や変形した骨を元どおりにする治療ではありません。
変形性膝関節症とは、軟骨のすり減りだけでなく、骨や関節内の膜などにも変化が起こる病気です。治療では注射に加え、運動療法、薬、必要に応じた装具などを組み合わせます。日本整形外科学会「変形性膝関節症」
ヒアルロン酸が効かなくなった膝で考える主な原因
効き目が弱くなった理由は、関節の変形だけではありません。現在の痛みが、関節のどの組織から起きているかを確認することが大切です。
関節の変化や炎症が強くなっている
軟骨の下の骨に負担が集中したり、関節を内側から包む滑膜に炎症が続いたりすると、ヒアルロン酸だけでは十分に痛みを抑えられない場合があります。O脚や筋力低下による負担も、注射だけでは解消できません。
ただし、レントゲンの変形が軽くても強い痛みを感じる方はいます。長引く痛みには、痛みを感じる神経の過敏さなどが関係する場合もあり、画像の重症度と痛みの強さは必ずしも一致しません。日本予防理学療法学会誌「痛みの慢性化に対する予防理学療法」
半月板や骨など、別の病変が関係している
以前と痛む場所や痛み方が変わった場合は、同じ病気による痛みと決めつけないことが重要です。
| 症状・変化 | 考えられる原因・確認したいこと |
|---|---|
| 動き始めや階段で痛み、腫れを繰り返す | 変形性膝関節症や滑膜炎など |
| ひねると痛い、引っかかる、膝が伸びない | 半月板損傷など。急に動かせなくなった場合は早めに受診 |
| 大きなけががないのに急に痛み、体重をかけると強く痛む | 軟骨の下の骨に生じる小さな骨折など |
| 膝の内側より少し下を押すと痛い | 腱が集まる鵞足部など、関節の外の炎症 |
| 急な強い腫れ・熱感がある | 偽痛風などの結晶による炎症、関節の感染など |
| 腰や股関節にも症状があり、しびれを伴う | 膝以外から生じる痛みの可能性 |
この表だけで診断はできません。特に、中高年で急に強い荷重時痛が出た場合は、軟骨下脆弱性骨折という、軟骨の下の骨に生じる骨折を考える必要があります。疑わしい場合には、体重をかける量の調整やMRIによる評価を検討します。整形外科と災害外科「大腿骨内顆軟骨下脆弱性骨折の1例」

何回効かなければ、次の治療を考えるべき?
すべてのヒアルロン酸注射に共通する「何回で終了」という基準はありません。使用している製剤の決まりと、実際の改善の程度を合わせて判断します。
例えば、ヒアルロン酸Na関節注25mgシリンジ「明治」の添付文書では、通常は週1回、連続5回投与し、症状の改善がなければ5回を限度として中止する旨が記載されています。製剤によって投与方法が異なるため、薬の名前を確認してください。同製剤の添付文書
以前は効いていた方でも、次の変化があれば治療を見直す目安になります。
- 楽になる期間が短くなり、通院に見合う改善を感じない
- 注射を続けても、歩行や階段、買い物の支障が減らない
- 痛み止めの使用が増えた、夜に痛みで目が覚める
- 腫れを繰り返す、膝が伸びにくくなった
反対に、注射によって生活が楽になり、運動にも取り組めている場合は、継続が選択肢になります。「長く打ったから必ず効かなくなる」とは判断せず、効果と負担を定期的に振り返りましょう。
診察前に記録すると役立つ4項目
自己診断のためではなく、治療効果を主治医と共有するために、次をメモしてください。
- 注射前後の痛み:0を痛みなし、10を最も強い痛みとして記録
- 効果の持続:何日くらい楽だったか
- 生活の変化:歩ける距離、階段、買い物、睡眠
- 症状の変化:腫れ、熱感、痛む場所、引っかかり
例えば「痛みが少し減った」だけでなく、「休まず近所のスーパーまで歩けた」と伝えると、治療の意味を判断しやすくなります。

次の注射日を待たずに受診した方がよい症状
急激な悪化や強い腫れがある場合は、予定どおり注射を続ける前に原因を調べる必要があります。次の場合は、当日中を目安に医療機関へ連絡してください。
- 急に立てない、体重をかけられないほど痛む
- 膝が赤く、熱を持って大きく腫れている
- 発熱や悪寒を伴う
- 膝が引っかかったまま、急に曲げ伸ばしできなくなった
- 注射後、痛みや腫れが強くなり続けている
注射後には一時的な痛みが出ることもありますが、強い症状を「よくある反応」と自己判断しないでください。感染などとの区別が必要です。ヒアルロン酸Na関節注の添付文書
急な悪化がなくても、睡眠や日常生活への支障が続く場合は、次回診察で治療方針の見直しを相談しましょう。
整形外科ではどのような検査をする?
まず診察とレントゲンで全体を評価し、症状に応じてMRIや超音波、関節液検査などを追加します。ヒアルロン酸が効かない方全員に、MRIが必要なわけではありません。
診察・レントゲン
痛む場所、腫れ、曲げ伸ばし、脚の向き、歩き方を確認します。必要に応じて立った状態のレントゲンを撮り、体重をかけたときの関節の隙間や変形を評価します。腰や股関節も確認する場合があります。
MRI・超音波・関節液検査
- MRI:レントゲンだけでは説明しにくい痛み、急な悪化、半月板や骨の病変が疑われる場合などに検討します。
- 超音波:関節液、滑膜の腫れ、腱など関節周囲の状態を調べるのに役立ちます。
- 関節液検査:急な腫れや熱感がある場合などに、感染や結晶による炎症を調べます。必要に応じて血液検査も行います。
MRIに半月板損傷が写っても、その所見だけで手術を決めることはありません。診察で再現される痛みや、動かしにくさとの関係を確認します。半月板損傷にはリハビリテーションや薬で対応する場合もあります。日本スポーツ整形外科学会「半月板損傷」
自宅でできる対策と、見直したい保存療法
次の治療を考える際も、運動療法や日常動作の調整は基本です。ただし、急に強い痛みが出た場合は、運動を増やす前に診断を受けてください。
痛みが落ち着いているときは、無理のない運動を続ける
椅子に座って片脚ずつ膝をゆっくり伸ばす運動など、太ももの筋肉を使う運動を取り入れます。深いスクワットや、痛みを我慢した正座は避けましょう。運動の種類や量は、膝の状態に合わせて医師や理学療法士と調整してください。
運動後に痛みや腫れが増えたり、翌日まで悪化が残ったりする場合は、量や負荷を減らします。長時間続けて歩くより、休憩を挟んで活動を分ける方法もあります。
体重・動作・冷却を調整する
- 過体重の方は、食事と運動を組み合わせた無理のない減量を検討する
- 階段では手すりを使い、深くしゃがむ作業や重い荷物を持つ時間を減らす
- 杖や装具が必要か、医療機関で相談する
- 熱を持って腫れているときは、保冷剤を布で包んで短時間冷やす
- 熱感がなく、こわばりが中心なら、温めて動かしやすくなる場合がある
高齢の方は、体重だけを減らして筋肉まで落とさないように注意します。強い腫れを冷却だけで様子見せず、原因を確認することも大切です。
薬やステロイド注射を見直す
| 治療 | 目的・選び方 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 湿布・塗り薬 | 痛みを抑え、活動しやすくする | かぶれなど。持病や他の薬も確認 |
| 飲み薬 | 痛みの程度や持病に合わせて選ぶ | 薬の種類により胃腸、腎臓、肝臓などへの影響がある |
| ステロイド関節内注射 | 炎症が強い場合などに、短期間の症状緩和を図る | 感染が疑われる場合は使用しない。頻回の反復は慎重に判断 |
痛みを減らして運動しやすくすることも、薬や注射の役割です。年齢、持病、これまでの効果を踏まえ、治療を組み合わせます。日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」

手術を考えるタイミングは?
手術は、注射の回数や年齢だけで決めるものではありません。適切な保存療法を行っても生活の支障が大きく、関節の状態から手術による改善が見込まれる場合に検討します。
相談する目安は、次のような状態です。
- 痛みで眠れない、買い物や通勤などが難しい
- 膝が伸びにくくなり、歩ける範囲が狭くなっている
- 脚の変形や不安定さが強く、転倒が心配
- 薬や注射、運動療法などを調整しても、十分な改善が得られない
骨切り術は、骨の向きを調整して膝にかかる負担の偏りを減らす手術です。人工膝関節置換術は、傷んだ関節面を人工関節に置き換える手術です。病変の範囲、活動性、全身状態、本人の希望を踏まえて選びます。
手術には感染や血栓などのリスクがあり、術後のリハビリテーションも必要です。一方で、痛みを我慢して活動が減り続ける場合は、先延ばしの不利益も考えます。手術前にPRPや幹細胞治療を必ず受ける必要はありません。日本整形外科学会「変形性膝関節症」
よくある質問
ヒアルロン酸注射をやめると、膝が急に悪くなりますか?
やめたことだけで膝が急に変形するとは限りません。ただし、注射で抑えられていた痛みが戻る場合はあります。中止する際は、運動療法や薬など、痛みへの対応を主治医と相談しましょう。
ヒアルロン酸の種類を変えれば、また効きますか?
改善する可能性はありますが、変更すれば効くとは限りません。製剤によって成分や投与間隔、注意点が異なります。まず痛みの原因を見直し、変更する利点があるかを確認することが大切です。
膝に水がたまっていたら、抜いてから注射した方がよいですか?
水の量や炎症の程度によって判断します。関節液を抜くことで張りを軽くしたり、液を調べて原因を確認したりする場合があります。抜く処置だけでは炎症の原因は治らないため、再発への対策も必要です。
80代でも、ヒアルロン酸以外の治療を選べますか?
選べる場合があります。年齢だけでなく、持病、筋力、歩行能力、生活で困っていることを踏まえて判断します。運動療法や薬、装具、手術などの利点と負担を比べ、本人の希望に合う方針を相談しましょう。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ|ヒアルロン酸が効かなくなったら治療全体を見直す
ヒアルロン酸が効かなくなった膝では、注射を変更する前に、現在の痛みの原因と生活への影響を確認することが大切です。
- 注射の効果は、痛みだけでなく歩行・睡眠・日常生活の改善で判断する
- 急な悪化、強い腫れや熱感があれば、次の注射日を待たずに受診する
- MRIは必要性を判断して行い、画像だけで治療を決めない
- 運動療法や薬、装具を見直し、必要に応じて他の治療を検討する
- 保存療法でも生活の支障が大きい場合は、手術の利点と負担を相談する
症状が続く場合は、これまでの注射の種類や回数、効き目の変化を整理して、整形外科で原因を確認しましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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