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変形性膝関節症で正座はできる?膝を守る工夫を整形外科専門医が解説

変形性膝関節症で正座はできる?膝を守る工夫を整形外科専門医が解説

「法事で正座をしなければならないけれど、膝が痛くならないか心配」「以前は普通にできたのに、最近は正座から立ち上がれない」。診察室では、このような相談をよく受けます。

変形性膝関節症があっても、正座が一律に禁止されるわけではありません。ただし、膝を深く曲げることで痛みや腫れが強くなる場合は、無理に続けないことが大切です。正座できない状態には、軟骨のすり減りだけでなく、関節の腫れや筋肉の硬さなども関係しています。

この記事では、変形性膝関節症で正座をするときの注意点、膝を守る生活上の工夫、自宅でできるストレッチや筋トレ、整形外科を受診する目安について解説します。

変形性膝関節症でも正座はできる?

正座ができても直ちに膝が悪化するとは限らない

変形性膝関節症があっても、痛みや腫れがなく、無理なく膝を曲げられるのであれば、短時間の正座まで避ける必要はありません。正座をしたという理由だけで、すぐに軟骨のすり減りが進むとは限らないからです。

一方で、「我慢すれば座れる」という状態は、問題なく正座できているとはいえません。座っている間に痛む、立ち上がった後も膝の痛みが続く、翌日まで腫れや違和感が残る場合は、膝にとって負担が大きかった可能性があります。

特に長時間の正座は、膝だけでなく足首や足先にも負担をかけます。変形性関節症の程度だけで判断せず、その日の症状を基準にしましょう。

正座できない原因は軟骨のすり減りだけではない

正座では、膝をいっぱいまで深く曲げます。そのため、膝の前側にある膝蓋骨と大腿骨の間や、太ももの骨とすねの骨の間に圧力がかかります。

変形性膝関節症が進むと、骨の縁に骨棘という出っ張りができたり、関節に水がたまったりして、膝を深く曲げにくくなります。また、太ももの前側の筋肉が硬い、膝の後ろが張っている、過去の半月板損傷があるといった理由でも正座できないことがあります。

膝の曲がりが急に悪くなった場合や、膝の中で何かが引っかかる感じがある場合は、変形性膝関節症以外の原因も考える必要があります。

正座するときに膝を守る工夫

椅子や正座椅子を使い、長時間の正座を避ける

法事や会食などで正座が必要な場面でも、痛みを我慢する必要はありません。事前に椅子を用意してもらうか、正座椅子や厚めの座布団を使いましょう。お尻の位置を高くすると膝の曲がる角度が浅くなり、関節の痛みを抑えやすくなります。

横座りや片方の脚だけを崩した座り方は、膝や股関節、腰に左右差のある負担がかかります。短時間なら問題にならないこともありますが、同じ方向ばかりに脚を崩すのは避けた方がよいでしょう。

床で過ごす生活が多い方は、椅子やベッドを取り入れることも有効です。手術回避を考えるうえでも、膝に負担が集中しにくい生活環境を整えることは大切な保存療法の一つです。

立ち上がるときは手を使って膝への負担を減らす

正座そのものより、立ち上がる瞬間に強く痛む方も少なくありません。立ち上がるときは、机、手すり、安定した椅子などに手を置き、腕にも体重を分散させます。

反動をつけて一気に立とうとすると、膝に大きな力がかかり、ふらついて転倒する危険もあります。片膝を立てられる場合は、体の近くに足を置いてから、手の支えを使ってゆっくり立ちましょう。

立ち上がった直後は、すぐに歩き出さず、膝を軽く伸ばしてから一歩目を出すと安全です。

ストレッチと筋トレで膝を動かしやすくする

膝の動きを保つには、痛くない範囲で日頃から曲げ伸ばしを行うことが大切です。椅子に座って片脚を前へ伸ばし、膝をゆっくり伸ばす運動は、太ももの前側の筋トレになります。5秒ほど保って戻す動きを、体調に合わせて数回から始めてください。

膝を曲げるストレッチは、仰向けになって片方の太ももを両手で抱え、かかとをお尻へ近づけるように行います。強く引っ張ったり、反動をつけたりする必要はありません。膝の前側に強い痛みが出る手前で止めます。

歩くと痛いからといって、動く量を極端に減らすと筋力が低下し、かえって膝が不安定になることがあります。平地での短い散歩や自転車こぎ、水中歩行など、痛みが出にくい運動を選びましょう。運動後から翌日にかけて痛みや腫れが増す場合は、運動量を減らす必要があります。

膝の痛みで整形外科を受診する目安と治療

正座できない状態が続くなら原因を確認する

正座できないだけで、必ず治療が必要になるわけではありません。しかし、歩くと痛い、階段で痛い、立ち上がりがつらいといった症状もある場合は、整形外科で原因を確認することをおすすめします。

診察では、痛む場所、腫れ、膝の動く範囲、脚の形、歩き方などを確認します。必要に応じて立った状態でレントゲンを撮り、関節の隙間や骨の変形を調べます。半月板損傷などが疑われる場合には、MRIを検討することもあります。

急に膝が動かなくなった、体重をかけられない、赤く熱を持って大きく腫れた、発熱を伴う場合は、早めの受診が必要です。

保存療法は運動と生活習慣の見直しが基本

変形性膝関節症の治療では、まず保存療法を行うのが一般的です。体重管理、運動療法、リハビリ、痛み止め、装具などを、症状や生活に合わせて組み合わせます。

体重が増えると、歩行や階段で膝にかかる負担も増えます。ただし、痛みがある状態で急に運動量を増やすのは適切ではありません。食事の見直しと、膝に負担の少ない運動を無理なく続けることが現実的です。

ヒアルロン酸注射は、一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。何度も続けても十分な効果を感じられない場合は、同じ治療を漫然と繰り返さず、診断や治療方針を見直すことが大切です。

手術は症状と生活への影響を踏まえて検討する

変形が進んでいても、レントゲン写真だけで手術が決まるわけではありません。痛みの程度、歩ける距離、仕事や家事への影響、保存療法の効果などを総合して判断します。

適切なリハビリや生活習慣の見直しによって、手術を急がずに生活できる方もいます。一方、強い痛みで外出できない、夜も痛む、保存療法を続けても日常生活が大きく制限される場合には、手術について説明を受けることも選択肢です。

大切なのは、正座ができるかどうかだけではなく、日常生活全体で何に困っているかを医師に伝えることです。

変形性膝関節症と正座についてのよくある質問

Q1. 痛みがあっても正座の練習をした方がよいですか?

A. 強い痛みを我慢して練習する必要はありません。痛くない範囲で膝を曲げる運動を行い、翌日まで痛みや腫れが残る場合は中止してください。

Q2. 正座できないと変形性膝関節症が進んでいますか?

A. 正座できないだけで、変形が進んだとは判断できません。関節の腫れや筋肉の硬さ、半月板の問題なども考えられるため、ほかの症状も含めて評価します。

Q3. 正座の代わりに横座りをしてもよいですか?

A. 短時間であれば可能ですが、同じ方向への横座りを長く続けると、膝や股関節、腰に偏った負担がかかります。できれば椅子や正座椅子を利用しましょう。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ

正座は無理に続けず、膝に合った方法を選ぶ

変形性膝関節症があっても、痛みや腫れがなければ短時間の正座が可能な場合があります。ただし、正座後も痛みが残る、膝が腫れる、立ち上がれない場合は無理をしないでください。

正座椅子や座布団を使う、椅子での生活を取り入れる、立ち上がるときに手で支えるといった工夫で、膝への負担を減らせます。ストレッチや筋トレも、痛くない範囲で続けることが大切です。

年齢のせいと諦めず、痛みの原因を確認する

膝の痛みや動かしにくさには、変形性膝関節症だけでなく、関節の腫れ、筋力低下、半月板損傷などが関係していることもあります。

歩行や階段、立ち上がりにも支障がある場合や、症状が続く場合は、整形外科で一度状態を確認しましょう。原因に合った対策を早めに始めることで、膝の動きや日常生活を保ちやすくなります。「もう年齢だから」と諦めず、今できる工夫から少しずつ取り組んでください。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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