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膝の痛みは手術しかない?手術を避けるためにできることを整形外科専門医が解説

膝の痛みは手術しかない?手術を避けるためにできることを整形外科専門医が解説

「歩くと膝が痛い」「階段の上り下りがつらい」「正座できないので、そろそろ手術でしょうか」。診療の場では、このようなご相談をよく受けます。レントゲンを見て「軟骨がすり減っています」「年齢による変形です」と説明され、手術しかないのではと不安になった方もいるでしょう。

しかし、膝の痛みがあるからといって、すぐに手術が必要になるわけではありません。変形性膝関節症があっても、生活習慣の見直し、運動療法、薬、装具などの保存療法によって、痛みを抑えながら生活できる方は少なくありません。

一方で、無理に手術を避け続けることが望ましくない場合もあります。大切なのは、画像の変形だけで判断せず、痛みの原因と日常生活への影響を確認することです。この記事では、膝の痛みで手術を避けるためにできること、整形外科で受けられる治療、手術を検討する目安をわかりやすく解説します。

膝の痛みがあっても、すぐに手術とは限りません

まずは保存療法で痛みと動きの改善を目指します

膝の痛みに対して、手術をせずに行う治療を保存療法といいます。筋トレやストレッチを中心としたリハビリ、体重管理、動作の工夫、痛み止め、湿布、サポーターなどが含まれます。

変形性膝関節症では、レントゲン上の変形が残っていても、筋力や膝の動きが改善すると、歩行や階段が楽になることがあります。画像で軟骨が減っていることと、痛みの強さは必ずしも一致しません。そのため、レントゲンだけを見て「手術しかない」と決めることはできません。

手術を避けることだけが治療の目的ではありません

手術回避を希望するのは自然なことです。ただし、治療の本来の目的は、痛みを減らし、歩く、買い物をする、旅行に行くといった生活をできるだけ保つことにあります。

保存療法を十分に行っても強い痛みが続き、外出や睡眠に大きな支障が出ている場合には、手術が生活を取り戻すための選択肢になることもあります。手術を受けるかどうかは、年齢だけではなく、症状、変形の程度、全身状態、本人の希望を合わせて考えます。

膝の痛みの原因を知ることが手術回避の第一歩です

中高年に多い変形性膝関節症

50代以降の膝の痛みで多い原因が変形性膝関節症です。関節の軟骨や半月板などに変化が起こり、炎症や骨への負担によって痛みが生じます。立ち上がりや歩き始めに痛む、階段を下りるときに痛い、膝に水がたまる、曲げ伸ばしがしにくいといった症状がみられます。

進行するとO脚が目立ち、歩ける距離が短くなることもあります。ただし、初期から中期であれば、負担の調整や適切なリハビリによって症状の改善を目指せる余地があります。

半月板損傷や骨の異常が隠れていることもあります

膝の痛みをすべて「年齢による軟骨のすり減り」と考えるのは適切ではありません。半月板損傷、靱帯損傷、膝蓋大腿関節の障害、骨の小さな骨折、骨壊死、関節リウマチ、痛風などでも膝は痛みます。

特に、急に強く痛み始めた、膝の中で引っかかって伸びない、短期間で腫れが増えたという場合は、変形性膝関節症以外の原因も確認する必要があります。原因が違えば、必要な治療も変わります。

整形外科では症状と画像の両方を確認します

整形外科では、痛む場所、発症時期、腫れ、膝の動き、歩き方などを診察します。立った状態で撮影するレントゲンでは、関節のすき間やO脚・X脚、骨の変形を確認できます。

症状とレントゲン所見が合わない場合や、半月板、靱帯、骨の内部の異常が疑われる場合には、MRIを検討します。痛みの原因を詳しく調べることで、必要以上に安静にしたり、効果の乏しい治療を漫然と続けたりすることを避けやすくなります。

膝の手術を避けるためにできる生活習慣と保存療法

膝への負担を減らしながら活動量を保ちましょう

痛いからといって全く動かなくなると、太ももの筋力が落ち、膝が硬くなります。その結果、少し歩くだけでも膝への負担を感じやすくなります。痛みが強くならない範囲で、日常の活動を続けることが大切です。

深くしゃがむ、長時間の正座、重い荷物を持って階段を上り下りするなど、痛みを誘発する動作は一時的に減らしましょう。靴は、かかとが安定し、滑りにくいものが適しています。体重が増えている方は、急激な減量ではなく、食事と活動量を少しずつ見直します。

太ももの筋トレと膝のストレッチを続けます

自宅で行いやすいのが、椅子に座って片脚ずつ膝を伸ばす運動です。膝を伸ばした状態を3〜5秒保ち、ゆっくり下ろします。左右それぞれ10回程度から始め、痛みや体力に合わせて調整してください。

膝が伸びにくい方は、仰向けになり、かかとの下に丸めたタオルを置いて膝の裏をゆっくり伸ばします。強く押し込む必要はありません。運動中の軽い張りは問題ないことが多いものの、鋭い痛みや腫れが増える場合は中止します。

自己流の筋トレが合わない方もいるため、膝の向きや筋力低下が目立つ場合は、理学療法士によるリハビリを受けると安全に進めやすくなります。

薬や関節注射には役割と限界があります

痛みが強い時期には、湿布や塗り薬、内服薬を使うことがあります。内服の消炎鎮痛薬は痛みを抑える一方、胃腸障害、腎機能への影響、血圧上昇などに注意が必要です。高齢の方や持病がある方は、自己判断で長期間使用せず、医師や薬剤師に相談してください。

膝装具や足底板が、歩行時の負担を軽くする場合もあります。ヒアルロン酸注射は、一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。何度も続けても十分な変化がない場合は、同じ注射だけを繰り返さず、診断や治療方針を見直すことが必要です。

よくある質問

Q1. 痛みがあるときは歩かない方がよいですか?

A. 強い痛みや腫れがある日は歩く量を減らしますが、長期間まったく動かないことはおすすめできません。平らな場所での短時間の歩行など、翌日に痛みが残らない範囲から始めましょう。

Q2. どのような状態になると手術を検討しますか?

A. 保存療法を続けても強い痛みが改善せず、歩行、階段、外出、睡眠などに大きな支障がある場合に検討します。画像の変形だけではなく、生活上の困りごとや本人の希望も重要です。

Q3. すぐに整形外科を受診した方がよい症状はありますか?

A. 転倒後に立てない、膝が急に伸びなくなった、発熱を伴って赤く腫れている、安静にしていても激しく痛む場合は、早めの受診が必要です。痛みが数週間続く場合も一度相談しましょう。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ

手術を避けるには早めの対策が大切です

膝の痛みがあっても、すぐに手術しかないというわけではありません。変形性膝関節症をはじめ、半月板や骨の異常など原因はさまざまです。まず原因を確認し、生活上の工夫、筋トレ、ストレッチ、リハビリ、薬や装具などの保存療法を組み合わせることが手術回避につながります。

年齢のせいと諦めず整形外科へ相談しましょう

痛みが続く、膝が腫れる、歩ける距離が短くなった、階段や外出が難しくなった場合は、整形外科の受診をおすすめします。早い段階で状態を把握すれば、自分に合った対策を選びやすくなります。

一方、十分な保存療法を行っても日常生活への支障が強い場合は、手術を含めて治療方法を比較することが大切です。「年齢のせいだから仕方ない」と諦めず、これからどのような生活を送りたいのかを医師に伝えながら、納得できる治療方針を考えていきましょう。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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