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膝 曲げ伸ばしで膝が痛むのは関節軟骨の損傷?原因と治療の選び方を整形外科専門医が解説

「椅子から立ち上がるときに膝が痛い」「階段を下りると膝の奥がズキッとする」「以前より正座がしにくくなった」。このような膝の痛みは、50代以降の方から診察室でよく聞く悩みです。
膝の曲げ伸ばしで痛むと、「軟骨がすり減っているのではないか」「このまま歩けなくなるのではないか」と不安になるかもしれません。確かに関節軟骨の損傷は代表的な原因ですが、半月板、滑膜、筋肉などが痛みに関係していることもあります。
大切なのは、年齢のせいと決めつけず、痛みが出る場所や動作から原因を考えることです。この記事では、曲げ伸ばしで膝が痛む原因、自宅でできる対策、整形外科で行う検査と治療の選び方をわかりやすく解説します。
この記事の内容
曲げ伸ばしで膝が痛むときに考えられる仕組み
関節軟骨は膝にかかる衝撃を和らげている
関節軟骨は、大腿骨と脛骨、膝蓋骨の表面を覆っている滑らかな組織です。骨同士の摩擦を減らし、歩行や階段で加わる衝撃を分散する役割があります。
関節軟骨が傷んだり薄くなったりすると、膝の動きが滑らかでなくなり、周囲の骨や滑膜に負担がかかります。滑膜とは関節の内側を覆う膜で、炎症を起こすと痛みや腫れ、熱っぽさが生じます。
ただし、軟骨自体には痛みを感じる神経がほとんどありません。「軟骨が減ったから、その部分が直接痛む」という単純な仕組みではなく、周囲の炎症や骨への負担などが重なって膝の痛みが起こります。
曲げる角度によって膝にかかる負担が変わる
膝を深く曲げるほど、関節の接触面には大きな力が加わります。そのため、正座、しゃがみ込み、低い椅子からの立ち上がりなどで痛みが出やすくなります。
階段で痛い場合、特に下りでは太ももの筋肉が体重を支えながら膝の動きを制御します。関節軟骨の損傷や筋力低下があると、膝蓋骨周辺や膝の内側に負担が集中しやすくなります。
痛みの原因は軟骨だけとは限らない
膝の曲げ伸ばしで痛む原因には、半月板損傷、靱帯の障害、膝蓋骨周辺の炎症、腱の炎症などもあります。半月板は膝の中にあるクッションのような組織です。加齢によって傷みやすくなり、明らかなけががなくても損傷することがあります。
膝の外側や内側だけが痛む、引っかかりを感じる、曲げ伸ばしの途中で動かなくなるといった場合は、軟骨以外の組織も確認する必要があります。

関節軟骨の損傷や変形性膝関節症の原因と診断
年齢や体重だけでなく筋力や脚の形も関係する
関節軟骨の損傷が進む代表的な病気が変形性膝関節症です。加齢、体重増加、太ももの筋力低下、過去のけが、半月板損傷などが複合的に関係します。
O脚では膝の内側、X脚では外側に負担が偏りやすくなります。また、長時間の立ち仕事、重い物を運ぶ仕事、深くしゃがむ動作の繰り返しも膝への負担になります。年齢だけが原因ではないため、生活習慣や体の使い方を見直すことで症状を軽減できる余地があります。
歩き始めや階段で痛むのは初期にもみられる
変形性膝関節症の初期には、立ち上がりや歩き始めだけ痛み、少し歩くと楽になることがあります。進行すると、歩くと痛い、階段で痛い、正座できないといった症状が目立ちます。
さらに進むと、膝に水がたまる、完全に伸びない、夜間や安静時にも痛むことがあります。ただし、画像で軟骨の変化が大きくても痛みが軽い人もいれば、変化が小さくても強く痛む人もいます。画像だけでなく、症状や生活上の困りごとを含めた判断が必要です。
整形外科では診察と画像検査を組み合わせる
整形外科では、痛む場所、腫れ、膝の動く範囲、脚の形、歩き方などを確認します。レントゲンでは、関節の隙間や骨の変形、O脚やX脚の程度を調べます。
レントゲンだけでは関節軟骨や半月板を直接確認しにくいため、症状によってはMRIを行います。MRIでは、軟骨の損傷、半月板損傷、骨の内部の変化などを詳しく評価できます。超音波検査では、関節にたまった水や滑膜炎、腱の状態をその場で確認できる場合があります。

膝の痛みに対する自宅での対策と整形外科の治療
痛みを悪化させる動作を減らしながら体を動かす
強い痛みや腫れがある時期は、深いしゃがみ込み、正座、何度も階段を往復する動作を控えます。一方で、長期間まったく動かさないと筋力が落ち、かえって膝への負担が増えることがあります。
痛みが軽い範囲での平地歩行や自転車運動、水中歩行などは、膝への衝撃を抑えながら体力を維持する方法です。運動後に痛みや腫れが翌日まで強く残る場合は、運動量を減らしてください。
体重が増えると歩行時の膝への負担も大きくなります。急激な減量は必要ありませんが、食事や間食を見直し、無理のない範囲で体重を整えることも予防につながります。
ストレッチと筋トレは痛みのない範囲で行う
太ももの前側や裏側、ふくらはぎが硬いと、膝の動きに余計な負担がかかります。椅子に座って片脚を前に伸ばし、膝をゆっくり伸ばす運動から始めるとよいでしょう。
筋トレとしては、仰向けで片脚を伸ばしたまま少し持ち上げる運動が取り組みやすい方法です。5秒ほど保ち、5~10回を目安に行います。痛みが増す場合は中止し、整形外科やリハビリで自分に合う方法を確認してください。
ストレッチや筋トレは、傷んだ軟骨を元通りにするものではありません。しかし、筋力や柔軟性を改善し、膝に偏っている負担を減らすことで、痛みや動きやすさの改善が期待できます。
保存療法から手術まで状態に合わせて選ぶ
整形外科の保存療法には、運動療法、リハビリ、痛み止め、湿布、装具などがあります。リハビリでは筋力だけでなく、歩き方や股関節、足首の動きも確認し、膝に負担の少ない体の使い方を練習します。
関節注射が選択されることもあります。ヒアルロン酸注射は、一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。何度も続けても十分な効果が感じられない場合は、診断や治療方針を見直すことが大切です。
保存療法を続けても日常生活に大きな支障があり、変形が進んでいる場合には、骨切り術や人工膝関節手術などを検討します。手術回避を希望する場合も、早い段階で状態を確認し、保存療法を適切に組み合わせることが重要です。手術が必要かどうかは、画像だけでなく、痛みの程度、年齢、活動量、本人の希望を踏まえて判断します。
曲げ伸ばしで膝が痛むときのよくある質問
Q1. 痛みがあるときは動かさない方がいいですか?
A. 強い痛みや腫れがある時期は無理をせず、負担の大きい動作を控えます。ただし、長期間まったく動かさないと筋力が低下します。痛みが軽い範囲で膝を動かし、翌日に症状が悪化しない運動量を目安にしてください。
Q2. 膝が痛くてもウォーキングを続けてよいですか?
A. 歩行中に痛みが強くなる、足を引きずる、翌日まで腫れが残る場合は距離を減らしましょう。平らな道を短時間から始めるか、自転車運動や水中歩行に変更する方法もあります。
Q3. どのような症状があれば早めに受診すべきですか?
A. 痛みが2週間以上続く、腫れを繰り返す、正座できない、膝が伸びない、歩行や階段がつらい場合は整形外科を受診してください。転倒後に体重をかけられない、膝が急に動かなくなった、赤く腫れて発熱している場合は、早めの診察が必要です。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ
関節軟骨以外も含めて膝の痛みの原因を確認する
曲げ伸ばしで膝が痛む場合、関節軟骨の損傷や変形性膝関節症が考えられます。ただし、半月板、滑膜、腱、筋肉などが関係していることもあるため、症状だけで原因を決めつけることはできません。
自宅では、深く膝を曲げる動作を減らし、痛みのない範囲でストレッチや筋トレを行いましょう。体重管理や歩き方の見直しも、膝への負担を減らす助けになります。
年齢のせいと諦めず早めに整形外科へ相談する
膝の痛みが続く、腫れる、歩くと痛い、階段や立ち上がりがつらい場合は、整形外科で原因を確認することをおすすめします。早い段階で状態がわかれば、生活習慣の改善、リハビリ、薬物療法などから自分に合った治療を選びやすくなります。
軟骨の変化があっても、痛みや生活上の不便を軽くできる可能性はあります。「もう年だから仕方ない」と諦めず、今できる対策から少しずつ始めてください。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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