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股関節 股関節の外側が痛い?中臀筋炎の特徴とセルフケアを整形外科専門医が解説

股関節の外側が痛い?中臀筋炎の特徴とセルフケアを整形外科専門医が解説

「歩いていると股関節の外側がズキズキする」「階段を上るとお尻の横が痛い」「痛い側を下にして寝られない」。診療していると、このような訴えで受診される50代以降の方は少なくありません。

股関節が痛いと聞くと、「軟骨がすり減っているのでは」「変形性股関節症ではないか」と心配される方が多いのですが、股関節の外側の痛みは、関節そのものではなく、お尻の横にある筋肉や腱が原因になっていることがあります。その代表の一つが、中臀筋とその周囲に起こる炎症や腱障害です。

一般には「中臀筋炎」と呼ばれることがありますが、実際には中臀筋の腱に負担がかかった状態や、大転子という太ももの骨の出っ張り周囲の組織に炎症が起きているケースも含まれます。

この記事では、股関節の外側が痛いときに考えられる中臀筋周囲のトラブルについて、症状の特徴、原因、自宅でできるストレッチや筋トレ、整形外科を受診する目安までわかりやすく解説します。

股関節の外側が痛い中臀筋炎とは?

中臀筋は歩くときに骨盤を支える大切な筋肉

中臀筋は、お尻の外側にある筋肉です。骨盤から太ももの骨につながっており、脚を横に開く動きや、歩くときに骨盤を安定させる役割があります。

片脚立ちをしたとき、反対側の骨盤が大きく下がらずにいられるのも中臀筋が働いているためです。そのため、歩行、階段、立ち上がりなど、日常生活のさまざまな場面で繰り返し負担がかかります。

中臀筋の筋肉そのものや、骨に付着する腱に繰り返し負担が加わると、股関節の外側に痛みが出ることがあります。特に中高年では、筋力低下や腱の加齢変化が重なり、症状が出やすくなります。

「中臀筋炎」だけではなく大転子周囲の腱や滑液包が原因のこともある

股関節の外側には「大転子」と呼ばれる太ももの骨の出っ張りがあります。手を腰に当て、そのまま少し下へ触れていくと感じる硬い部分です。

この周囲には中臀筋や小臀筋の腱、摩擦を減らすための滑液包というクッションのような組織があります。これらに炎症や腱の変性が起きると、股関節外側の痛みにつながります。

現在では、このような状態をまとめて「大転子部痛症候群」と呼ぶこともあります。患者さんが「股関節が痛い」と感じていても、必ずしも股関節の軟骨そのものが原因とは限らないという点が重要です。

変形性股関節症との痛む場所の違い

変形性股関節症では、足の付け根、いわゆる鼠径部に痛みを感じることが比較的多く、靴下を履く、爪を切る、脚を大きく開くといった動作がつらくなることがあります。

一方、中臀筋周囲の障害では、太ももの付け根の外側や、お尻の横が痛むことが多いのが特徴です。

ただし、痛む場所だけで病気を完全に区別することはできません。腰からくる神経痛や変形性股関節症が同時に存在しているケースもあるため、痛みが続く場合には整形外科で原因を確認することが大切です。

中臀筋炎でよくみられる症状と原因

歩くと痛い・階段で痛い・横向きで寝ると痛い

中臀筋周囲に負担がかかっている場合、特徴的なのは「体重をかけたときの痛み」です。

歩いていると股関節の外側が痛む、階段を上ると痛い、片脚立ちで痛むといった症状がみられます。長時間歩いたあとに痛みが強くなる方もいます。

また、「寝ているときに痛い」という相談もよくあります。特に痛い側を下にして横向きになると、大転子周囲が直接圧迫されるため、痛みが強くなることがあります。

椅子から立ち上がるときや車から降りるときに痛む場合もあります。一方で、座っているだけではそれほど痛くないケースも珍しくありません。

歩きすぎだけでなく筋力低下や姿勢も原因になる

「特に運動をしていないのに、なぜ炎症が起きるのでしょうか」と聞かれることがあります。

原因は必ずしも使いすぎだけではありません。年齢とともにお尻の筋肉が弱くなると、歩くたびに骨盤が左右へぶれやすくなり、中臀筋の腱に余計な負荷がかかります。

長時間の歩行や坂道、階段の多い生活、急にウォーキングを始めたことがきっかけになる場合もあります。また、いつも同じ脚に体重をかけて立つ癖や、脚を組む習慣なども股関節外側への負担につながることがあります。

体重の増加や、膝の痛みをかばう歩き方も影響します。膝や腰など別の関節の痛みが原因で歩き方が変わり、その結果として中臀筋に負担が集中することもあります。

「年齢のせい」と決めつける必要はない

中高年になると、筋肉や腱には年齢による変化が起こります。ただし、年齢だけで痛みの程度が決まるわけではありません。

筋力、柔軟性、歩き方、運動量などを見直すことで、痛みが軽減する可能性はあります。重要なのは、「年齢だから仕方ない」と放置するのではなく、何に負担がかかっているのかを確認することです。

股関節の外側が痛いときのセルフケアと治療

まずは痛みを悪化させる動作を減らす

痛みが出ている時期に、無理に歩いて鍛えようとするのはおすすめできません。ウォーキング後に痛みが強くなるのであれば、一時的に距離や時間を減らしましょう。

完全に動かさない必要はありませんが、「痛みを我慢して続ける運動」は避けます。階段を何度も上り下りする運動や、坂道を長時間歩くことも一度控えた方がよい場合があります。

横向きで寝ると痛む方は、痛い側を下にしないようにします。反対側を下にして寝る場合も、両膝の間に枕やクッションを挟むと、股関節への負担が少なくなることがあります。

ストレッチは「強く伸ばしすぎない」ことが大切

股関節の痛みに対してストレッチをする方は多いですが、中臀筋周囲が痛んでいる時期に強く伸ばしすぎると、かえって症状が悪化することがあります。

特に、脚を強く内側へ交差させてお尻の外側を無理に伸ばすストレッチは、痛みが強い時期には避けた方がよいでしょう。

太ももの前後やふくらはぎなど、股関節周囲を間接的に柔らかくする程度から始めます。「気持ちよく伸びる」範囲にとどめ、痛みが増えるストレッチは中止してください。

痛みが落ち着いたら中臀筋の筋トレを行う

中臀筋の筋力を保つことは、再発予防にも重要です。比較的行いやすいのは、椅子や壁につかまりながら脚を横にゆっくり上げる運動です。

つま先を正面に向けたまま、脚を真横へ10〜20センチ程度上げ、ゆっくり戻します。大きく上げる必要はありません。10回程度から始め、翌日に痛みが強くならない範囲で続けます。

筋トレ中に股関節の外側が鋭く痛む場合には、無理に続けないでください。リハビリでは、症状に合わせて中臀筋だけでなく、お尻全体や体幹の筋肉をバランスよく鍛えていきます。

整形外科を受診した方がよい股関節の痛み

痛みが続く場合は中臀筋炎以外の原因も確認する

股関節の外側の痛みが1〜2週間程度休んでも改善しない場合や、歩くたびに痛みが強くなる場合には、整形外科で一度原因を調べることをおすすめします。

診察では、痛む場所、股関節の動き、歩き方、筋力などを確認します。必要に応じてレントゲンで変形性股関節症などがないかを調べます。

腱や筋肉、滑液包の状態を確認するために超音波検査を行うこともあります。症状によってはMRIで腱の損傷や骨の異常などを詳しく調べる場合もあります。

急に歩けなくなったときや強い安静時痛は早めに受診する

単なる中臀筋炎だと思って自己判断しない方がよい症状もあります。

転倒したあとから強く痛む、急に体重をかけられなくなった、安静にしていても強く痛む、発熱や股関節周囲の腫れがある場合には、早めに医療機関を受診してください。

特に高齢の方では、明らかな転倒がなくても骨折が起こることがあります。また、腰の神経が原因でお尻から脚に痛みが出ている場合もあるため、しびれや脚の力が入りにくい症状を伴う場合にも診察が必要です。

治療は運動療法やリハビリなどの保存療法が中心

中臀筋周囲の痛みに対しては、負担の調整、運動療法、リハビリ、必要に応じて鎮痛薬などを組み合わせる保存療法が中心になります。

痛みの原因が股関節そのものではなく筋肉や腱にある場合、原因に合わない治療を続けても十分な改善が得られないことがあります。どこから痛みが出ているのかをできるだけ正確に把握することが重要です。

股関節の関節注射が検討されるケースもありますが、治療方法は原因によって異なります。ヒアルロン酸注射についても、一時的に痛みが楽になることはありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。漫然と繰り返すのではなく、診断に基づいて治療方針を考える必要があります。

よくある質問

Q1. 中臀筋炎は歩かない方がいいですか?

Q1. 中臀筋炎は歩かない方がいいですか?

A. 完全に歩かない必要はありません。ただし、歩いたあとに痛みが強くなる場合は距離や時間を減らしてください。痛みを我慢して長く歩くより、症状に合わせて活動量を調整することが大切です。

Q2. 股関節の外側が痛いときは温めるのと冷やすのはどちらがよいですか?

Q2. 股関節の外側が痛いときは温めるのと冷やすのはどちらがよいですか?

A. 運動後に急に痛みが強くなったときは短時間冷やすと楽になることがあります。慢性的な痛みでは、入浴などで温めた方が動きやすく感じる方もいます。どちらも痛みが増す場合は中止してください。

Q3. 中臀筋炎はどのくらいで良くなりますか?

Q3. 中臀筋炎はどのくらいで良くなりますか?

A. 軽い場合は活動量を調整することで徐々に軽くなることがあります。一方、腱の変性や損傷があると長引くこともあります。数週間続く場合や歩行に支障がある場合は、整形外科で原因を確認しましょう。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ

股関節の外側の痛みは筋肉や腱が原因のことがある

股関節の外側が痛い場合、変形性股関節症だけではなく、中臀筋やその腱、大転子周囲の組織に負担がかかっている可能性があります。

歩くと痛い、階段で痛い、片脚立ちで痛い、痛い側を下にして眠れないといった症状は、中臀筋周囲のトラブルでよくみられます。

痛みを我慢せず負担を調整し、必要なら整形外科へ

まずは歩きすぎや階段など、痛みを悪化させる動作を減らします。痛みが落ち着いてきたら、無理のない範囲で筋トレやリハビリを行い、股関節を支える力を取り戻していきます。

一方で、股関節の外側の痛みには、変形性股関節症、腰からくる神経痛、腱の損傷など別の原因が隠れていることもあります。痛みが続く、徐々に悪化する、歩くことがつらくなってきた場合には、整形外科を受診する目安と考えてください。

「年齢のせいだから仕方ない」と決めつける必要はありません。原因を確認し、自分の状態に合った生活習慣の見直しや運動療法を行うことで、症状とうまく付き合える可能性があります。まずは痛みの場所や出やすい動作を整理するところから始めてみましょう。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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