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腰 脊柱管狭窄症とは?悪化を防ぐ予防法と治療の選び方

「歩いていると足がしびれる」「休むと楽になるけど、また歩くと痛くなる」――このような症状が現れたら、それは脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)かもしれません。高齢になると誰にでも起こりうる病気のひとつで、日常生活にも大きな支障をもたらします。
この記事では、脊柱管狭窄症の原因や症状、予防法、そして治療法の選び方について、わかりやすく解説します。
脊柱管狭窄症とは?
脊柱管とは、背骨の中にある神経の通り道のことです。加齢により骨や靭帯が肥厚したり、椎間板が飛び出したりすることで、この管が狭くなり、神経が圧迫される状態を「脊柱管狭窄症」といいます。
特に腰の脊柱管が狭くなる腰部脊柱管狭窄症が多く、60代以降の男女に多く見られます。
主な症状とは?
代表的な症状は「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。これは、歩いていると太ももやふくらはぎにしびれや痛みが出て、休むと治まるという繰り返しが特徴です。
また、次のような症状が現れることもあります。
- 足のしびれや冷感
- 下肢の脱力感
- 腰痛(強くはないが鈍い痛み)
- 排尿・排便障害(重症の場合)
初期段階では症状が軽いため見過ごされがちですが、進行すると日常生活に大きな支障をきたすため、早期の対応が大切です。
なぜ起こる?原因を解説
加齢による変化が主な原因です。具体的には以下のような要因が脊柱管の狭窄を引き起こします。
- 椎間板の変性:クッションの役割をする椎間板がつぶれて飛び出す
- 骨の変形:骨棘(こつきょく)と呼ばれる突起ができる
- 靭帯の肥厚:靭帯が分厚く硬くなる
- 脊椎のずれ(すべり症):背骨がずれて神経を圧迫する
こうした変化は、長年の姿勢や生活習慣、体の使い方に影響されます。
脊柱管狭窄症を悪化させない予防法
脊柱管狭窄症の進行を防ぐには、日常生活の工夫と体のメンテナンスが重要です。以下のような方法を取り入れてみましょう。
1. 姿勢を見直す
猫背や前かがみの姿勢は脊椎に負担をかけます。椅子に深く腰かけ、背筋を伸ばして座る習慣をつけましょう。
2. 適度な運動を習慣にする
ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動で筋力と柔軟性を維持することが大切です。特に体幹の筋肉(インナーマッスル)を鍛えると、腰の安定性が増します。
3. 体重管理を行う
体重が増えると腰への負担も増え、症状が悪化しやすくなります。適正体重を維持しましょう。
4. 腰にやさしい動作を心がける
重いものを持ち上げるときは、腰ではなく膝を使ってしゃがみ、ゆっくりと動作しましょう。
治療の選び方:保存療法から手術まで
脊柱管狭窄症の治療には大きく分けて「保存療法」と「手術療法」があります。
保存療法(まず行われる治療)
- 薬物療法:消炎鎮痛薬や神経の流れを改善する薬を使用
- リハビリ:ストレッチや筋力トレーニングで姿勢の改善を図る
- 神経ブロック注射:痛みを一時的に緩和
- 装具の使用:コルセットなどで腰の負担を軽減
手術療法(保存療法で効果がない場合)
- 神経の圧迫を取り除く「除圧術」が基本です
- 背骨の安定性が低い場合は「固定術」も行われます
- 近年では内視鏡手術など体への負担が少ない手術も選択可能です
手術のタイミングは、「日常生活が著しく制限されている」「薬やリハビリで改善しない」など、症状の程度や生活への影響をもとに医師が判断します。
再生医療という新しい選択肢
近年、再生医療という新たな治療法にも注目が集まっています。PRP(多血小板血漿)療法や幹細胞治療は、傷んだ組織の修復を促すことを目的とした治療で、痛みの軽減や機能改善が期待されています。
再生医療はすべての脊柱管狭窄症に適応されるわけではありませんが、「手術は避けたい」「なるべく体に負担をかけずに改善したい」という方にとって、有望な治療法のひとつです。
まとめ
脊柱管狭窄症は、加齢にともない多くの方に起こる可能性のある疾患です。しかし、日常の姿勢や運動習慣を意識することで進行を防ぐことができ、適切な治療を選べば症状の改善も十分に見込めます。
痛みやしびれを感じたときは、自己判断せずに専門の医師に相談しましょう。正しい知識と予防法を身につけて、健康な毎日を取り戻しましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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