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FAQ肩 四十肩と五十肩の違いでよくある8つの質問に専門医がやさしく回答

肩の痛みは日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、「自分は四十肩なのか、それとも五十肩なのか」と不安に感じる方も少なくありません。これらは呼び名こそ異なりますが、実は医学的には同じ状態を指す言葉です。
この記事では、整形外科専門医の視点から、四十肩・五十肩に関するよくある疑問をFAQ形式でまとめました。多くの方が気にされるポイントを分かりやすく解説していますので、ご自身の症状を理解し、適切なケアを始めるための一助としていただければ幸いです。
この記事の内容
1 四十肩と五十肩の大きな違いは何ですか?
実は医学的に明確な違いはなく、どちらも「肩関節周囲炎」という同じ病気です。40代で発症すれば四十肩、50代なら五十肩と呼ばれます。単に発症した年齢によって呼び方が変わるだけですので、根本的な原因や症状、治療法に差はありません。多くの方が「自分はどっちだろう」と気にされますが、同じものと考えて安心してくださいね。
2 なぜ「肩関節周囲炎」が起こるのでしょうか?
加齢に伴い、肩の関節をスムーズに動かすための組織(腱板や関節包など)が脆くなったり、炎症が起きたりすることが主な原因です。若い頃に比べて組織の柔軟性が低下し、些細な動作で傷つきやすくなっています。特別なきっかけがなく自然に痛み出すことも多いため、「いつの間にか痛くなった」と相談に来られる方も非常に多いですよ。
3 四十肩・五十肩の代表的な症状を教えてください。
主な症状は「痛み」と「動きの制限」です。腕を上に上げる、後ろに回すといった動作が辛くなり、着替えや洗髪に支障が出ることがあります。また、夜寝ている時にズキズキと痛む「夜間痛」も特徴的です。初期は激しい痛みがあり、次第に肩が固まって動かなくなるという経過をたどることが一般的です。
4 痛みはどのくらいで治まりますか?
個人差がありますが、完治まで半年から1年半ほどかかることが多いです。炎症が強い「急性期」、肩が固まる「慢性期」、動きが改善する「回復期」を経て治っていきます。焦って無理に動かすと悪化することもあるため、時期に合わせた適切な治療が大切です。長期戦にはなりますが、正しく対処すれば多くの場合、痛みは和らいでいきます。

5 夜、肩が痛くて眠れない時の対処法はありますか?
寝る時の姿勢を工夫してみましょう。仰向けで寝る際は、痛む方の肘の下にクッションや畳んだタオルを敷き、肩が後ろに落ち込まないように支えると痛みが和らぎやすくなります。また、肩を冷やさないようにすることも大切です。夜間痛は睡眠不足を招き、精神的にも辛いものです。痛みが強い場合は、早めに医師へ相談し鎮痛剤などを活用してください。
6 どのような治療方法があるのでしょうか?
基本は内服薬や湿布での消炎鎮痛、ヒアルロン酸注射、そしてリハビリテーションです。最近では、ご自身の血液や細胞を用いた「再生医療」という選択肢も注目されており、慢性的な痛みの改善に役立つ場合があります。症状の段階に合わせて、安静にする時期と積極的に動かす時期を見極めることが、スムーズな回復への近道となります。
7 放置して自然に治るのを待っても大丈夫ですか?
自然に痛みが引くこともありますが、放置すると関節が固まり(拘縮)、痛みが消えても腕が上がらなくなるリスクがあります。いわゆる「肩が凍りついた状態」になると、リハビリにさらに時間がかかってしまいます。将来的に不自由なく肩を動かせるようにするためにも、早いうちから専門的なケアを受けることをおすすめします。
8 肩が痛い時、すぐに受診すべき目安はありますか?
「日常生活に支障が出ている」「夜に痛みで目が覚める」といった場合は、すぐに整形外科を受診してください。また、肩の痛みには腱板断裂など、四十肩以外の病気が隠れている可能性もあります。自己判断で放置せず、まずは専門医の診断を受けることが安心に繋がります。あなたの痛みに寄り添った治療を一緒に考えていきましょう。

四十肩・五十肩は、適切な時期に適切なアプローチを行うことで、回復を早め、後遺症を防ぐことができます。「いつか治るだろう」と我慢せず、まずは専門医にご相談ください。当院では患者様一人ひとりのライフスタイルに合わせた最適な治療法をご提案し、痛みのない健やかな生活への復帰を全力でサポートいたします。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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