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腕を上げると肩が痛いのはなぜ?インピンジメント症候群の原因と対策を専門医が解説

腕を上げると肩が痛いのはなぜ?インピンジメント症候群の原因と対策を専門医が解説

洗濯物を干そうと腕を上げた瞬間に、肩にズキッと痛みが走る。 上着の袖に腕を通すとき、肩が引っかかるような感じがしてスムーズに動かない。 趣味のテニスやゴルフでスイングをすると、肩の奥が痛む。

このようなお悩みで来院される50代から80代の方は非常に多くいらっしゃいます。多くの方は「もう歳だから四十肩(五十肩)だろう」と考えて放置してしまいがちですが、実はその痛みの裏にはインピンジメント症候群という別の原因が隠れていることがよくあります。

インピンジメントとは、英語で「衝突」や「突き当たる」という意味です。肩を動かすたびに関節の中で何かがぶつかり、それが痛みとなって現れている状態を指します。

この記事では、インピンジメント症候群とは一体どのようなものなのか、なぜ起きるのか、そしてどのように向き合えば再び楽に腕を動かせるようになるのか。医療ライターとしての経験も活かし、専門用語を噛み砕いてお伝えしていきます。

あなたの肩の痛みはどんなタイプ?よくある症状

肩の痛みといっても、その現れ方は人それぞれです。インピンジメント症候群の場合、特に以下のような場面で困っている方が多いのが特徴です。

  1. 腕を横から上に上げていくときの痛み 腕を横に広げて上げていくとき、水平(90度)くらいまでは痛くないのに、そこからさらに上げようとすると急に痛みが出ることがあります。そして、もっと上まで上げきってしまうと、意外にも痛みが軽くなるという不思議な現象がよく見られます。
  2. 何かが引っかかるような違和感 スムーズに腕が回らず、特定の角度で「カクッ」としたり、何かが挟まっているような感じがしたりします。これを無理に動かし続けると、炎症が悪化してしまいます。
  3. 夜、寝ているときに出る痛み 日中だけでなく、寝返りを打ったときや、痛い方の肩を下にして寝たときに痛みで目が覚めてしまう「夜間痛(やかんつう)」に悩まされることもあります。これは肩の内部で炎症が強まっているサインかもしれません。
  4. 背中のものに手を伸ばす動作 エプロンの紐を結んだり、車の後部座席にある荷物を取ろうとしたりするとき、肩の奥に鋭い痛みを感じます。

これらの症状に心当たりがある場合、肩の関節内で「衝突」が起きている可能性があります。

なぜ肩の中で「衝突」が起きるのか?医学的なメカニズム

肩の関節は、体の中で最も動く範囲が広い関節です。その自由な動きを支えるために、非常に精密な構造をしています。インピンジメント症候群がなぜ起きるのか、図解するように分かりやすく解説します。

肩の関節には、屋根のような役割をしている「肩峰(けんぽう)」という骨があります。その屋根の下を、腕を動かすための筋肉(腱板:けんばん)や、クッションの役割をする袋(滑液包:かつえきほう)が通り抜けています。

健康な状態であれば、屋根と筋肉の間には十分な隙間があり、腕を上げてもぶつかることはありません。しかし、いくつかの理由でこの隙間が狭くなると、腕を上げるたびに筋肉やクッションが骨の屋根に「ガツッ」と挟み込まれてしまいます。

これが何度も繰り返されることで、筋肉が傷ついたり、クッションが腫れたりして、炎症が起きてしまうのです。これがインピンジメント症候群の正体です。

隙間が狭くなる主な理由には、以下のようなものがあります。

骨のトゲ(骨棘:こっきょく) 長年の使用により、骨の屋根の裏側に小さなトゲができることがあります。このトゲが筋肉を刺激します。

筋肉の衰えや柔軟性の低下 肩を支える深部の筋肉が弱くなると、腕の骨が正しい位置からズレてしまい、屋根にぶつかりやすくなります。

姿勢の影響 いわゆる「巻き肩」や「猫背」になると、肩の屋根が前方に傾き、隙間がさらに狭くなってしまいます。

似ているけれど違う「四十肩・五十肩」との見分け方

よく混同されるのが四十肩や五十肩(肩関節周囲炎)です。どちらも肩が痛くて動かせないという点は共通していますが、実は性質が少し異なります。

四十肩・五十肩は、関節全体が炎症を起こして「固まってしまう」病気です。自分ではもちろん、他人に腕を動かしてもらおうとしても、どの方向にも硬くて動きません。

一方で、インピンジメント症候群は「特定の角度」で痛むのが特徴です。痛い角度を通り過ぎれば動かせたり、特定の動きだけが制限されたりすることが多いのです。

ただし、インピンジメント症候群を放置していると、痛みのせいで動かさなくなり、最終的に関節が固まって四十肩のようになってしまうこともあるため、早めの対処が重要です。

自分で行える対策と生活の中での注意点

痛みを和らげ、悪化を防ぐために日常生活で意識していただきたいポイントがいくつかあります。

無理に動かして「確認」しない 「まだ痛むかな?」と何度も痛い角度まで腕を上げるのは控えましょう。繰り返すたびに肩の中の炎症を長引かせてしまいます。

姿勢を正して肩の隙間を広げる 猫背になると肩の隙間が狭まります。椅子に座るときは深く腰掛け、胸を張るように意識するだけで、肩への負担は大きく変わります。パソコン作業や家事の合間に、肩甲骨を寄せる意識を持つことが大切です。

痛くない範囲でのストレッチ 肩そのものを無理に回すのではなく、肩甲骨の動きを出すストレッチが有効です。

  1. 両手の指先をそれぞれの肩に置きます。
  2. 肘で円を描くように、ゆっくりと大きく回します。
  3. 特に、肘を後ろに引いて肩甲骨を寄せる動きを意識しましょう。 痛みが出る手前で止めるのがポイントです。

重いものを持ち上げるときは体に近づける 腕を遠くに伸ばした状態で重いものを持つと、肩の隙間に強い圧迫がかかります。荷物を持つときは、まず自分から近づき、脇を締めるようにして持ち上げるようにしましょう。

整形外科での治療:手術を回避するために

もし痛みが2週間以上続いたり、夜眠れないほどの痛みがあったりする場合は、我慢せずに整形外科を受診してください。病院では以下のようなステップで治療を行います。

まずは現状の把握 レントゲンで骨のトゲがないかを確認し、必要に応じて超音波(エコー)やMRIで筋肉の傷み具合をチェックします。最近のエコー検査は非常に精度が高く、診察室で動かしながらどこがぶつかっているかをリアルタイムで確認できるため、納得感のある説明が受けられます。

保存療法による炎症の抑制 多くの場合は、手術をしない「保存療法」で改善を目指します。 飲み薬や貼り薬で炎症を抑える。 リハビリテーションで理学療法士と一緒に姿勢や肩の動かし方を修正する。 関節注射(ヒアルロン酸や炎症を抑える薬)で、クッションの腫れを鎮める。

特にリハビリテーションは重要です。肩だけを見るのではなく、体全体のバランスを整えることで、肩への負担を根本から減らすことができます。

よくある質問(Q&A)

痛みがあってもストレッチをした方がいいですか?

A. 鋭い痛みが出るようなストレッチは絶対に避けてください。 「痛いのを我慢して動かせば治る」というのは大きな誤解です。インピンジメント症候群は、物理的な衝突による炎症ですので、無理に動かすと傷口を広げることになりかねません。あくまで「痛みのない範囲で、肩甲骨周りを動かす」程度にとどめましょう。痛みが強い時期は、まず安静と炎症を抑える治療が優先されます。

温めるのと冷やすの、どちらが良いでしょうか?

A. 時期によって異なります。 急に強い痛みが出たときや、熱を持っている感じがするときは冷やすのが有効です。一方で、慢性的に重だるい痛みがあり、動かし始めが硬いような場合は、お風呂などで温めて血行を良くすると楽になります。判断に迷う場合は、夜眠れるかどうかを基準にし、眠れないほど痛むときは早めに医師に相談してください。

放置して自然に治ることはありますか?

A. 軽度の炎症であれば休ませることで治まることもありますが、原因が「骨の形」や「姿勢」にある場合は、繰り返す可能性が高いです。 放置している間に、屋根の下を通る筋肉(腱板)が擦り切れてしまい、腱板断裂というより深刻な状態に進んでしまうこともあります。50代以降の方は、一度専門医によるチェックを受けて、ご自身の肩の状態を知っておくことを強くお勧めします。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ:年齢のせいだと諦めず、再び自由な動きを

肩が思うように動かないと、着替えや掃除といった何気ない日常の動作が苦痛になり、気持ちまで沈んでしまいがちです。「もう歳だから」「肩が痛いのは当たり前」と諦めてしまう方をたくさん見てきましたが、それは非常にもったいないことです。

インピンジメント症候群は、適切な知識を持ち、日常生活での工夫や正しい治療を行うことで、十分に改善が見込める疾患です。100点満点の動きを目指すのは大変かもしれませんが、痛みを気にせずに洗濯物を干せたり、夜ぐっすり眠れたりする生活は、決して遠い目標ではありません。

ご自身の肩を大切にいたわり、SOSのサインに耳を傾けてあげてください。私たちが提供するのは、単なる治療だけでなく、あなたが再び趣味や生活を心から楽しめる「日常」を取り戻すためのサポートです。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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