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FAQ肩 肩の可動域改善でよくある8つの質問に専門医がやさしく回答

肩が上がらない、背中に手が回らないといった症状は、日常生活のふとした瞬間に不便を感じるものです。「もう年だから」と諦めてしまう方も多いですが、適切な知識を持って対処すれば、多くの場合で改善が期待できます。
当院によせられる患者様の切実な悩みの中から、特に多くの方が気にされている8つの疑問について、整形外科専門医として丁寧にお答えします。
この記事の内容
Q1. 肩が以前のように上がらなくなったのですが、原因は何でしょうか?
多くの方が経験される症状です。主な原因は「肩関節周囲炎(いわゆる四十肩・五十肩)」です。関節を包む膜が炎症を起こして厚くなったり、周囲の組織と癒着したりすることで、肩の動く範囲が狭まります。また、加齢により肩を支える腱(腱板)が弱くなることも原因の一つです。まずは炎症の状態を正しく把握し、少しずつ柔軟性を取り戻すことが改善の鍵となります。
Q2. 年齢を重ねてからでも、肩の可動域は改善しますか?
はい、年齢に関わらず改善の可能性は十分にあります。筋肉や関節の柔軟性は、適切なリハビリやストレッチを継続することで何歳からでも回復させることが可能です。もちろん、数日で劇的に変わるものではありませんが、専門医の指導のもとでコツコツと取り組めば、日常生活で不自由を感じないレベルまで動きを広げられる方は大勢いらっしゃいます。
Q3. 肩を動かすと少し痛みがありますが、無理にでも動かした方が良いですか?
「痛みがあるときは動かさない方がいい」と思われがちですが、時期によります。鋭い痛みや夜寝られないほどの痛みがある「急性期」は安静が大切です。しかし、痛みが落ち着いてきた「慢性期」には、痛くない範囲で積極的に動かすことが重要です。全く動かさないと関節がさらに固まってしまうため、医師や理学療法士と相談しながら進めましょう。
Q4. 肩の可動域を広げるためには、どのくらいの期間が必要ですか?
個人差はありますが、一般的には3ヶ月から半年程度の期間をみていただくのが現実的です。固まった組織が再び柔軟性を取り戻すには、細胞の修復や血流の改善を待つ時間が必要です。焦らずに、1ヶ月ごとに「少しずつ手が上がるようになった」「着替えが楽になった」といった小さな変化を積み重ねていく姿勢が大切です。

Q5. 自宅で手軽にできる、肩の動きを良くする体操はありますか?
「振り子運動(アイロン体操)」がおすすめです。椅子や机に片手をついて体を少し前に倒し、反対の手で軽い重り(500mlのペットボトルなど)を持って、力を抜いて前後左右にブラブラと揺らします。肩の関節を広げるイメージで行うと、筋肉に余計な負担をかけずに関節の動きを滑らかにする効果が期待できます。多くの方が「肩が軽くなった」と実感される体操です。
Q6. 病院を受診するタイミングは、いつ頃が目安でしょうか?
「夜、肩が痛くて目が覚める」「腕を全く上に上げられない」「痛みが2週間以上続いている」といった場合は、早めの受診をお勧めします。これらは炎症が強かったり、肩の腱が切れていたりする可能性のサインです。関節が完全に固まりきってしまう前に適切な治療を始めることで、その後の可動域の回復スピードが格段に早まります。
Q7. 注射を打つことで、肩の動きは良くなりますか?
注射は可動域改善の強力なサポートになります。ヒアルロン酸注射で関節の滑りを良くしたり、超音波で確認しながら癒着を剥がす「ハイドロリリース」を行ったりすることで、痛みや引っかかりを軽減できます。痛みが和らぐことで、より効果的にリハビリやストレッチを行えるようになり、結果として関節の動く範囲を早く広げることが可能になります。
Q8. 再生医療は、肩の可動域改善にも効果がありますか?
再生医療(PRP療法など)は、自分の血液成分を用いて組織の修復を促す治療です。慢性的な炎症や腱の小さな傷が原因で肩が動かせない場合、痛みの根本的な改善を助け、スムーズなリハビリを可能にします。痛みが取れればその分、可動域を広げるための運動もしやすくなるため、従来の治療で改善が乏しかった方にとっても新しい選択肢となっています。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

肩の動きが悪くなると、心まで塞ぎ込んでしまいがちですが、正しいアプローチで自由な動きを取り戻すことは可能です。「動かしにくい」と感じたら、まずは専門医へ相談し、あなたに合った改善のステップを一緒に歩んでいきましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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