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膝 変形性膝関節症の進行を遅らせる毎日の習慣|膝を守る生活と運動を整形外科専門医が解説

「立ち上がるときに膝が痛む」「階段を下りるのが怖くなった」「以前より長く歩けなくなった」。診療の場では、このような悩みをよく伺います。
変形性膝関節症と診断されると、「年齢のせいだから仕方がない」「このまま悪化して手術になるのでは」と不安になる方も少なくありません。しかし、変形性膝関節症は、診断されたら必ず急速に進行する病気ではありません。
膝への負担を減らし、筋力や柔軟性を保つ生活習慣を続けることで、膝の痛みを抑えながら生活できる可能性があります。大切なのは、痛みを我慢して無理に鍛えることではなく、その日の膝の状態に合わせて適切に動かすことです。
この記事では、変形性膝関節症の進行を遅らせる毎日の習慣、自宅でできるストレッチや筋トレ、整形外科を受診する目安について、わかりやすく解説します。
変形性膝関節症が進行する原因と膝の変化
軟骨だけでなく膝全体に変化が起こります
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることだけで起こる病気ではありません。軟骨の下にある骨、関節を包む膜、半月板、靱帯、筋肉など、膝を構成するさまざまな部分に変化が起こります。
初期には、歩き始めや立ち上がりで痛みを感じ、少し動くと楽になることがあります。進行すると、歩くと痛い、階段で痛い、正座できない、膝が伸びにくいといった症状が目立つようになります。
ただし、レントゲンで変形が見られても、必ず強い痛みが出るわけではありません。反対に、画像上の変化が軽くても、炎症や筋力低下によって強い関節の痛みを感じる方もいます。画像だけでなく、実際の症状や生活上の困りごとを含めて考えることが重要です。
膝に負担がかかる生活習慣が進行に影響します
体重の増加、運動不足、太ももの筋力低下、膝を深く曲げる動作の繰り返しなどは、膝への負担を増やす要因になります。一方で、痛みを恐れてまったく動かなくなると、筋力がさらに低下し、膝が不安定になる悪循環に陥ることがあります。
特に注意したいのは、「運動は膝に悪い」と考えて、必要以上に安静にしてしまうことです。強い痛みや腫れがある時期を除けば、負担の少ない運動を続けた方が、歩く力や関節の動きを保ちやすくなります。
進行の速さには個人差があります
変形性膝関節症の進み方には大きな個人差があります。脚の形、体重、筋力、過去のけが、仕事や趣味で行う動作などが影響するためです。
「変形があるから、いずれ必ず手術になる」とは限りません。早い段階から膝の状態を知り、生活習慣や運動方法を見直すことが、手術回避を考えるうえでも大切です。
変形性膝関節症の進行を遅らせる毎日の習慣
痛みを増やさない範囲で体を動かす
変形性膝関節症の予防や進行対策では、適度な運動が基本になります。おすすめなのは、平らな場所での短時間の歩行、室内での足踏み、固定式自転車、水中歩行などです。
目安は、運動中の痛みが強くなく、翌日まで痛みや腫れが残らない程度です。最初から30分歩く必要はありません。5分から10分程度を1日数回に分けても構いません。
運動後に膝が大きく腫れたり、夜まで痛みが強く残ったりする場合は、負荷が強すぎる可能性があります。距離や時間を減らし、膝の状態が落ち着いてから再開しましょう。
太ももの筋トレとストレッチを続ける
膝を支えるうえで重要なのが、太ももの前側にある筋肉です。この筋肉が弱くなると、立ち上がりや階段昇降で膝に負担がかかりやすくなります。
自宅で行いやすい筋トレとして、椅子に座って片脚ずつ膝を伸ばす運動があります。膝をゆっくり伸ばし、3秒ほど保ってから下ろします。左右それぞれ10回程度から始め、痛みが増えない範囲で行ってください。
ストレッチでは、膝の裏やふくらはぎを無理なく伸ばします。勢いをつけず、心地よく伸びる位置で20秒ほど保ちます。膝を床に強く押しつけたり、痛みを我慢して深く曲げたりする必要はありません。
体重と日常動作を見直す
体重が増えると、歩行や階段昇降のたびに膝へかかる負担も大きくなります。体重を急激に落とす必要はありませんが、食事内容や間食を見直し、無理のない範囲で体重管理を行うことは有効です。
日常生活では、低い椅子や床からの立ち座り、長時間の正座、深くしゃがむ姿勢を減らしましょう。椅子は少し高めのものを選び、必要に応じて手すりを使うと、膝の負担を軽くできます。
階段で痛い場合は、手すりを使い、一段ずつゆっくり移動します。外出時には、クッション性があり、かかとが安定した靴を選ぶことも大切です。すり減った靴底は歩き方を不安定にするため、定期的に確認してください。

痛みが続くときに整形外科で行われる治療
保存療法を組み合わせて膝を守ります
整形外科では、問診や診察、レントゲン検査などから膝の状態を確認します。必要に応じてMRI検査を行い、半月板や靱帯などに別の問題がないかを調べることもあります。
治療の基本は保存療法です。保存療法とは、すぐに手術を行わず、運動療法、リハビリ、体重管理、薬、装具などを組み合わせて症状の改善を目指す方法です。
痛み止めは、膝を動かしやすくするために役立つことがあります。ただし、薬だけに頼るのではなく、筋力や生活習慣の見直しを同時に進めることが大切です。
ヒアルロン酸注射には限界もあります
関節注射の一つとして、ヒアルロン酸注射が行われることがあります。一時的に痛みが楽になる場合はありますが、軟骨や関節そのものを元通りにする治療ではありません。
何度も注射を続けても変化を感じない場合は、同じ治療を漫然と繰り返すのではなく、診断が合っているか、運動方法や装具を見直す必要がないかを確認した方がよいでしょう。
早めの受診が必要な膝の症状
膝の痛みが軽く、日常生活に大きな支障がなければ、運動量を調整しながら数日様子を見ることもできます。ただし、次のような症状がある場合は、早めに整形外科を受診してください。
- 膝が急に大きく腫れた
- 膝が赤くなり、熱を持っている
- 転倒やけがの後から体重をかけられない
- 膝が引っかかって伸びない
- 安静にしていても強く痛む
- 発熱を伴っている
- 痛みが数週間続き、歩ける距離が短くなっている
こうした症状は、変形性膝関節症以外の病気やけがでも起こります。「年齢のせい」と決めつけず、原因を確認することが必要です。
変形性膝関節症についてよくある質問
Q1. 痛みがあるときは動かさない方がいいですか?
A. 強い痛みや腫れがある日は運動を控えますが、長期間まったく動かさないと筋力が低下します。痛みが落ち着いたら、短時間の歩行や軽い筋トレから再開しましょう。
Q2. 毎日歩けば変形性膝関節症の進行を遅らせられますか?
A. 適度な歩行は筋力や体力の維持に役立ちます。ただし、長く歩いた後に痛みや腫れが残る場合は歩きすぎです。平らな道を短時間から始め、膝の反応を確認してください。
Q3. 手術を避けるために一番大切なことは何ですか?
A. 早めに膝の状態を確認し、筋力低下、体重、歩き方、生活動作など、改善できる要因を見つけることです。運動や保存療法を続けても生活が難しい場合は、手術を含めて相談します。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ
毎日の小さな習慣が膝を守ります
変形性膝関節症の進行を遅らせる毎日の習慣として、適度な運動、太ももの筋トレ、ストレッチ、体重管理、膝に負担をかけにくい生活動作が挙げられます。
大切なのは、痛みを我慢して頑張りすぎないことです。その日の状態に合わせて運動量を調整し、翌日まで痛みや腫れを残さない範囲で続けましょう。
年齢のせいと諦めずに原因を確認しましょう
歩くと痛い、階段で痛い、正座できないといった症状が続く場合は、早めに整形外科で原因を確認することをおすすめします。膝の痛みには、変形性膝関節症だけでなく、半月板の損傷や炎症などが関係していることもあります。
膝の変形があっても、生活習慣やリハビリの工夫によって、できることを保ちながら生活している方は少なくありません。「もう年だから」と諦めず、今の膝に合った対策を一つずつ始めていきましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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