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膝 突然膝が動かなくなるロッキングとは?原因と対処法を専門医が解説

この記事の内容
膝のロッキングとは?
膝のロッキングとは、突然膝が動かなくなり、強い痛みを伴う現象を指します。歩行が困難になることが多く、日常生活に支障をきたすこともあります。ロッキングは膝関節の中にある浮遊物(半月板の断片や軟骨の欠片など)が関節の隙間に挟まることで発生します。
ロッキングの前兆
ロッキングは突然発生することが多いですが、以下のような前兆が見られることがあります。
- 膝に引っ掛かり感や違和感を感じる
- 膝に力が入らず、抜けるような感覚がある
- 膝関節部が腫れて膨らんでいる
- スポーツなどで膝を打った後、痛みが長く続いている
これらの症状が見られた場合は、早めに整形外科を受診することをおすすめします。
ロッキングの原因となる膝の疾患
ロッキングを引き起こす主な膝の疾患は以下の3つです。
半月板損傷
半月板は、膝関節の大腿骨と脛骨の間にあるC字型の軟骨組織で、クッションの役割を果たしています。外傷や加齢による変性で損傷すると、断裂した半月板が関節の隙間に挟まり、ロッキングを引き起こすことがあります。
主な半月板損傷の種類
- 縦断裂:スポーツなどの外傷が原因で発生
- 横断裂:膝に強い衝撃が加わることで発生
- 水平断裂:加齢による変性が原因で発生
- 変性断裂:長年の負担で半月板が摩耗し損傷
変形性膝関節症
加齢や過度な負荷により膝の軟骨がすり減ることで発症する疾患です。膝の痛みや違和感が徐々に悪化し、進行すると関節内に欠けた軟骨が浮遊し、ロッキングが生じることがあります。
特徴的な症状
- 膝の痛み(初期は動作時の痛み、進行すると安静時の痛み)
- 膝の変形(O脚やX脚)
- 歩行困難
離断性骨軟骨炎
関節内の軟骨が剥がれ落ちる疾患で、10代の若年層に多く見られます。剥がれた軟骨片が関節に挟まることで、ロッキングが発生することがあります。
ロッキングが起こった際の対処法
ロッキングが発生した場合、自分で無理に解除しようとするのは避けましょう。無理に動かすと状態が悪化する可能性があります。
ロッキング時の応急処置
- 安静にする:膝に負担をかけないよう、座るか横になる
- 冷やす:アイスパックや氷で膝を冷やし、腫れを抑える
- 膝を固定する:サポーターや包帯を巻いて安定させる
- 医療機関を受診する:早めに整形外科で診察を受ける
ロッキングの治療法
ロッキングの治療は、症状の程度や原因となる疾患に応じて選択されます。
保存療法
軽度の場合、保存療法が選択されます。
- 薬物療法:消炎鎮痛薬の内服やヒアルロン酸注射
- 運動療法:筋力トレーニングやストレッチ
- 装具療法:サポーターや膝装具の使用
手術療法
保存療法で改善しない場合や、重度の半月板損傷では手術が検討されます。
- 半月板縫合術:損傷した半月板を縫合する手術
- 半月板切除術:損傷部分を除去する手術
- 関節鏡手術:膝の内部を小さなカメラで確認しながら行う低侵襲手術
ロッキングの予防法
ロッキングを予防するためには、日常生活での膝への負担を減らすことが重要です。
予防のポイント
- 膝周囲の筋力強化:太ももの筋肉を鍛えることで膝関節を安定させる
- 適切な靴を選ぶ:クッション性のある靴を履く
- 体重管理:肥満は膝への負担を増加させるため、適正体重を維持する
- 膝に負担をかける動作を避ける:急な方向転換やジャンプなどを控える
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
まとめ
膝のロッキングは、半月板損傷や変形性膝関節症などが原因で発生することが多い症状です。突然の膝の痛みや可動制限がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。保存療法や手術療法、再生医療などさまざまな治療法があり、症状の程度に応じた治療を選択することで、膝の健康を守ることができます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 膝のロッキングとは何ですか?
A. 膝のロッキングとは、膝関節の中で断片化した半月板や軟骨片が関節に挟まり、突然膝が動かなくなる状態を指します。
Q2. ロッキングが起きたときはどうすればいいですか?
A. 無理に動かさず安静にし、膝を冷やしたうえで速やかに整形外科を受診しましょう。自分で解除するのは危険です。
Q3. ロッキングの主な原因は何ですか?
A. 半月板損傷、変形性膝関節症、離断性骨軟骨炎などが原因になります。特にスポーツ中の外傷や加齢が関与します。
Q4. ロッキングの予防法はありますか?
A. 太ももの筋力強化、適切な靴選び、体重管理などが有効です。膝への過剰な負担を避けることが大切です。
Q5. 再生医療はロッキングの治療に使えますか?
A. 原因によっては、PRPや幹細胞治療などの再生医療で膝の回復を促すことも可能ですが、重度の場合は手術が必要です。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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