はじめに

変形性股関節症（へんけいせいこかんせつしょう）は、股関節の軟骨がすり減り、痛みや可動域の制限を引き起こす疾患です。特に中高年の女性に多く見られ、日常生活に影響を及ぼすことも少なくありません。本記事では、変形性股関節症と診断された際に注意すべき点について、わかりやすく解説します。

1. まずは正しい診断を受ける

股関節の痛みがある場合は、自己判断せずに整形外科を受診しましょう。診断には、問診、X線（レントゲン）検査、MRI検査などが用いられます。症状の進行度によって、治療方法や日常生活での注意点が変わるため、まずは正確な診断を受けることが大切です。

2. 症状を悪化させないための生活習慣

2-1. 体重管理

股関節には、体重の約3〜5倍の負荷がかかると言われています。体重が増加すると、その分関節への負担も増し、症状の悪化につながります。無理のない範囲で適正体重を維持することが大切です。

2-2. 正しい歩き方を意識する

歩くときに股関節へ負担をかけないよう、以下の点を意識しましょう。

• 歩幅を広げすぎず、小股で歩く
• 背筋を伸ばし、猫背にならないようにする
• 杖を使用することで股関節への負担を軽減する

2-3. 無理な運動を避ける

股関節に負担をかける運動（ランニングや激しいジャンプ運動など）は控え、関節に優しい運動を取り入れましょう。

• ウォーキング：平らな道をゆっくり歩く
• 水中運動：水の浮力を利用することで関節の負担を軽減
• ストレッチ：股関節周囲の筋肉を柔らかく保つ

3. 痛みを和らげる方法

3-1. 温める

関節の痛みは、血行不良が関係していることが多いため、入浴や温熱パッドを使って温めることで痛みを和らげることができます。

3-2. 痛み止めの使用

痛みが強い場合は、非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）などの痛み止めを使用すると、症状が軽減することがあります。ただし、長期間の使用は胃腸障害などの副作用があるため、医師と相談しながら適切に使用しましょう。

3-3. リハビリテーション

股関節周囲の筋肉を鍛えることで、関節への負担を減らすことができます。理学療法士の指導のもとで行うリハビリテーションや、ストレッチ・筋トレを継続することが大切です。

4. 手術を考えるタイミング

変形性股関節症が進行し、日常生活に支障をきたす場合は、手術が選択肢になります。

4-1. 人工股関節置換術（THA）

人工股関節置換術（Total Hip Arthroplasty：THA）は、摩耗した関節を人工の関節に置き換える手術です。術後のリハビリをしっかり行えば、痛みが改善し、日常生活の質が向上することが期待できます。

4-2. 骨切り術

若年層の患者で、関節の変形が比較的軽度な場合に適用される手術です。関節の形を整えることで、負担を軽減し、進行を遅らせることができます。

5. まとめ

変形性股関節症は進行性の疾患ですが、適切な対策を取ることで症状の悪化を防ぐことができます。診断を受けたら、

• 体重管理を徹底する
• 関節に優しい生活習慣を心がける
• 必要に応じて医師と相談しながら治療を進める

ことが大切です。早めの対応が、快適な生活を維持する鍵となります。